第27号(2001年5月)







恐ろしいダイオキシン汚染
尼崎はだいじょうぶか ----- 私たちの対策は
ダイオキシンの毒生は>
 ダイオキシン問題が取り沙汰されて、かなり時間が経ちました。
今回は尼崎市域の汚染の現状や、市行政の取り組みがどうなっているのか、市民に何ができるのか、ということを考えてみたいと思います。
 その前に、サリンや青酸カリよりも強いと言われるダイオキシンの毒生を確認しておきます。ダイオキシンの人体への毒生で、明らかになっているものには、発ガン性、催奇形性(ベトナム戦争の枯れ葉剤で多発)、生殖毒生(精子減少、子宮内膜症、流産、死産等)免疫毒生(病気にかかりやすくなる)急性毒性(数週間で死亡)等があります。


尼崎市のダイオキシン汚染状況
種類 測定地点 96年 97年 98年
大気  東難波町 0.84pg/立方メートル 0.17pg/立方メートル データまだ
 小田南中 - 0.41pg/立方メートル -
 立花北小 - - 0.072pg/立方メートル
 大庄公民館 - 4.3pg/g 0.10pg/立方メートル
土壌  小田南中 - - -
 立花北小 - - 0.71pg/g
水質  左門殿川 - - 0.005pg/P
 武庫川 - - 0pg/P
底質  左門殿川 - - 41pg/g
 武庫川 - - 0.1pg/g
海域  セイゴ35cm - - 0.36pg/g
 チヌ40cm - - 0.64pg/g
左門殿川は辰巳橋、武庫川は甲部橋、海域は魚釣り公園
基準: 大気の環境庁指針0.8pg/立方メートル 土壌1000pg/g
pg: 1グラムの1兆分の1


尼崎の汚染の現状>
 ではまず、表にあるように尼崎市におけるダイオキシンによる環境汚染の現状をみてみます。
データの中では、96年の東難波町の大気中のダイオキシン濃度が環境指針値を上回っているのが気になります。他の数値は、指針値等を下回っていますが、だからといって安心はできません。
日本の指針が、科学的な裏付けによって正しく設定された数値とは考えられませんし、日本の大気中のダイオキシン濃度は、欧米各国の濃度より10〜100倍高く、決して楽観できる状況ではありません。


尼崎市焼却施設のダイオキシン類調査結果
  第1工場 第3工場
第1機械炉 第2機械炉
処理能力 150t/24h 195t/24h 150t/24h×2基
竣 工 1976年5月 1990年2月 1982年11月
排ガス中ダイオキシン
ng-TEQ/g
96年度 0.93 3.71 9.45
97年度 0.69 1.7 5.3
冷却水  ng-TEQ/Nm - 0.412 10.3
土壌   pg-TEQ/g - 87 410
ng:1gの10億分の1、N:O℃1気圧における体積
TEQ:2.3.7.8ダイオキシンの毒性に換算したもの
排ガス基準:1998年12月〜2002年11月 80ngTEQ/N立方メートル
        2002年12月〜      既設炉 1ngTEQ/N立方メートル


行政の対応で安心か>
 尼崎市を含め特に日本の都市が、ダイオキシンに汚染されているのです。その対策として、尼崎市行政の取り組みですが、現在建設計画中の新設焼却炉については、バグフィルターと呼ばれるダイオキシン濾過装置を取り付け、最も厳しい排ガス排出基準を達成できる見通しです。
既存の焼却炉については、ダイオキシンは燃焼温度等により、発生量が大きく異なるので、温度管理を徹底するために、一部改造に取り組んでいます。


日本におけるダイオキシン類排出量の推定値
  ダイオキシン類濃度 推定年間排出量
  PCDD(ng/N立方メートル) PCDF(ng/N立方メートル) PCDD(kg/年) PCDF(kg/年)
都市ゴミの焼却 290〜1,700 300〜1,900 85〜500 88〜560
有機塩素系廃棄物
廃油などの焼却
150 340 8.2 19
医療系廃棄物の焼却 140 300 1.5〜4.5 3.2〜9.5
下水汚泥の焼却 5.0 30 0.039 0.234
製紙スラッジの焼却 5.0 30 0.015 0.091
木材、廃材の焼却 150 100 0.005 0.003
金属精錬関連施設 320 940 3.6 10.6
タバコの煙 5,256 - 3.2 -
自動車排ガス 省略 - 0.007 -
紙、板紙製品 160マイクログラム/ton 30マイクログラム/ton 2.2 0.41
PCDD:ダイオキシン、PCDF:ジべンゾフラン
(引用文献)『ゴミ焼却施設建設の実務』(東京都精巣技術研究会・工業出版社)



塩ビ製品がダイオキシンを生む
<塩ビを避けて、ゴミ減らし>
 しかし、いくら焼却炉のダイオキシン排出濃度を減らしたとしても、ダイオキシンの総排出量を減らさなければ意味はありません。
 そこで最も効果的な対策としては私たちが塩ビ製品をはじめとするゴミの発生を極力減らすということです。塩ビ製品は、一部ですが表示がついているのもあるので、それを確認した上で避けるようにしましょう。特に、食品ラップや赤ちゃんの歯固めなどは、塩ビ製品からはフタル酸エステルという環境ホルモンが溶出するので、絶対に使用は避けて下さい。


<タバコやコピー紙にも気をつけて>
 また、タバコは非常に高濃度のダイオキシンを排出するので、子供や妊婦非喫煙者のいるところや、多数の人が集まる場所でタバコを吸うのは、控えていただきたいと思います。
タバコを吸う本数も、少し減らしてみて下さい。
 コピー用紙等については、塩素で漂白された真っ白い紙の利用は避けて、再生紙で白色度の低いものを選んで下さい。
 私達がダイオキシンを減らすための基本的な考え方は、少し不便でも必要以上に物は買わないということ。
そして、もし買う場合には、塩ビ製品を避けたうえで、リサイクル商品や材料がリサイクル可能な商品を、極力買うようにするということでしょう。それが、最も根本的なダイオキシン問題の解決につながっていくのだと思います。


<行政当局にどしどし注文を>
 さらに行政に対して、塩ビの製造規制などダイオキシン対策を強めるよう、継続して意見を出していくことが必要でしょう。











ポリエチレン
テレフタレート
高密度
ポリエチレン
ポリ
塩化ビニル
低密度
ポリエチレン
ポリプロピレン ポリスチレン 1〜6以外のプラスチックおよび複合素材



PETボトル
ビデオ・カセットテープ
A-PET容器
ポリタンク
ロープ
スーパー持ち帰り袋(乳白)
卵パック
水道パイプ
フルーツケース
透明ポリ袋
マヨネーズ・ケチャップ容器
食用コンテナ
プリンカップ
PSPトレー
魚類
食卓関連雑誌
フィラー発砲PP容器
アルミ蒸着容器







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