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英雄の条件 Rules of Engagement
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 過激派に対する武力行使の是非というものをテーマに、トミー・リー・ジョーンズ、サミュエル・L・ジャクソン、ジュード・ロウといった演技派の面々が顔を揃えた作品です。

 俳優たちの演技・演出ともに実にしっかりしたもので、法廷劇として、非常に手堅く作られた映画という印象を受けました。
 その一方、肝心の物語そのものはやや平坦に感じられてしまいました。法廷での言葉のやり取りの熱さは確かに見応えのあるものですが、その過程でこれといって意外な展開があるわけでもなく、審理そのものは淡々と続いてゆきます。そしてそのまま、おそらくは観客の想像した通りの結果となってしまうので、こういった法廷劇にあるべきクライマックスのカタルシスや逆転の痛快さなどが感じられないのです。

 主人公たちを有罪だと主張する側の人間たちが、あまりにも悪役然としていたことも気になりました。有罪か無罪かで揺れ動く立場の人間が他にいてもよかったんじゃないでしょうか。
 例えば検察の弁護人、彼はああも強弁を奮って主人公たちを一方的に断罪するよりは、彼の中に主人公たちの正当性を認める気持ちが生まれてきてしまい、葛藤する……という部分が描かれていたりすれば面白かったかもしれません。

 劇中のかなりの部分が狭い法廷で行われるため、やむを得ないにせよ、窮屈で地味な映画といった感じがどうしても拭えませんでした。ビデオなどで観ていたなら、また印象も変わったかもしれませんが……。



(00.09.11)