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モンスターズ・インク Monsters, Inc.
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 モンスターシティに住むモンスターたちは、魔法のドアを通じて人間界の子供たちをおどかし、その悲鳴のパワーを日々の生活のエネルギー源としていた。それを会社ぐるみで行なっているのが“モンスター社(モンスターズ・インク)”である。
 子供たちはモンスターを怖がるが、実はモンスターたちも子供たちを非常に恐れていた。人間という存在がモンスターにとって害悪であると信じられていたからである。
 さてこの会社でトップの成績を収めていたサリーとマイクという2匹のモンスターのところに、1人の人間の女の子が紛れ込んだところから、大騒動が始まるのだが……。

 というわけで、相変わらず映像・内容ともにレベルの高いピクサー社のCGアニメです。
 映像に関しては、もはやあまりに進歩しすぎてて、ほんとにフルCGなのか疑わしく思えてくるほどです。特に見どころは、主人公の1人である毛むくじゃらのモンスター・サリー。彼の毛皮のフサフサした感じなんて、本物の毛皮を合成してるようにしか見えませんよ。たぶん、今回の作品で一番チャレンジングな部分だったんでしょう。

 物語の方も、テンポよく、手堅く楽しませてくれる内容ではありましたが……逆に言えば、予想の範囲を超えるものではなく、全体的にパンチ不足。安易なラストにも不満が残ります。『トイ・ストーリー』シリーズや『バグズ・ライフ』には残念ながら及ばない、といった感じでした。
 ただ、例えば『トイ』の1作目とかは、子供が見るには毒が強すぎる気もするし、あくまで子供向けとして考えれば、この『モンスターズ』の作りは良心的といえるのかも知れません。

 もしこれから見ようという人には、ぜひぜひ日本語吹き替え版をオススメします。主人公の1人・マイクの吹き替えを、爆笑問題の田中裕二が演っていて、これが実に合っている上に上手い。声優初挑戦とは思えないほど。「そのまんまじゃん!」と言いたくなることウケアイです。

 最後にもう一つ、細かいツッコミを入れさせてもらえれば――
(以下、枠内ネタバレにつき、反転してお読み下さい)

 ドアのルールが統一されていないのも問題です。ドアが壊された時に、帰ってこられなくなってしまう場合と、別のドアから平気で帰ってこられる場合とがあり、その違いがよく分からない。だから、ドアの外に追放されたり、別れることになったりしても、緊迫感だとか悲壮感だとかが今ひとつ感じられないのです。そこが残念でした。

 (以上)



(02.10.02)