Text - Movie
小説家を見つけたら Finding Forrester |
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ひっそりと隠居生活を送っていた偏屈者の小説家と、文才はあるが恵まれない境遇にいた少年が、あるきっかけで出会う。二人の交流が始まり、少年は小説家の指導のもと、めきめきと文章力を上げてゆくが、その才能を妬む者が現れて……。 良心と暖かみに満ちた、鑑賞後感のとても爽やかな作品。これといって際だったところはなく、地味といえば地味だし、こぢんまりとした作品だけれど、その代わり、作りは丁寧です。 自分に誇りを持つこと。相手の存在を認めること。そのことに年齢や、まして肌の色など関係ないのだ。……こう言葉にしてしまうと陳腐にも聞こえますが、しかしこれを素直に実行するというのは、意外に難しいことでもあるんですよね……。 ショーン・コネリーはこの映画でも渋くてそして少しお茶目な、まぁいつもながらのコネリー像そのものです。でもこの味は彼にしか出せないんですよねぇ。まったくいい爺さんになったものです。自転車に乗るシーンは必見。 少年を演じたロブ・ブラウンも、知性ある落ち着いた雰囲気でコネリー相手に一歩も引かない好演。ちょっとデンゼル・ワシントンを彷彿とさせる……といったらさすがに褒めすぎかな。でも実際良かったですよ。彼次第で出来が大きく左右されるであろうこの物語を、よく支えていたと思います。 |
(02.05.04)