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バウンスkoGALS
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 タイトル通り、コギャル文化の中の少女たちを描いた作品です。しかしこの映画は決して、世相の表層を舐めるだけの底の浅い映画に終わってはいません。
 焦点が当てられているのは「ブルセラ」や「援助交際」によって、「プロ」よりも稼いでしまう女子高生たちの異常な現象です。しかし、それら現象面に対して問題提起したり解決を求めようとしているのではありません。この映画では、その状況に対応しようとしつつも、逆に内面では戸惑い傷つく少女たちの姿そのものが描かれているのです。
 彼女らがオトナ相手に怖いもの知らずの冒険をするうちに、甘くはないリアルな現実を知り、やがて友情を深めてゆく。その過程が、自然体の演出と演技で、丹念にロケされた渋谷という街の情景の中で、とても爽やかに描かれます。
 話の軸となる3人の少女は、みな一般的なモラルからは外れた生き方をしています。だから物語に登場した当初は、その無軌道な行動に眉をひそめたくなるのですが、物語が進むにつれ、等身大で生き生きと立ち回る彼女たちに、私はいつの間にか感情移入してしまっていました。ラストで彼女らが友情を確かめあうシーンでは思わず胸が熱くなってしまったほどです。
 この映画は、いとおしくなるような魅力を充分に持っています。登場人物たちのキャラクターがそれぞれきっちり立っていて存在感があるのがいいですね。中でも私は岡元夕紀子演じる「リサ」がお気に入りです。意志の強さを感じさせる、凛とした表情がグゥでした。
 実際のところ、この映画が「リアル」なのか? と考えたら、首を傾げたくなる部分は多いです。むしろこの映画で描かれているのは「(表面はどうであれ)内面は純粋な少女であって欲しい」という、オトナの願望を具現化した女子高生像に過ぎないという見方も出来ます。でも、だからといってこの映画の本質的な魅力が損なわれるものではないでしょう。奇麗事じゃない姿を描くことで、逆に彼女たちのいちばん綺麗な部分を引き出すことを成功させた、原田監督の手腕には唸らされざるを得ません。お見事!



(98.05.31)