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オーシャンズ11 Ocean's Eleven
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 刑務所を出た主人公、ダニー・オーシャンが、犯罪のプロたちを集めてチームを組み、綿密な計画によってカジノの大金庫を襲撃する物語。

 ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、アンディ・ガルシアなどの豪華なメンバーが競演するということで話題を呼んだこの作品。実際、彼らがひとつの画面に同時に登場するだけで、独特のワクワク感があります。
 
 しかし残念ながらこの映画は、その「ワクワク」止まりのまま、それ以上のものは何も観客に与えずに終わってしまいます。
 原因はいくつか考えられますが、まずひとつは、演出がスマートすぎること。襲撃計画の内容自体は、いろいろ工夫を凝らした面白いものではありますが、それを主人公たちは大きなミスもなく着実にこなしていってしまうので、観客としてはただそれを「すごいね」と眺めているだけ。悪い意味での安心感があるのです。
 また、11人いるメンバーも、それぞれの個性の描写がかなりおざなり。いわゆるスター俳優とそれ以外の人たちで、かなりの差があります。個々人のドラマがほとんど描かれず、メンバー同士の対立や思惑の交差などといったものもないため、物語にふくらみがなく、1人ひとりの印象も薄い。最後まで見終わった後、11人全員の顔なり名前なりを思い出すのは至難でしょう。

 血や汗の匂いなどとは無縁の、独特なクールな空気づくりは、このソダーバーグという監督の長所なのだろうと思いますが、こういった一種のサスペンスアクションのようなものは不向きなのかも知れません。襲撃シーンよりも、クルーニーとジュリア・ロバーツの会話のシーンの方が、よほどスリリングで引き込まれました。

 どうでもいいけど、この映画を観る前にポスターを見て、アンディ・ガルシアやジュリア・ロバーツも11人のうちなのかと思いこんでたの、私だけじゃないと思うな。明らかにそういう絵づくりがしてあるもの。



(02.08.24)