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グッドナイト・ムーン Stepmom
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 これは良かったです。泣かせドラマとして、まんまと泣かされちゃいました。

 離婚した妻と、その前夫の愛人。これをそれぞれスーザン・サランドンとジュリア・ロバーツが演じていたのですが、さすがに巧かったですね。二人とも、こういう役は得意そうですから(まあ、いつも同じような役ばかり、という説もあるが)。
 でもその二人より光っていたのが、娘役を演じていた女の子です。このコが幼いながらに、実にイイ演技をするんですよ。このコの熱演がなかったら、ベテラン女優二人の演技も上滑りしてしまってたかもしれません。それぐらいの好演でした。

 ただ、映画としては残念な部分もいくつかあります。
 一つには、冒頭が説明不足の構成になっていて、人間関係を把握するまで時間がかかってしまうこと。『サランドンが子持ちのバツイチ女性で、離婚した旦那とロバーツは愛人関係にあり、ロバーツがときどき子供たちを預かることもある』。たったそれだけのことを理解できたのは、物語が始まってだいぶ経ってからの事でした。私の理解力不足もあるでしょうが、そればかりとも言えないと思います。この辺り、序盤ですっきりとまとめておいてくれたなら、もっと作品世界に入り込みやすくなっていたでしょうね。
 もう一つ気になったこととして言えるのは、父親(サランドンの前夫)の描写がなおざりになってしまっていたことです。そのため、なぜサランドンと別れるに至ったのかというその理由が今一つ判然とせず、結果的に、単純に浮気に走ったナンパな旦那、という印象さえ受けてしまいました。せっかくエド・ハリスという名優が演じているのだし、もう少し魅力的な部分も見せて欲しかったところです。

 しかしそれらの難点や弱点を、作品全体を包む優しい雰囲気が充分にカバーしていて、とても好印象を与えてくれた映画でした。観終わった後に胸の奥からほんわかと暖かくなれる、おすすめの一本ですね。



(00.9.12)