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オーロラの彼方へ Frequency
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 クイーンズの空に、30年ぶりのオーロラがかかった夜。父の遺品であるアマチュア無線機を何気なく操作していた主人公は、はるか30年過去にいる父と直接会話が出来ることを知る。父親とその成長した息子は、時間を超えて夢中で語り明かすが、史実通りならばその翌日、父親は事故で死ぬことになっていた……。

 ……とまあこのあらすじを読んで、加えてこの邦題から受けるイメージでは、いかにも親子愛をメインに描いた涙ものの感動巨編のように思えるかも知れません。実際の物語も中盤まではそういう方向で進み、随所に印象的なシーンも織り込まれます。無線機が一種のタイムマシンになるというアイデアも、ミニSF的でかなり強引な部分もありますが、まずまず作品の雰囲気に溶け込ませることに成功しています。

 ところが。ちょうど物語が中盤を過ぎた頃、展開が思いも寄らぬ方向に一変するのです。その突拍子もない話の転がり方に、私はちょっと苦笑してしまったほどです。そのために、無線機タイムマシンというせっかくのドラマチックでロマンチックな小道具が、なんだかひどく俗っぽい道具に堕してしまったようで、私には少し勿体なく思えてしまいました。翻って、『オーロラの彼方へ』っていう邦題も、明らかに本編の内容とズレがあるのを感じます。初めからこういう内容だ、って承知の上なら、テンポよくそれなりに楽しめる内容になっているんですけども。

 で、その思いも寄らぬ方向、の具体的な内容ですが……。
 ネタバレには当たらないと思いますが、とりあえず枠内に入れておきます。知りたい人だけ反転してお読み下さい。

 中盤から先、この物語は……
 父と子が協力してサイコな連続殺人犯を追いつめるサスペンス・刑事ドラマになります。
 あらすじとタイトルから、そんな想像、つきます?

(以上)



(02.1.27)