マナティに会いに行く(97年夏)
-その2-



マナティプール
マナティがゆっくりと泳いでいる。
マナティプールのまわりには結構な人だかりができていた。
大人もこどももみな、じっとマナティたちを見つめている。
ああ、とうとう会えたなあ、という思いがわいてきた。
マナティホームページを作ることはアメリカに来る前から
決めていたので、デジカメを取り出して写真を撮りはじめる。
その時、一頭のマナティがくるり、と横向きに一回転した。
つるりとしたおなかが見える。
面白いな、と思ってみていると、くるーり、くるーりと
ゆっくりした回転を繰り返す。
どうやら遊んでいるようだ。
マナティは遊びが大好きで、よくアンカーロープに抱きついて
いるような写真を見る。
人間たちの方にちらっと視線を向けるマナティもいる。
「はるばるここまで会いに来たよ」と心の中で呼びかけた。
名残惜しかったが、イルカのショーを見るために一度その場を離れた。


イルカのショーを見終えて、再びマナティプールに戻ってくる。
一緒に行動していた子たちも、みなこの不思議な生き物に魅せられているようだ。
今度は、地下に降りていって、短いフィルムと水槽ごしのマナティを見ることにした。
地下のシアターの壁に、ゆうゆうと泳ぐマナティが映し出される。
ちなみにこのマナティコーナーの名前は、"Manatees:The Last Generation?"
(マナティ:最後の世代?)となっている。
21世紀もマナティが生き続けていることを願って、フィルムは終わった。
あおむけマナティ
次に先ほど上から眺めたマナティを、今度は水槽の側面から見られる
地下通路にでる。
ガラスごしにマナティや魚たちの姿が見える。
ここではみな写真を撮っていた。
あお向けになっているのはさっきもくるくる回っていたマナティかな?
いつまでもここにいたかったけれど、通路を通って地上へと戻った。
その後、マナティショップで買い物をしたりして、のどが渇いたので、
飲み物を買いに行った。
と、突然大粒の雨が激しく降り出した。
雷も鳴り響いている。
傘をさしたとしても、びしょぬれになってしまうような雨だ。
「20分ぐらいで止むと思うんだけどね」
と一緒に飲み物を買いに来たアメリカ人のトゥリサがつぶやく。
夏のフロリダは、毎日のように夕方頃強い雨が降る。
大体30分もしないであがって、少し涼しくなるので、フロリダの人たちは必ずしもこの雨を
嫌っていない。
しかしこの日の雨は激しい上に長く続いた。
私たちはその後1時間以上、ドリンクコーナーで雨宿りする羽目になったのだ。
雷がすぐ近くに何度も落ちる。
腕に派手な入れ墨をしたおじさんが、
"Hey,Chicken!(やーい、腰抜け)"
と誰かをからかっている。
雨が止みそうにないのと、さっき買ったマナティマグネットが袋に入ってないのに気付いたの
とで、わたしは傘をさしてもう一度マナティコーナーに戻ることにした。
無事マナティマグネットを受け取って、雨の中もう一度マナティを眺めた。
激しい雨が水面を打ちつけている。
その中で、マナティたちはじっと一カ所に固まって身を寄せ合っていた。
また会いに来るからね。
しばらくして2時間近く降り続いた雨はようやくあがったが、すでに集合時間間近で、ほかの
動物たちは見られずじまいだった。
少し残念だけど、仕方ない。
マナティに会えた満足感とともに、わたしはシーワールドをあとにした。


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