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ウォーターボーイズ
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 その男子校の水泳部は部員を一人残すのみ、もはや廃部寸前であった。しかしある日、ここへ若く美人の女教師が顧問としてやって来たことから、いきなり部員が爆増する。スポーツのエリートから落ちこぼれまで、それぞれがある種の期待を抱いて入部したわけだが、実はその女教師の専門は、水泳は水泳でも『シンクロナイズドスイミング』であった……。

 あらすじを読んだだけだと何かスポコンもののようにも見えますが、さにあらず。これは始めから終わりまでスキなくギャグの詰まった、とにかく笑える一品です。もはやコメディとかそういうレベルじゃありません。壊れたラジカセから飛び散った火花で頭がメラメラ燃えちゃうといったような、ギャグ漫画をそのまま映像化したような描写がいっぱいなのです。それでいて映像の歯切れがすごくいいので、コテコテのギャグでも素直に笑わせられてしまうのがこの映画のいいところ。

 ラストのシンクロシーンのすごさが話題になっている本作ですが、実は私はシンクロ自体にはそれほど感心しませんでした。演技にもうひとつ飛び抜けたものがなかったということと、シンクロという競技ゆえの匿名性が裏目に出てしまっていたことが気になったのです。帽子をかぶり水中メガネをかけた姿では、主人公たちがどこで何をやっているのか全然分からなかったんですね。劇中、ラスト以外にシンクロのシーンがないということもあって、なんだか取って付けたような、唐突な感じさえしてしまいました。奇妙な練習光景だけでなく、シンクロそのものの上達の過程が、劇中でもっと描かれていれば良かったんじゃないでしょうか。

 しかし、肝心な部分に弱さを感じるとはいえ、サービス精神満点の作品に仕上がっていることは間違いありません。豪華キャストを惜しみもなくチョイ役で使い捨てるあたりも、お祭り感覚で実にスバラシイ。肩の力を抜いて楽しむには絶好の映画でしょう。これで、ベタでもいいから「泣き」の要素が入ってたら、ワタシ的にはもっとお気に入りになっていたところなんですが……惜しいっ。

 それにしても竹中直人、やりたい放題です。ほんっとに変人です、あの人。



(01.10.06)