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ペイ・フォワード/可能の王国 Pay It Forward
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 ――そりゃあね、ヘレン・ハントもケビン・スペイシーも大好きな私なので、彼らが共演してるってだけでも嬉しくなってしまうさ。ハーレイくんも評判通り、あざといくらいにかわいかったさ。泣かせどころ満載の脚本も演出も、思い切り私のツボだったさ。それまで全く評価していなかったミミ・レダー監督、これで見直してあげようという気にもなりかけたさ。

 でも、ねえ……。あのラストはないでしょう、やっぱり。

 この映画は、せちがらい現代における一種のおとぎ話でしょう。それは承知の上で観ているんだから、私としてはそのまま最後までハッピーに、予定調和だろうがなんだろうが、とにかく気持ちよく終わって欲しかった。
 なのにあんなラストのおかげで、それまで物語の中で築き上げてきたものを、一気にぶち壊されたような気分です。ただ泣かせるためだけに用意された、作品のテーマと終始一貫していないエンディングとしか思えません。あんなオチじゃ、主人公の少年が取った行為は結局なんだったのか、わけが分からないじゃないですか。

 ラスト以外はすごく良い映画だったので、余計に残念というか、それを通り越して悔しいくらいです。ああん、もう!

 あと、細かいことですが、もう一つ苦言を。
 最近の映画におけるトマス・ニューマンの音楽、ちょっとワンパターンじゃないですか? 私には、この映画も『アメリカン・ビューティー』も『エリン・ブロコビッチ』も、みんなおんなじふうなBGMに聞こえてしまいます。嫌いな音作り、というわけではないのだけど、こう連発で来られると、さすがに飽きが来るぞ。……なんか「坊主憎けりゃ〜」的なツッコミではあるけれども。



(01.02.27)