第23号(1998年2月)






水道料金値上げに反対です

 今回、市議会で17.24%の値上げが可決されました。1カ月に20立方米使う平均的な家庭では、1,491円から1,753円に値上がりします。
値上げの主な理由は、阪神水道企業団から買っている水が、23.4%値上がりするためということです。
 しかし、私たちは今回の値上げには反対です。
その理由の一つは、買上先の阪神水道企業団は、以前にカラ出張が行われており事業の運営が適切に行われているかが疑わしいこと。
二番目に、17%もの値上げ幅は大き過ぎること。消費税が上げられ、景気見通しが立たない今の時に、新たに市民に負担を求めることは極力避けるべきだと考えるからです。
 3年後にも、大幅な値上げが画策されています。値上げに抗議の声を上げていきましょう。



ノンステップ(超低床)バス
尼崎市に11台導入決まる

 車椅子の障害者の人から陳情が出され、議会で導入が採択されました。
その議会の判断を受けて、市当局は11台のノンステップ・バスを導入します。
ノンステップ・バスとは、バスに乗るときに段差がなく、車椅子でもそのまま乗ることができるバスです。
この4月から走らせる予定です。
 また、環境にやさしいバスとして停車時にエンジンが自動的に止まるアイドリング・ストップ・システム付きのバスも導入が始まります。
交通局は、ノンステップ・バス、アイドリング・ストップ・バスとも全車両に導入していきたいようです。



市議会から政府へ意見書提出
「遺伝子組み換え食品の表示義務づけを求める」

『長期間摂取した場合の人体に対する影響等については、未だ解明されておらず、また、一部の国においては表示を義務づける等の動きがあることから、消費者の不安の声が高まっている。加工品となって販売されたり、学校給食に使用されても消費者は選択することができない。
政府におかれては、継続して安全性の確認に努めるとともに、「遺伝子組み換え食品」の表示義務付けを実施されるよう強く要望する』
 (要約)

 市議会から、ようやくこの意見書が政府へ提出されたのですが、農水省は「法律で表示の義務付けはせず、ガイドラインで対応する」と決めました。
アメリカ政府や産業界に配慮して、国民の安全を犠牲にする政府の対応に、怒りさえ覚えます。引き続き、表示義務付けを求めていきましょう。



環境都市ドイツ・フライブルク市を訪ねて
尼崎市議会議員  丸尾 まき

環境のキーワードは 、市民の意識と行動
〜身近なこと、出来ることから〜


大いなる期待を持って

 先日、私はかの悪名高い海外視察なるものに、他の市民派地方議員と共に行ってきました。しかし、今までの海外視察と違うのは、私たちは、私費で行き、観光地巡りはせず、報告書を自分たちで作り、本当に市民にために役立つ視察を創り上げるということです。
 目的地は、環境首都と呼ばれるドイツのフライブルク市。事前に収集した資料によって、理想の自治体を思い描き、わくわくしながら、訪問をしました。

あれ! ゴミが落ちてるわ

 ところが、フライブルク市へ着くと、尼崎市ほどではないにしても、ゴミは落ちてるわ、タバコの自販機(飲料用の自販機はなし)はあるわ、歩きタバコの人達はぞろぞろいるわということで、少し失望をしました。
 ただ、問題はどこにもあるもので、問題を抱えているからこそ、私たちも理想の自治体を目指すことができるのだと、逆に元気が出てきたのも事実です.

街の中に自動車が少ない

 そこで、このフライブルク市の興味ある対策をいくつかあげてみます。
そのひとつは、街の中の自動車の使用を、極力排除していること。
 街の中は、路面電車が走り、店舗等への運搬用の車以外は、街の中心部には入られないようになっています。
街の周辺部には駐車場があり、そこに車を止め、街中には車で入らないように工夫しているのです。
また、車の使用を減らすため、自転車道が整備されており、街全体が、環境に優しく仕上げられているようです。 さらに、鉄道、路面電車、バスに乗り放題の環境切符が、安価で発売されていて、公共交通への誘導策もきっちりと採られています。

使い捨て容器の使用はダメ

 二つ目は、お祭りの時に使い捨て容器の使用を禁止したということ。
この使い捨て容器を禁止するかわりに市当局は、食器の用意をし、イベント時に貸し出すようにしました。
日本の現状を見る時に、お祭りというのは、大量消費・大量廃棄文化そのものになっています。ただちに見直しが必要です。
少し雰囲気は、変わるかも知れませんが、食べ物はお店の前で食べるというルール作りさえすれば、使い捨て容器の禁止は、スムーズに受け入れられるのではないでしょうか。

原発やめて、やさしいエネルギー

 三つ目は、太陽光発電システムを始めとする多様なエネルギー自給システムを、積極的に進めていること。
 以前、近郊に原発が作られるという計画があり、その原発建設の反対運動を契機に、エネルギーの自給を進めていくようになりました。
具体的には、地域にあるサッカー場の観客席の上に、市民の出資によって太陽光パネルを民間主導で設置したり、市行政が省エネランプを全戸に配ったり、ゴミの埋立地から出る腐敗ガスを電気と熱に変換して市民に提供したりと様々な取り組みをしています。

ゴミ減らしに知恵を出して

 四つ目は、ゴミを極力減らそうとしていること。
 例えば、スーパーでは、野菜は裸で売られており、歯磨きチューブも箱には入れずに、裸のまま売られています。
ジュースなどは、ビンが中心で、デポジット制度によって、回収されています。
一部、ペットボトルも売られていますが、それも繰り返し使用されています。また、買い物袋は基本的に、自分で持っていきます。

危機はすぐ近くに迫っています

 このように、ドイツ・フライブルク市の取り組みをいくつか紹介しましたが、どれも、少しやる気さえ出せれば、日本でも実現できることではないでしょうか。
 私たちは、地球温暖化、飛躍的に増加している人口爆発、それに伴う近い将来の世界的な食料危機、熱帯林の減少、酸性雨、地球砂漠化など。
どれをとっても危機的な状況で、見通しのたたない事態に陥っています。
そして、このような状況になった責任は、日本を含む先進国にあります。

地球を考え、足元から行動を

 ただ、これらの問題について、嘆いていても始まりません。
人間を含む生物が生息できる自然環境と限りある資源を、将来に残すために、私たちは、今の暮らしを見直さなければなりません。
未来の子供たちや第3世界の人々は、私たちと同じように暮らしていく権利があるのです。
そのことをしっかりと心に留めて、まず一つでも、できることから始めてみませんか。
ドイツのフライブルク市に住む日本人に、お話しを聞いたところ、ドイツは行政が良いから環境対策に熱心だということでもないようです。
そこに住む人達が、環境問題に熱心だから、結果として、すばらしい環境対策がとられるようになったのです。
 そこには、日本より進んだ民主主義があり、行政にしっかり意見を言うNGO、市民がたくさんいるということが背景にあるのです。



市民自治・環境・福祉のまちづくりを


目次へ戻る