Text - Movie


"Movie" Menu] ["All Movies"


ムーラン・ルージュ Moulin Rouge!
●●●●



 19世紀末のパリが舞台……ということに一応なってはいますが、実際スクリーン上で繰り広げられるのは、電飾ギラギラ、ロックバリバリの、一種のファンタジー世界。そこで出会った脚本家と娼婦の悲恋をミュージカル調に描きます。

 この映画、前半の3〜40分ほどは、実はかなりおバカなコメディタッチになっています。これには意表を突かれました。そもそも冒頭はいかにもな悲劇調で始まるというのに、そんなことはすっかり忘れたがごとく、ユアン・マクレガーやニコール・キッドマンといった美男美女が乱痴気騒ぎするわけです。あの『少林サッカー』もかくやと思わせるほどに。まあ、そういうノリが好きな私としては、むしろ大喜びだったのですが。

 しかし中盤以降、二人の悲恋をシリアスに描くようになると、物語のあまりの陳腐さが際立って来てしまいます。娼婦のヒロインを、貧乏な主人公と金持ちのライバルが取り合う、その設定から想像できる範囲より一歩も出ないストーリー。もともとミュージカルなので、物語にそれほど重点を置いてはいないであろうとはいえ、2時間の長丁場を持たせるのはさすがにキツイ。

 その分、音楽と映像に関しては、特撮も駆使した抜群の素晴らしさなのですが、それだけではやはり飽きてしまいます。せめてエンディングにもうひとひねりあれば、と思ったのですが……。



(02.07.05)