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ベティ・サイズモア Nurse Betty
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 ヒロインのベティは、病院を舞台にした連続ドラマの大のファン。そんな彼女がある日、自分の夫が惨殺されるのを目撃し、そのショックで現実と虚構の区別が付かなくなってしまう。ドラマの主人公である医師との「運命の出会い」を求め、彼女はひとり旅立つ……。

 軽快でありつつブラックな味付けをされた、一風変わったコメディです。
 ベティを演じるレニー・ゼルヴィガーは、『ザ・エージェント』の時と同様、生活臭と垢抜けなさとが入り混じった雰囲気があって、ただ可愛いだけでない独特の存在感があります。今回はそこへ精神的なあやうさをうまく加えていて秀逸。このシナリオを支えるにはヒロインの演技力が不可欠ですが、彼女は見事にそれをクリアしています。
 この作品は、脇を支える俳優陣もいい。あるきっかけからベティを追うことになる殺し屋コンビ=モーガン・フリーマン&クリス・ロックや、劇中のドラマで医師を演じてベティに追われる男=グレッグ・キニアなどをはじめ、小さな役にまで味のある俳優を配しており、そのキャスティングの芸の細かさには舌を巻きます。

 意地悪な笑いを織り込みつつもお洒落でハッピーな雰囲気がよく、巧みな筋運びで最後まで楽しませてくれる秀作になっています。

 気になったのは、ラスト辺りで急にシリアスな展開になったり、最終的には人生賛歌といえる大仰なエンディングに着地したりすることです。そこに至るまでの流れがいかにもコメディ然としたストーリーであるだけに、ちょっと唐突な感が否めませんでした。



(01.11.08)