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セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ Cecil B. DeMented
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 地方都市のプレミア上映会に来ていた女優のハニー・ホイットロックは突然、セシル・ディメンテッドと名乗る男とその一味に誘拐される。彼らは商業主義の映画を忌み嫌い、自らの手で、主張とリアリティに溢れた新しい映画を生み出そうとしていたのだ。予算ゼロ、全てが実写の究極の映画制作。そのヒロインにハニーを据え、街へ繰り出してのゲリラ撮影が始まった……。

 映画に対する(かなり)歪んだ愛情が満載のこの作品。映画の知識や思い入れがある人ほど笑えると思います。ファミリー映画館に突っ込んでいったり、某有名作品の撮影現場を荒らしに行ったりと、やることはかなり無茶苦茶なんですが、その描き方はどこか子供の無邪気な反抗を描くような優しさがあり、感傷さえ感じさせるので、傍若無人ぶりに不快になることはありませんでした。反面、毒の弱さや、物足りなさも感じてしまいしたが。
 映画監督役のスティーブン・ドーフが、さほどキレた人間のように見えなかったのも難と言えば難。テーマ的には凄く面白い映画なんですが、もうひとつ吹っ切れ方が足りなかったようにも思えます。尺の短さも一因かも知れませんが、どうせならもっと弾けてても良かったんじゃないかな。

 (以下、枠内ちょっとだけネタバレ。反転してお読み下さい)

 この映画で笑ったのはやはり、『パッチアダムス完全版』襲撃のシーン。
「完全版が聞いて呆れる、初めから長いっての!」
 うわははは、言っちゃったよ。これくらい思い切りがいいといっそ清々しいなあ。

 あと、クリスマスに家族全員に犯された、っていう悲惨なはずのエピソードで、
「兄貴が歌ってたよ、『ジングル・ボール・ジングル・ボール』って」
 字幕では「ジングルタマタマ」ってなってて、これもベタ過ぎるけど笑ってしまった。あの捨て鉢な言い方がいいのだ。
 こういう細かい笑いを挙げだしたら枚挙にいとまがないんだよなぁ、この映画。

 (以上)



(02.02.04)