Text - Movie


"Movie" Menu] ["All Movies"


ビヨンド・サイレンス Beyond Silence
●●●●●



 聴覚障害の両親を持つ少女がクラリネット演奏に目覚め、音楽の道を目指す。が、幼少期の体験で音楽にコンプレックスを持つ父親から反対され、親子の絆に亀裂が生じる……というストーリー。
 人の心の結び付きの素晴らしさを見事に描いた作品です。音楽や映像も叙情的で美しく、かなりの感動を与えてくれる映画でした。私は見終った直後に即刻サントラ買いました〜。
 この映画では、障害を持つ人をことさらに憐れむような描き方をしてはいません。どんな人でも欠点があって、聴覚の障害もいわばそのひとつに過ぎない。そういう描き方をしているところに非常に好感が持てました。
 深く愛してはいても、その相手の中にどうしても理解することのできない部分がある。そういうことってどんな人間関係にも生じがちなものです。そうした場合、結局「理解する」ことはできなくても、「認める」ことができるかどうかが、本当に愛しているかどうかの指標になるのでしょう。でも、それがいちばん難しいんですよね……。この映画の、ややあっさりしたような印象を受けるラストも、それを踏まえれば納得できる気がします。
 ただ欲をいえばラストはやっぱり物足りなかったかな……もう少し盛り上がりが欲しかったかも。贅沢?



(98.05.31)