武田信玄の財宝
 世に名高い川中島の合戦は、信州の善光寺平であるが、この附近においても、天文十八年(一五四九) 新たに武田信玄の手に加わった上州の先手(さきて)を案内に、甲軍が西上州に侵入した三寺尾の合戦以来、 甲越両軍の激突は、永禄九年(一五六六)上杉方の牙城箕輪落城まで続いていた。 信玄は数年後、この山名丘陵の一部に狼煙(のろし)城を築いている。新附の上州の諸将を監視するためである。 その城は現在根小屋城と呼ばれている堡塁址である。
 ところでその頃信玄は、上州での軍資金を根小屋城近くの尾根に埋め、事に備えたという話が伝わっている。 古老の話では、その場所で足を踏むと、足下は空洞で音が響くので、鳴るが尾根と言うそうである。
 十年ほど前、麓の村で戦国の古銭を拾った小児のことが、新聞に載ったことがある。

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