第25号(1998年8月)




---ケア付き仮設を恒久施策に!---
介護保険メニューにグループハウス事業を

ケア付き仮設住宅事業は、尼崎市の福祉事業で社会的に評価されているもののひとつです。各住民は個室で生活をし食事などのスペースは共用になっています。また、常に生活援助員が配置されていて、日常の生活を手伝っています。ここでは、高齢者施設のような集団生活ではなく、より日常の生活に近い暮らしができ入居者もいきいきしています。
しかし、その仮設住宅は、今年9月ぐらいを目処に閉鎖されます。そこに住む住民の多くは特別養老老人ホーム等へ移動する予定のようですが、特別養護老人ホームは617人(98年4月1日現在)の入居待ちがあり、すぐに入れません。
そこで当面の措置として、ケア付き仮設とほぼ同じケアができるグループハウス事業を実施することが決まりましたが、これも5年経てば止めてしまいます。行政はこの事業を震災対策として捉え、震災被災者が施設等に移れば、やめるつもりでいるようです。
しかし、この事業は高齢者施策として優れたものであり是非、震災対策としてだけでなく、恒久施策として継続するべきです。特別養護老人ホームについては、今後尼崎市で十分な数が確保できるかどうか非常に難しい状況です。そういうことも考慮に入れ、一方、高齢者福祉の選択肢を拡大し、質の向上をはかるという意味からも、「グループハウス事業の継続」、「介護保険、メニューへの組み入れ」を、是非とも実現したいものです。



聴覚・音声言語障害者への福祉施策の充実を

今議会の一般質問で、丸尾まきは聴覚等障害者の福祉施策の充実について、市長に問いました。聴覚等障害者の方は、電話が使えず、緊急時を含めファックスでの連絡しかできません。また、市役所などへ行っても手話が通じないため、苦労しています。

[質問] 本庁舎だけではなく、各支所や公共施設等に公衆ファックスの設置をすべきでは。
(答弁) 当面各公共施設に備えてあるファックス電話での対応を検討していく。
[質問] 市行政への問い合わせ等も、ファックスでの問い合わせになるが、各支所・保健所等のファックス番号を公開すべきでは。
(答弁) 各支所・各保健所のファックス番号は機会あるごとに積極的に公開していく。
[質問] 手話通訳者の福祉事務所・支所・保健所への配置を検討すべきでは。
(答弁) 利用頻度や、通訳者の確保あるいは手話能力など解決すべき課題が残っており、今後ともさらに検討していく。
【牧・・・不十分ですが、少し前へ進みそうです】



---絶滅が危惧される渡り鳥コアジサシを救いたい-行政は計画の変更を!---

武庫川河口で営巣して子育て
<来年も来て欲しい>

旧武庫川ファミリーパークに絶命危惧2類に指定されている野鳥のコアジサシが営巣していることが確認されました。絶滅危惧2類とは、国際的に協力して種の保存を図ることとされている絶滅の恐れのある動植物種です。
このファミリーパーク跡地は、当面野球場・サッカー場等多目的広場として利用の予定です。市行政は、コアジサシの雛が孵り、巣立つまでの間、広場整備のための工事を少し延期するつもりです。しかし、コアジサシを保護するのは当面のようです。
昨年もコアジサシは、この場所に来ていたようですが、もしもこの場所を多目的広場として整備をしてしまえば、来年はコアジサシは姿を現さないでしょう。
私たちは、自然の生態系を無視し様々な開発で自然破壊を進めてきました。このような開発最優先の在り方を改め、動植物と共存できる環境を残していかなければ、私たちにも未来はありません。
そこで、この多目的広場の計画を少し変更し、サッカー場予定地については一部を野鳥の生息できる広場として残せないでしょうか。
コンクリートジャングルに囲まれた私たちの生活の中に、心が安らげる空間を作るのはとても意味のあることだと思います。
【現在、コアジサシの営巣場所の保全を求める署名を集めています。ご協力いただける方は丸尾までご連絡下さい】



気をつけて!超微量で胎児・幼児に影響
環境ホルモンについて

水堂町 山家 健盛
「環境ホルモン」がテレビや新聞や雑誌に盛んに取り上げられています。エンドクリン、外因性内分泌撹乱化学物質、ホルモン様化学物質等と色々な言い方をされていますが、全て同じものです。
現在の我々の生活は、化学工業抜きでは成り立ちません。この我々の生活を支えている合成化学物質の中に、ホルモンと似た作用をする物があることが明らかになってきました。
環境ホルモンについては、まだまだ未解明の点が多いのですが、その化合物が毒性を発揮するよりずっと少ない量で悪さをするという共通点があります。
ホルモンには男性ホルモンと女性ホルモンなどがあるのですが、環境ホルモンは女性ホルモンのように働く物が多いようです。魚に正常なオスが少なくなってきたとか、人間の男性の精子の数が昔に比べて減っているとか言われているのは、環境ホルモンが女性ホルモンのように作用するためです。
環境ホルモンについては、大人はそれほど神経質になることもなさそうですが、妊娠初期の胎児への影響は大きいようです。妊娠する可能性のある女性は、食事に気をつけたほうが良さそうです。また、赤ちゃんに与えるものにも気を使うほうが安全です。
食べ物については、昔ながらの自然食品が安心です。食器もプラスチック類は避けて、陶磁器を使うと安心です。



哺乳瓶からビスフェノールが溶けでる!

 環境ホルモンは胎児や幼児の発育を阻害するおそれがあると言われています。下記の表からわかりますが赤ちゃん用哺乳瓶については、熱湯で環境ホルモンが溶出しています。
哺乳瓶はガラス製を選択したほうが良いようです。尼崎市の公立保育所はガラス製の哺乳瓶を使用しています。私立保育所についてもガラス製が望まれます。カップ麺などプラスチック容器も環境ホルモン溶出の危険が指摘されています。

赤ちゃん用哺乳瓶のビスフェノールA溶出検査結果
常温=26℃ 熱湯=95℃ 1〜6はポリカーボネイト製 [単位:ppb]
番号 商品名 製造・販売 ビスフェノールA
常温 熱湯
1 ディズニーベビーKP-240 ピジョン 不検出 3.3
2 ヌーク哺乳瓶 コンビ 不検出 3.1
3 ビーンスターク 大塚製薬 不検出 5.5
4 ベッタ ズーム・ティー 不検出 3.9
5 ハローキティベビーズ トミー 不検出 4.5
6 モテモテくん イノアック 不検出 3.9
7 スヌーピー(ガラス製) ピジョン 不検出 不検出
検査:横浜国立大学環境化学研究センター(花井義道)
日本子孫基金「食品と暮らしと安全」102号より




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