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 「はねこみ」は、丸地商店の周辺地域で行われる念仏踊りの通称です。念仏踊りは初盆宅の庭先で行われるのが通例ですが、地域によっては開催場所や時期、その形態も少しづつ異なっています。太平洋戦争の前までは、念仏踊りは奥三河の広い範囲で行われ、東三河全域を含めると100余地区で開催されていたそうです。しかし、今日ではそのほとんどが消滅し、僅かに奥三河の一部で存続しているに過ぎません。
  この地域の念仏踊りは、しんみりとした鉦の音に合わせて荘重に念仏を唱える「念仏」の部分と、笛の音と鉦の拍子にあわせて跳びはねながら太鼓を打ち鳴らし、息を切らして舞う勇壮な「はねこみ」の部分とに分かれています。勇壮な舞がとりわけ印象的なことから、「はねこみ」が念仏踊り全てを指す通称となっています。
 丸地商店がある連合四谷地区でも10年ほど前までは、3つの部落で「はねこみ」が行われてきました。地区の中心に位置する方瀬・真菰(ホウゼ・マコモ)部落、東隣の身平橋(ミダイラバシ)部落、四谷千枚田の大代・大林(オオジロ・オオバヤシ)部落です。しかし、過疎化と若者の流出により、今では方瀬・真菰、身平橋の2部落でやっと開催できる状況です。

 平成14年8月14日、方瀬・真菰の部落では、2軒の初盆のお宅で「はねこみ」が行われました。夕刻、「念仏」を唱える中老衆と「はねこみ」を舞う若衆が、松明に案内されて前庭へ練りこみ、以後、きまった順序で行事が展開されました。

 1軒目は原田さん宅。
急勾配の坂道から入り庭です。
纏を先頭に、中老、若衆が続きます。
 若衆は、若長を先頭に、笛、次に太鼓と鉦が交互に行列を組み、初盆宅の前庭へ「道行」の拍子を奏でて練りこみます。
 輪作りが終わるといよいよ「はねこみ」です。
「はねこみ」は太鼓を打ち鳴らしながら拍子に合わせ、左右に跳びはねながら舞う「十六」(とうささぎ)と呼ばれる節からが見所になります。
ピーヒャルヒャ、ピー、ピーヒャルヒャ 「あ、そーりゃっ」ドンドンドンドン、ドーン、ドン、ドドーン、ドーン、ドーン 「あ、せっせぇ」
 「はねこみ」が一通り終了すると、若衆は裏庭で休憩します。
前庭の仏前では、中老による荘重な「念仏」が始まります。
かわいいちびっこも集まってきました。
 
 「念仏」が終わると、あわただしく「とり唄」が始まります。
「とり唄」は歌い手の節に合わせてはねる「はねこみ」で、輪の中心から外へ放り出すように太鼓を振る動作が特徴です。纏も節と太鼓に合わせて、輪の中を舞います。
若衆の音頭で手踊りが始まります。

 手踊りの間、中老、若衆の順で初盆宅で接待を受けます。接待も終わり、手踊りに疲れた頃、鉦が入り「二拍子」「念仏」「とり唄」「大拍子」と続きます。手踊りの後に続く「はねこみ」は、中老衆にも出番が回り、昔取った杵柄を披露する絶好の場になります。
頃合を見計らって笛が入り、引き庭となって、一軒目は終了します。
 2軒目は長谷川さんのお宅。2軒目からは体の動きも軽やかに、「はねこみ」も大きく見えます。
 

 

 
 入り庭から「はねこみ」「念仏」と続き、「とり唄」「大拍子」のあとは、手踊りです。
沢山の人で賑わい、手踊りの輪も庭いっぱいに広がります。

 若衆の接待が終わり、日付が変わる頃、手踊りが笛の音で切られ、あわただしく「二拍子」が始まります。
正に突然はじまるので、笠をかぶる余裕も有りません。
 その後、「念仏」 「とり唄」「大拍子」と続き「中岡崎」で引き庭となり、「はねこみ」の全日程は終了します。
集会所で、お片づけ。
お疲れ様でした。

