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SF サムライ・フィクション
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 これは、吹越満と布袋寅泰が対決する、ちょっと風変わりなコメディタッチの時代劇です。3年ほど前の作品ですが、画面はあえて白黒にされています。監督はこれがデビュー作で、本業はCFディレクター。映像といい音楽といい、ビジュアル的にはかなり洗練された雰囲気があり、そのあたりは「さすが」と言うべきなのでしょう。
 しかしこの映画、私には……ちょっと難しかったですね。見ている間、苦笑混じりに首をひねりっぱなしでした。
 いや、お話そのものはごく単純で理解しやすいのです。でも、なんというか――「いったい何を狙ってこういう映画を作ったのか」、その基本的スタンスがどうにも掴めないんですよ。
 最初のうちこれはなにか、時代劇のスタイルを借りたギャグかパロディなのだろうと思っていました。実際、例えば谷啓が演ずるヨタヨタした中年忍者のシーンなんて、完全にコントでしたしね。
 その後も、細かいギャグらしきものが、随所に散りばめてあることに気付きます。でも、そのギャグがなんともビミョウで、そこが笑いどころなのか何なのか、それが分からない。もっと言ってしまうと、サムい。難しいと書いたのは、つまりはこういったあたりのことです。
 真面目でもなく、かといってギャグにもなり切れてないような、そういう奇妙な調子が続いていくうち、見ている側はだんだん居心地の悪い、不安な気分になってきます。
 しかし物語の後半になると、今度は流れが急にシリアスっぽいものに変わります。ラストあたりでは、もうほとんどギャグはなくなっていました。まるで普通の時代劇です。
 そういったビミョウさのせいもあって、私はけっきょく最後まで、監督の意図が分からずじまいだったのでした。……う〜む。
 救いは、風間杜夫がひょうひょうとした役柄でカッコ良かった、ってことかな……。まあ彼に限らず、キャラクターたちはそれぞれが持ち味発揮して、楽しそうにやってるんだけどね。その楽しさの意味するところが、見ている側までなかなか届いてこないんです。
 こういう作品って、見る人によってたぶん、だいぶ感想違ってくるんでしょうね。私には……ナゾな映画、だったのでした、やっぱり。



(01.07.01)