第30号(1999年11月)





尼崎市土地開発公社  全国ワースト1位か!
塩漬け土地8万5千平方m  455億円
尼崎市は事業用地や公共事業代替地確保のため、市土地開発公社 (市100%出資 ) に、土地を先行取得させています。
土地購入費用は公社が銀行等から借り入れており、市は、事業化等の段階で公社から土地を買い入れ、その時点で土地購入価格と銀行等の利子を、公社に支払います。
市の会計上には出てこない 「隠れ借金 」 です。
この隠れ借金が、表の保有地総額である約614億円 (78ヵ所 ・約17万平方メートル、利子込 )という金額になります。
事業化の段階で土地購入費用に対する国の補助も入るでしょうから、全てが借金とは言い切れませんが、それにしても大きな額です。
また、公社が購入をしてから5年以上放置されたままの土地 (塩漬け土地 ) は、45ヵ所約8.5万平方メートルで、利子を含めた帳簿価格は、約455億円にも上ります。金額ベースでの土地の塩漬け率は74.1%になり、表から見ても、尼崎市が全国で最も 「 いい加減な業務 」 を行ってきた自治体ではないかと考えられます。
「塩漬け土地 」 というのは、何の事業にも利用されないまま放置され、土地購入費用の利子のみが累々と上乗せされている状態です。これが多ければ多いほど、将来、市が公社から土地を買い入れる時に、購入費用が嵩むことになり、市の財政を圧迫するのです。
ここで、塩漬け土地の事例をひとつだけ見てみます。
表にある長洲線は、道路用地として購入され現在その土地は、道路として利用が開始されています。しかし市当局は、なぜかその土地を買い取ろうとしません。
その結果、土地購入費用約2900万円に利子がどんどん上乗せされ、利子だけで現在2140万円にもなっています。


97年度末 県庁所在地35市土地保有額塩漬け度( 抜粋 )
  
< 調査 :全国市民オンブズマン連絡会 >
保 有 地 塩 漬 け 土 地
保有地総額 内支払利息 塩漬け土地総額 内支払利息 塩漬け割合

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  尼崎市 614   尼崎市 103   尼崎市 455   尼崎市 97   尼崎市 74.1
1 岡山市 517 1 那覇市 82 1 和歌山市 186 1 和歌山市 40 1 高知市 73.1
2 金沢市 506 2 岡山市 55 2 長崎市 98 2 高知市 33 2 和歌山市 69.5
3 長野市 455 3 和歌山市 42 3 静岡市 85 3 長崎市 18 3 長崎市 56.0

注 :全国市民オンブズマン連絡会の調査には尼崎のデータはありません 
   丸尾牧が98年度末の尼崎市のデータを加えてこの表を作成しました。


利子だけで年十億円 市民の借金雪だるま
土地購入の情報公開と事前承認を
なぜ、市当局はこの土地を買い取らないのでしょうか。
担当課の話では、土地購入費用の予算を要求すると、他の施策のための予算要求ができなくなる恐れがあると判断した例や、財政担当課が土地買い入れの判断を先送りしてきたこともあるようです。
どちらにしても、市当局の無責任体制がこのような事態を引き起こしたと言えるでしょう。
また、事業化が進まない土地が山ほどあります。これらについては、バブルで浮かれ、無理な開発計画を押し進めてきたことが、結果として、多くの塩漬け土地を発生させた主な原因だと考えられます。今後、開発行政の根本的な見直しが必要です。
公社のあり方も見直す必要があります。公社自体は市民や議会のチェックを受けずに、土地購入を自由にできるように考えて作られた組織です。今後は、市民そして議会がチェックできるシステムに作り変える必要があります。
この問題の具体的な対策として。
@ 地番、鑑定評価書、契約書等土地に関する全情報の公開 (例:仙台市等 )
A 公社が土地を購入する場合は、議会の事前承認を受けること (例:広島市 )
B 将来的に公社を廃止すること等、が考えられます。  
現在抱えている土地の処理策としては、早急に土地の分類を行い、市民に見える形で土地の分類を行い、市民に見える形で土地の処理をすべきです。
@ 当初目的どおりに利用
A 当初目的どおりに利用するが、事業が具体化するまで暫定利用
B 目的を変更して利用
C 処分を含めて検討
上記のような丸尾牧の提案に対して市当局は 「保有地全般の調査をし、方策や計画の見直し等を検討したい 」 と回答しています。今後の処理策が注目されます。

