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遠い空の向こうに October Sky
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 真っ直ぐで純粋で、何よりも暖かく、そして内なる熱さのこめられた、素晴らしい映画でした。序盤は楽しさと喜びで頬が、中盤以降は共感と感動で涙腺が、それぞれ緩みっぱなしでしたよ。

 史上初の人工衛星を見上げ、遠い宇宙に想いを馳せ、友人たちとともに自作のロケット作りに打ち込む少年。一方、鉱山掘りという自らの仕事に誇りを持つ職人気質の父親は、そんな息子を理解してやることが出来ない。『僕の場所は鉱山じゃない、宇宙なんだ』そう言い張る息子との間で繰り返される、気持ちのすれ違いと衝突。しかし少年のひたむきな努力と熱意が、周囲の人間たちを動かし、やがては夢の実現と、父親との和解へと繋がってゆくのです。この過程の描き方がたまらなく、いい。
 主人公の少年、両親(とりわけ父親)、友人たち、そして先生。その誰もに存在感と味があり、ドラマを大いに盛り立てていました。決して派手な映画ではないけれど、ずっと忘れられない感動の余韻を心に残してくれる作品だと思います。

 とにかく強烈な愛着を感じずにはいられない映画でした。この作品を劇場で観られて、本当によかった……。ロケット打ち上げの臨場感・一体感は、大きなスクリーンでしか絶対味わえないと思いますもん。ああ、こうやって書いているだけで、また瞼が熱くなってくる〜。

 この作品を劇場で観終わった直後の私、相当やばかったですよ。何しろしばらく頭がぼうっとしちゃってるし、膝に力が入らなくてまともに立つのもままならないし……。挙げ句に、興奮のあまり、劇場出た途端『みんな観ろ〜!』とか叫びだす始末。
 一緒に観てくれた友人も呆れかえってましたね。あの時は恥ずかしい思いさせてすまぬ、友よ。そして、アリガト。



(00.03.04)