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バグズ・ライフ A Bug's Life
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 これはグッド。最後まで退屈せずに楽しめる、愉快な映画でした。

 ざっとあらすじを紹介すると――

 バッタ族の理不尽な暴力に虐げられていたアリ族。そんなアリ族の平凡な青年に過ぎなかったフリックが、ある事情から、助けを求めて都会へ繰り出します。そこで奇抜な技を持った昆虫たちの一団と出会い、ぜひ自分の村に来てくれと頼み込み、そして了承されます。
 ところがその一団は実は、落ち目のサーカス芸人集団に過ぎなかったのです。その事実が明るみに出たとき、逆にアリ族の怒りを買い、フリックともども、村の外に追放されてしまいます。
 しかしそうこうしているうちにも、バッタ族の圧政はアリ族を苦しめてゆきます。そのとき、フリックたちがとった行動とは……?

 というお話です。

 正直なところ、お話そのものにも、キャラクター設定にも、これといって新鮮味や斬新なところがあるわけではありません。むしろ先の展開が読めてしまう方だと思います。
 しかし、だからこそこの作品は、万人が素直に「楽しい」と言える作品になっているのだと言えるでしょう。ほのぼのした笑いとスピーディなアクションをうまく織り交ぜた展開で観客を常に引き付けますし、何より、作品全体を包む明るい雰囲気が良く、私などは観ている間、頬が緩みっぱなしでした。
 そして、この作品のCGアニメの技術力の高さときたら、それはもうとんでもないことになってます。リアルな質感や光の加減、滑らかな動き、実写と見まごうばかりの自然の美しさ。その中にあって、擬人化された昆虫たちの繊細な表情が、違和感なく溶けこんでいます。同じスタッフによる前作『トイ・ストーリー』も相当にすごい出来でしたが、今回はそれをさらに上回っていました。単純に技術力としてすごい、というだけでなく、CGであることの強みを活かした迫力ある画面作りが巧みなんですね。ただもう感心することしきりでした。

 あえて難を言うなら、わかりやす過ぎるストーリーにちょっと物足りなさを感じてしまった、という点でしょうか。もちろん、そのわかりやすさこそがこの映画の美点の一つでもあるわけだから、それに難癖を付けるのはお門違いということもわかっているのですが……それでも、あともう一ひねりしてもらって、意表をついた展開も見せて欲しかったな、という感じも残ってしまったのでした。さすがにこれはゼイタクかな。



(00.06.22)