痛みをこうむるのは有権者
 今回2010年の選挙で、消費税の他にもう一つの重要な争点は、国会議員の定数削減だ。民主党も自民党も議員定数の削減を言い、更に大幅な削減を主張する政党もある。
 例えば民主党の「衆議院比例定数80削減」をお金で考えてみる。議員一人あたりの費用は秘書の分も含め年7千万円と言われる。80人分で年56億円だ。確かに大きい額だが、政党助成費が年320億円かかっているので、この56億円は政党助成費を約20%削減すればすむ額だ。
 「衆院比例80削減」は、民主主義には大きな害をもたらす。この削減が実施されれば小選挙区中心の選挙になり、民主党と自民党がほとんどの衆議院議員を占めるだろう。民意と国会議員の構成が大きく異なり、民主主義の基本である「国会議員が民意の代表」という事がなくなってしまう。
 朝日新聞7月2日の点検マニュフェストで上脇教授の「比例は民意を反映しやすい制度で、削減すると民意と違う政権ができる。巨大な官僚機構と向き合うためには議員を増やさなければいけない」との指摘に全く同感だ。
 増税への反感をもとに定数削減を主張する政党が選挙で伸びれば、しばらくして本当に痛い目にあうのは有権者と日本の民主主義だ。
2010年7月16日