98年度末  尼崎市の塩漬け土地(抜粋)
場 所 購入年度 面積(?) 平米単価(万円) 購入金額(万円) 推定利子(万円) 推定帳簿価格(万円)
長洲線 85年 4.09 716 2927 2140 5065
常 吉 88年 46 31 1430 730 2160
総 額 75年〜 84,650 42万円 358億円 97億円 455億円




市臨時職員への道開く 志望者は採用登録を

公募です!コネが無くても堂々と
尼崎市臨時職員の人達に、どのように採用されたのかと聞くと、多くの人が市の職員の紹介で入ったと答えられます。もし市職員の紹介でしか臨時職員になれないのなら、これは大きな問題です。
そこで、このことを丸尾牧が一般質問で問いただしたところ、市当局は 「平成8年度に公募の上、登録制を実施し、期限定めずに(公募、登録制を )実施している 」と答弁しました。
3年もの間、市報等で公募の案内もせずに、現在でも公募登録制を実施しているというのは、おかしな話です。市当局としては公募を実施しているとしか答弁のしようがなかったのでしょう。
今回、事実上閉ざされていた市民が臨時職員になる道が開けました。その道を再び閉ざさないためにも、現在仕事を求めている方は、ぜひ市人事課で臨時職員への採用登録をして下さい。
   問い合わせ:尼崎市人事課   TEL.06-6489-6177




レターケース粉失・高額消耗品購入問題
市長・幹部職員が不適切分402万円を私費で返還へ≫
行方不明の責任は誰に!
不祥事をおおい隠す市長の背信
昨年9月に丸尾牧が問題提起をし市民オンブズ尼崎などが追求していた都市局の消耗品問題について、大きな動きがありました。
市長・幹部職員などが、単価二千円以上のペン、千円以上のハサミ、行方不明レターケース96ケース分の費用約402万円を、私費で返還することを決めました。
返還方法については、市長が月給約123万円を50万円ずつ4ヵ月間減給し200万円を、助役 ・収入役は全体の20%弱、局長14人と都市局関係管理職員7人は全体の30%強を返還するということです。
(助役等負担分の約202万円については、10月1日付けで市に返還されました。)
しかし,市長はレターケースの粉失などについて、違法性を全く認めていません。あくまで道義的責任のみに基づいて、「不適切分 」 を返還するということです。
問題は、レターケースについて、「 いつ、どこで、誰が、なぜ96ケースもの品物をなくしたのか 」 、今までに何ら明らかにされていないことです。
市の関係職員が事実関係を隠しつづけているとしか考えられません。レターケース購入の事実がなかった可能性もあります。
また、都市局築地土地区画整理事務所では、ペンやハサミの他にも不必要な文具が山ほど購入されており、それらについては、返還対象とはなっておらず、うやむやなまま幕が引かれようとしています。
市民自治クラブは、市長へのペナルティーとして、今回の粉失・無駄遣いの責任を取るために提案された市長減給条例に賛成しました。
しかし、この問題はこれで終わりではなく、まだうやむやになっているレターケース粉失の経緯、違法性の立証、責任の所在、今後の対策について、これからも引き続き追求していきたいと考えています。

返還額内訳              (円)
品 目 金 額
 ボールペン 212 1,003,662
 シャープペン 145 694,984
 ペンセット 70 436,800
 複合ペン 102 88,208
 ハサミ 468 737,158
 レターケース 96 836,922
  4,022,670

