第26号(1998年11月)




本会議  高級シャープペン購入を追及 
<役人の常識 予算消化で税金ムダ使い>
一人で七丁の鋏と金ペン
今年の5月から、丸尾まきは尼崎市都市局における消耗品費の支出内容の調査を始めたところ、いささか疑問のあるものに出会ったのです。
具体的には、4千円(定価1万円)のブランド品で、14金のシャープペンシルが60本購入されていることに気がつきました。他にも同じメーカーで14金のボールペン他メーカーの高額ボールペンが次々と出てきました。現在、築地区画整理事務所、開発課で購入されたことがわかっている高級シャープペン、ボールペンなどは、186本、48万円弱にもなります。
また、千円〜3千円程度の高級ハサミも大量に納品されていました。築地事務所、開発課で計293丁・約45万円も購入されています。
これらのシャープペン、ボールペン、ハサミはいずれも貸与ではなく、職員への支給です。築地事務所では、1人につき、4千円の14金シャープペン2〜3本、2千円の14金ボールペン1本、ハサミ7丁が支給された計算になります。全くひどい無駄遣いです。
さらにおかしなことに、1件あたりの契約は10万円未満がほとんどでした。これはなぜなのでしょうか。
1件が10万円以上になると4業者ほどに見積もりを出させて、その見積もりの一番安いところと契約をすることになります。10万円未満の場合は、1社のみと下見積もりをし(随意)契約をします。当然1社との随意契約の方が、競争がないので品物の納品額も高くなります。


高級文具等 無駄遣い一覧表(抜粋)
部署名 品  物 単 価 数 量 総 額 備  考
築地事務所
26人
シャープペン 4,000円 60本 240,000円 定価10,000円 14金
ボールペン 2,000円 20本 40,000円 定価10,000円 14金
シャープペンと
ボールペンセット
2,400円 35セット 84,000円 定価3,000円
ハサミ   192丁 231,350円 一人あたり7丁計算
開発課
38人
ボールペン 4,960円 10本 49,600円 定価6,000円
シャープペンと
ボールペンの複合ペンA
2,520円 10本 25,200円 定価3,000円
シャープペンと
ボールペンの複合ペンB
2,363円 16本 37,808円 定価4,200円
ハサミ   101丁 182,158円 一人あたり3丁計算


<価格操作の疑い濃厚>
同額請求書をぞくぞくと決裁
さらに、震災復興事業を受け持つ築地事務所の支出命令書や業者からの請求書を見るとおかしな支出が並んでいました。
「99,750円」という同額の請求書が2日間で15件も出てきたのです。購入した文具の多くは、内容が異なるのですが、なぜか金額はいつも「99,750円」なっています。
なんらかの価格操作をした疑いが濃厚です。伝票には市幹部の判が押されているのですが、疑問に思う市幹部はおらず内部決済はスムーズに進んだようです。
 これらのことのついての市当局に聞くと「たまたまそうなった」と答えるのみ。
尼崎市当局は、その金額が不思議にも一致した理由を、議会において市民に対し納得のいく説明ができません。これは、ごまかしのずさんな事務処理がなされたと言うことでしょう。当局の、あまりにも市民と議会を無視した行為と態度は、決して許せるものではありません。
なぜ市当局は、このような無駄遣いをするのでしょうか。本会議での答弁等から考えると、震災での政府からの補助金を消化するため無理にシャープペンやハサミを買っていたようです。
しかも、商品価格が高くなるような契約方法をとっていることも、同じ予算消化が目的なのではないでしょうか。このような随意契約が市当局全般で行われていれば、少なく見ても年間 1億円以上の損害を市(国)に与えていると考えられます。
高級事務用品の購入問題について、助役が建設委員会で陳謝しましたが、本当に反省しているのかは疑わしいところです。納税者の市民から見てこのような常識はずれの市当局の意識は、徹底的に改革しなければなりません。


97年度都市局予算差引表
月 日 支出命令番号 内  容 債 主 支出命令額
09.10 0090823000  事務用品別紙のとおり 株式会社〇〇 9,910
09.10 0091050000  一般事務用品 株式会社〇〇 99,750
09.10 0091051000  一般事務用品 株式会社〇〇 99,750
09.10 0091052000  一般事務用品 株式会社〇〇 99,750
09.10 0091053000  一般事務用品 株式会社〇〇 99,750
09.10 0091055000  一般事務用品 株式会社〇〇 99,750
09.10 0091056000  一般事務用品 株式会社〇〇 99,750
09.10 0091057000  一般事務用品   株式会社〇〇 99,750
09.10 0091058000  一般事務用品 株式会社〇〇 99,750
09.10 0091059000  一般事務用品 株式会社〇〇 99,750
09.10 0091061000  一般事務用品 株式会社〇〇 99,750
08.26 0091583000  トナーセット 〇〇株式会社 184,040





