届かない手紙

架空の国の切手を描き続けた画家ドナルド・エヴァンズ宛に綴られた短い手紙の数々。エヴァンスゆかりの場所・人々を訪ねる異国の旅の道中も、その手紙は送られ続ける。既に亡くなった画家宛の、決して返信のない一方通行の文通。でも読んでいると不思議と温かく、優しい気持ちになってくる。白地に、タイトルは銀の箔押しという潔い装丁も魅力。
『葉書でドナルド・エヴァンズに』平出 隆(作品社)