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X−メン X-Men
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 コミックから実写への映像化、というパターン自体は別段珍しくありませんが、その出来上がりには首をかしげたくなることが多いもの。しかし、この実写版『X-メン』は、原作の良さを巧いかたちで翻案した、なかなかの好編に仕上がっていたと思います。私なんぞはまず格闘ゲームから入って、そのあと翻訳版コミックでハマったという典型的なにわかファンではありますが、それでもこの作品が、原作が元来持つ魅力を良く理解した上で作られた、ツボ押さえまくりの映画であることは十分感じ取れました。

 もともと原作は、超能力を持ったスーパーヒーローの姿を描いていながらも、決して単純な勧善懲悪の物語にはなっていません。そこでは、なまじ超能力を持ったがために人間社会から阻害されてしまう異端者の悲哀と苦悩こそがメインテーマとして描かれています。ヒーローとしての華々しさは微塵もなく、むしろ、逆境の中で己の信念を貫こうとする異端者たちの苦闘ぶりが、時には善悪の境界すらをも超えて、ひたすら渋く男臭く描写されているという点が、原作の持つ最大の魅力でしょう。映像化に際して、そこが忠実に再現されていたのがなにより嬉しかったですね。

 また、ビジュアル面において、キャラクターがよく似ているというところも、ファンにはたまらないファクターとなっていました。とりわけウルヴァリンのそっくりさんぶりには感服すらさせられましたよ。よくもまあ、あんな適役を見付けてきたものです。あのキャスティングに不平のある人はまずいないでしょう。ある意味、そのことだけでも賞賛に値します。他にもストームなどもよく雰囲気出てましたね。サイクロップスのヘナチョコぶりも、それはそれで原作っぽくて良し良し。

 しかし逆に、ファン層を意識するあまり、原作を知らない人たちからすると、キャラクター描写や物語そのものが説明不足なものになってしまっていたことは否めません。良くも悪くも、まずファンありき、な作品であると言えるでしょう。もしこの映画観てちょっとでも興味を惹かれたなら、小学館から出ている翻訳版コミックを手に取ってみることをオススメしておきます。とりあえず1巻と2巻だけでもいいかと思うので。

 無理を承知で希望を言うなら、このキャスティングと雰囲気を継承したまま、テレビシリーズ化するなどしてじっくり描いてくれるのが一番嬉しいんですけどね。とにかくどんなカタチであれ「この次」があるとするなら、今度はぜひ、今回登場しなかったガンビットやビースト、オメガレッドといった面々を登場させてもらいたいものです。期待してるぞ〜。
(ちなみに“花火娘”ジュビリーはほんのワンシーンだけ登場してたらしいです。探してみましょう(笑))



(01.01.28)