--- 安心の老後生活を目指して ---
まだ不十分な福祉の水準
<尼崎市の福祉利用状況を見る>
この表は、国が作成している老人保険福祉マップ表を抜粋したものですが、これを見れば主だった福祉サービスの尼崎市の福祉水準が概ねわかります。
その兵庫県の数値と尼崎市の数値を比較すると、いずれも尼崎市の数値は兵庫県の数値を下回っており、また他都市のサービス量と比較しても、尼崎市の福祉水準は、いずれも全国的な平均値より低いことがわかります。ただ、尼崎市の95年の数値は93年の数値と比べると、ホームヘルパー、ショートステイの利用状況とも、兵庫県の数値に近い値になっており、尼崎市当局もいくらかまじめに福祉分野に取り組み始めたことが分かります。とは言っても、先程も指摘したように尼崎市の福祉利用状況は95年度時点では全国的な平均値よりも低く、まだまだ市行政の福祉に対する姿勢が不十分であることには変わりありません。
また、この表はサービスの量を表したものですが、質については問うていません。今後介護保険の導入が予定されていますが、量の確保だけではなく、サービスの中身である質の確保も、非常に重要な課題です。そのためには、行政だけではなく、民間のサービス提供主体の情報公開を進め市民がその内容をチェックできるシステムを作り上げる必要があります。


老人保険福祉マップ数値表(市町村別)  <近年の福祉サービスの推移を見る>
  ホームヘルパー利用状況 デイサービス利用状況 ショートスティ利用状況
  1993年 1995年 1993年 1995年 1993年 1995年
兵庫県 61.0 89.7 49.7 82.9 23.0 56.8
尼崎市 49.0 88.1 37.1 80.5 10.1 26.3
西宮市 60.4 85.1 32.2 40.3 13.1 28.9
伊丹市 142.5 245.0 91.5 107.3 36.3 54.9
宝塚市 53.1 101.7 39.5 89.3 18.5 27.7
芦屋市 117.7 136.4 66.4 442.4 21.7 98.3
姫路市 68.0 102.2 26.3 45.6 15.8 28.3
川西市 38.0 55.6 19.8 57.0 23.4 29.8
数値は高齢者100人当たりの年間利用回数(1995年度の情報が通信作成時の最新情報)





<「不正出張」OBを含む>
議員OB会に補助金は必要か

 議員OB会は、2期8年以上勤めた議員が会員になります。以前は観光地ばかりの視察研修会をし、問題になったのですが、現在も日帰りで研修会は続いています。しかし、この研修会は報告書がなく、一体何を見て何をして来たのやら。以前の観光旅行と何ら変わらない状態です。
 他方、芦屋市では、市からの補助金は出ておらず、会員が出す会費で全ての事業を賄っています。これで当然だと思います。
 尼崎市では、「不正出張」に関わった議員が会員に大勢含まれており、市民感情からも到底認められる補助金支出とは思えません。ただちに、この100万円の補助金の支給をやめるべきです。

議員待遇者(OB)会補助金等状況
  待遇者会有無 市補助金額 会費 支出内容 バッジ有無 備考
尼崎市 有り 100万円 なし 総会、視察研修会(日帰り) 有り 総会参加者個人負担3千円
西宮市 有り 100万円 1万5千円 総会、視察研修会(1泊2日) 有り  
芦屋市 有り 0円 5千円 総会 無し  
伊丹市 有り 70万円 1万円 総会、視察研修会(1泊2日) 無し  
川西市 無:市功労者会 0円 なし 市政概要説明会 無し 説明会約29万円(市負担)





開発の意味を問う 「あまがさき地球村」立山裕二(東園田町)
「大自然こそ完成した巨大プロジェクト」

最近、美しい自然に囲まれた地球から、地球環境問題の講演を依頼されることが多くなりました。緑が多くて、美しい川が流れるところでも地球に思いを寄せる人達がいることを知り、感激しています。
ところで、地元の人達と話をしていると、必ずと言っていいほど「開発」という言葉がでてきます。「美しい自然を残したいという思い」と「開発が遅れることで周辺地域から取り残される不安」とが交錯しているのだそうです。
しかし、次のことを考えてみてください。もし東京や大阪のど真ん中に千メートル級の山並み、美しい水を流れる渓流、サンゴ礁が輝くマリンブルーの海、そして多様性に満ちた生態系などを造るとしたらどれほどのお金がかかるでしょうか。おそらく数兆円以上、というよりも実現不可能でしょう。
こう考えると、実は「大自然が巨大プロジェクトを遥か昔に完了してくれていた」ということが分かります。私たちは、いまさら「開発」に頼らなくても、自然の残してくれた大プロジェクトを思う存分活用すればよいのです。
しかし私たちは、10億円のリゾート施設を建設するために、何兆円出しても創れない自然を「開発」の名のもとに根こそぎ壊しているのです。私たちは、手遅れにならないうちに、「開発」の意味を考え直す必要があるのではないでしょうか。





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