Text - Ｍｏｖｉｅ
| ハッシュ！ Hush! |
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| ゲイでありながら、子供を持つことに漠然とした憧れを持つ男性。その彼が、ふと知り合った女性から「精子が欲しい」という突拍子もない申し出を受ける。彼女は子宮の病気で手術が迫っており、子供を産めない体になるその前に、どんな形であれ出産したいのだという。 「スポイトを使えばいいから」などとあくまでドライに迫る彼女と、ゲイである彼の「恋人」との奇妙な三角関係に、彼らを取り巻くクセ者揃いの人々の様々な思惑が絡まって―― このごろイキのいい作品の発表が相次いで、私たちを楽しませてくれる日本映画界ですが、この『ハッシュ！』という作品も、出色の出来です。まずは必見だと言っていいでしょう。 設定のユニークさもさることながら、とぼけた笑いとシビアな現実との巧みな織り交ぜ具合が絶妙。そして何より、役者のそれぞれが実にいい味を出してます。とりわけ、ヒロインを演じた片岡礼子が、まるで役柄そのもののような、抜群のリアル感・存在感を見せてくれていました。お見事。 序盤、人物紹介のシークエンスでこそ、少々雑然とした印象を受けてしまいましたが、キャラクターが出揃って歯車が回り始めて以降は、文句なく楽しめます。 登場人物それぞれが、不器用ながらも自分なりの生き方を、優しさを、愛のかたちを貫こうとする。いとおしさ溢れるその姿を、いつまでも見届けていたい気持ちになる。そんな作品になってます。 |
(02.08.17)