「はねこみ」式次第 全行程2.5時間前後

入り庭
約3分
@道行き

 入り庭は、「念仏」を担当する中老衆が持つ纏を先頭に、笛、鉦、太鼓を持った若衆が列をなし、「@道行き」の拍子を奏でて初盆宅の前庭までの道のりを練り歩きます。このとき、太鼓を持つ若衆は太鼓を脇へ抱え、ゆったりとした拍子に合わせて「そーりゃ」と息を合わせます。太鼓の数は通常6張りで、鉦4以上、笛3以上で構成されます。

 松明が灯された庭先へ先頭の纏が差し掛かるとき、拍子は「A数え唄」へ変わります。それまで抱えていた太鼓は手提げされ、拍子に合わせて腰をかがめながら太鼓を打ち鳴らし、やがて太鼓だけが前庭で小さな輪を作っていきます。「A数え唄」が終わると、それまで歩きながら輪を作っていた太鼓はその場に止まり、「B祇園ばやし」「C浜松しゃんぎり」と続き、「はねこみ」の準備を整えていきます。

 太鼓の輪が完成し、その場で止まって打っていた太鼓は、「D十六」の拍子から劇的に大きな舞に変化します。ここからを「はねこみ」と称し、上下左右に太鼓を打ち鳴らしながら片足立ちで勇壮に跳びはね、鉦の拍子、笛の音、掛け声と太鼓が夕暮れの谷に響き渡り、木霊します。「I四つ拍子」までの間、若衆は息を切らして跳ね回り、間合いを見計らいながら交代していきます。

輪作り
約5分
A数え唄
B祇園ばやし
C浜松しゃんぎり
はねこみ
約10分

D十六(とうささぎ)

E岡崎
F金輪しゃんぎり
Gみょうざ
H中しゃんぎり
I四つ拍子
念仏
約12分
J念仏  「I四つ拍子」が笛の音で切られると、一転して荘重な「念仏」が始まり、動と静の絶妙な取り合わせが演出されます。念仏は途中一回休みが入り、お茶が振舞われます。
はねこみ
約5分
Kとり唄  「念仏」の次に行われる「はねこみ」は、それまでの「はねこみ」と異なり、笛は入りません。笛の若衆が唯一はねることが出来る時間帯です。
「Kとり唄」は唄に合わせて跳ねるはねこみで、太鼓を大きく振り上げる動作が特徴です。「L大拍子」は鉦と太鼓のみのはねこみで、小さな輪から弾けるように跳ね広がる動きが特徴です。また、若衆それぞれが一回転する動きが入り、「はねこみ」の中で一番躍動感あふれる舞です。
L大拍子
手踊り
約90分
M手踊り  「L大拍子」が終わると、前半のはねこみは終了です。ここからは、若衆が先導して踊る手踊りです。手踊りは、音頭とりの唄をその他が返して唄い、一体となって楽しむ踊りです。「おーぉどーらまーいーかよぉ 三人でなーれー・・・」と輪が作られ、「おさま甚句」「やんさ」「とよえ節」「御嶽山」「ちょいな」など、数々の節があります。それぞれの節には最初に唄われるその節専用の歌詞の他、各節共通で使われる歌詞も用意されています。手踊りで、全体行程の時間配分が決まります。また、手踊りの間に中老、若衆の順で接待を受けます。「数え唄」が手踊りの最後に選ばれるのは、歌詞が二十一までと決まっており、次の「はねこみ」の準備が整えやすい利点があります。
はねこみ
約3分
N二拍子  手踊りが笛で切られると、あわただしく「N2拍子」がはじまります。手踊りの後のはねこみには、中老衆や一般の方の参加もあり、大きな盛り上がりを見せます。多くの方に跳ねていただく為に、「N二拍子」はなるべく長く続けます。
念仏
約12分
O念仏  大きな盛り上がりも、突然笛で切られ、一転して荘重な「念仏」がはじまります。
はねこみ
約7分
Pとり唄  このはねこみで、全行程の終了が見えてきます。「Pとり唄」では、踊り好きだった仏の為に、施主は「ご所望」をして、なるべく長く跳ねてもらおうと引き止めます。
Q大拍子
引き庭
約3分
R中岡崎  「R中岡崎」は「E岡崎」の返し部分を省いた節で、帰り支度の慌しさと引き際の寂しさが演出されます。この節の間に纏、中老、若衆は行列を整えていきます。
行列が整った所を見計らい、「S道行き」の節に変わり、一行は前庭から引いていきます。
S道行き

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