返還者と返還金額
役 職 金 額
市 長 200万円
助役2人 ・収入役 約75万円
局長 ・都市局関係職員 約125万円
助役 ・局長等の返還金額は推定値



いじめや体罰からの救済を
≪子供の権利守る制度が必要
男女同室の着替えは嫌だ
7月にH小学校に通う女児の母親から連絡がありました。
「高学年の体育の着替えを、男女一緒に行っている。『 男女一緒は嫌だ 』 と子供が勇気を出して担任に相談をしたが、何の対応もしてくれない。」
他の学校の実情を調べたところ、高学年の男女一緒の着替えを行っている学校は決して少なくないようでした。
そこで、丸尾牧は、教育委員会に実態調査を依頼しました。
すると、その回答には 「全学校で男女の着替えについて時間差を設ける (女が先男は後 ) など一定の配慮をしている」ということでした。調査を依頼したので、早急に対応を考えたのでしょう。
H小学校では、調査依頼後、クラスの真ん中に着替えのための仕切りカーテンを取り付けたようです。
これは、学校・教師が子供の人権を侵害している端的な例です。
その他にも学校には、子供の人権を侵害している場面が多々あるようです。
ある中学校の校則では、髪型について男子は「丸刈りかスポーツ刈 」、女子は「おかっぱ」 が好ましく、髪の長さまで規定しています。
また「 ドライヤーで形づけるのは認めない 」 とか 「 ゴム等で髪をくくることは認めない 」 など、こと細かに規定を作っています。
これらも法律で守られているはずの人権が侵害される危険のある例です。
これらの校則が、学校運営の上で合理的な理由があり、教師・保護者だけでなく生徒が参加した中で、合意されたものであれば問題はないでしょう。
しかし今の校則は基本的に学校側の都合のみで決められたものがほとんどです。
また学校での人権侵害の例として、いじめ、体罰等の話を度々聞きます。
さらに、家庭では親の虐待 (身体的、心理的、性的、放置・放任等 ) も起こっているようです。
以上のように学校で、あるいは家庭でも子供の人権侵害が起こっています。
では、問題解決として何が必要なのでしょうか。
現在、子供への人権侵害が社会問題化しにくいのは、子供自身がそれを人権侵害だと理解して、第3者に救済を申し出ることがほとんどないからだと言えます。
まずは、子供の権利について子供だけではなく大人も理解を深めることが大切です。
また、それと平行して、川西市のように子供の権利侵害の救済機関を作ることが子供の権利を社会に根付かせていく上で必要です。
市長は 「子供の権利オンブズパーソン 」 の設置は、今後の課題としています。


児童の権利条約
【第12条】 「意見表明権 」 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童が、その児童に影響を及ぼす全ての事項について、自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見はその児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。 




CAP大人ワークショップ開催
--- 子供が暴力から自分を守るための教育プログラム ---
 CAPワークショップは、子供がいじめ、虐待、痴漢、誘拐といった様々な暴力から自分を守るためにはどう対処できるかを、話し合いやロールプレイを通して身につけます。大人ワークショップでは、CAPワークショップの紹介だけではなく、子供の虐待、いじめ防止における大人の役割がテーマとなります。
   日 時 :11月2日9時半〜11時半
   場 所 :武庫支所3階ホール    参加費 :無料
   主 催 :武庫小学校育友会      問い合わせ :濱田   TEL 6431-4117




2000年問題への対策を抜かりなく
水・保存食など備蓄が必要
私たちの日常は、暮らしの隅々までコンピュータや、機器に組み込まれたマイクロチップによって管理されています。
それらが次の2000年を認識できないとか、あるいは1900年と間違ってしまうとのことで、コンピューターなどが止まってしまったり誤作動する危険などが考えられます。
いま世界中で、コンピューターなどの手直しをするなど、一定の対策が取られつつありますが、マイクロチップは膨大な数に上るため、全てのチェックは事実上不可能と言われます。
身近なところでは 「水道、電気、ガスが供給されない。パソコン、テレビ、炊飯器、クーラー、携帯電話が動かない。エレベーターが止まる。信号機が混乱する 」 などが考えられます。
特に、食料輸入大国である日本への食料供給がストップすることもないとは言えません。
また、あってはならないことですが冷却水が流れなくなる等の原因によって原発が大事故を起こすことも想定されます。特に、2000年対応の進んでいない中国、ロシア等の原発などは怖い存在です。
スウェーデンでは、2000年前夜に原発の一時停止も考えられているようです。日本でも原発の一時停止が必要だと思われます。
政府は食料などの備蓄を呼びかけています。米国赤十字社は 「数日から一週間分の備え 」、米国連邦緊急事態管理局は「3日分の水と保存食」が必要だと国民に呼びかけています。
私たちも一定程度の備蓄が必要でしょう。「食料、水は最低でも3日間。できれば米など保存できるものは多めに。その他、手元に若干のお金を置いておく。銀行等の預金額を記帳しておく。年度をまたがっての飛行機の搭乗や海外旅行はできれば避けたい。灯油も少し早めに確保を 」 などなど。
危機管理とは、起こり得ることを全て想定し、事前に対策をとっておくことです。
尼崎市では、水道・消防システムのチェックが終わり危機管理計画を策定しました。
   尼崎市2000年問題対応窓口   TEL. 06-6489-6204


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