コーディネーター 大理石彫刻家 後藤 秀樹 美祢市在住
今回で5年間続いたシンポジウムも一応の終わりを迎えた。
いろいろな作家、スタッフ、市民の人達の異なる個性、価値観、習慣に触れながら、美祢の大理石を一つの文化と捉え、どのようにすればそれを活かしていけるのか、どうすれば美祢市の景観やみんなの生活に潤いを与えることが出来るのか、みんなで考え行動してきたつもりが、振り返ってみると、作品以外なにも残っていないような気がする。やっと最近になって、みんながそれらについて自然に考えられる地盤のようなものができてきたような気がするが、最初はとにかく手探りで彫刻を作ることが目的のようになっていた。会場となった来福台も5年前までは草の生い茂げる荒涼とした所だった。しかし、今では家が立ち並び子供達の無心に遊ぶ声がいたるところで開かれる閑静な街になりつつある。白い大理石の作品達は、恵まれた環境のなかでこの地域の特性をうまく引き出し、未来にむけてメッセージを発信し続けるだろう。それは20〜30年先、あるいは200〜300年先にならないと評価されないかもしれない。地域文化の発展のためにはそういった時間をかけて熟成させる永い期間が不可欠であろう。本当の創造はこれから始まるのかもしれない。今までのシンポジウムがこれで終わりではなく、未来にむけての第1歩になり、地味ではあるがじっくりと丁寧に進めていくこれからの日々の努力こそが今後の課題であり楽しみでもある。
最後に、これまでの間、コーディネーターという役割をいただきながら、なかなか思うようにこなすことが出来ず、反省することばかりであったが、皆様に助けられて無事に終わることができたことに深くお礼を申し上げたいと思う。
2000年度 シンポジウム記録誌より
後藤秀樹 プロフィール
1959年 | 1月23日山口県生まれ |
1984年 | 東京芸術大学彫 刻科卒業 |
1985年 | 個展開催(4F) |
1986年 | イタリア、スクオーラ、マルモ
(大理石専門学校) 入学 ナント国際石彫シンポジューム参加 |
1987年 | オルトヌォーボ彫刻展出品 |
1988年 | ポンテ・ディ・フェッロ国際彫刻シンポジューム参加 (カッラーラ) |
1989年 | イタリア在住日本人展参加 |
1991年 | カッラーラ美術アカデミー彫刻科卒業帰国 |
1992年5月 | 香川県ストーンミュージアム石彫展出品 |
6月
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アトリエを山口県美祢市に移す |
8月
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岐阜県ひるかわ石彫の集い参加 |
1993年 | JR美祢駅前公園(ポケットパーク) プロジェクト・モニュメント制作 |
1994年 | 山口県セミナーパーク (県 研修施設) 彫刻制作設置 |
1996年 | 美祢国際大理石シンポジウム’98 コーディネーター |
1997年 | 美祢市立 伊佐中学校 モニュメント制作 |
1998年 | 美祢国際大理石シンポジウム’98 コーディネーター |
1999年 | 美祢市 「美祢来福センター」 モニュメント制作 |