Text - Movie
A.I. Artificial Intelligence |
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環境の激変による人口の激減に伴って、精巧な人型ロボットが人間社会に溶け込んだ未来の地球。そんな中、初めて『愛情』の概念を組み込まれて作られた一体の少年型アンドロイドが、母親の愛を求めて苦闘する――という作品です。 まず、この映画における特撮技術の素晴らしさは、手放しで褒めるにじゅうぶん値するものでしょう。CGを駆使していると分かってはいても、思わず目を疑ってしまうようなシーンの連続で、アンドロイドの描写など、ナマナマし過ぎてグロテスクに思えることもしばしばありました。実際、先日観た『ハンニバル』などより、よっぽど残酷で恐ろしい場面も多かったほどです。 役者の中では、色男ロボット「ジョー」を演じたジュード・ロウが抜群でした。表情といい動作といい、いかにもメカっぽい雰囲気をうまく出していて、さすがに巧いなぁと感心させられることしきり。どこまでCGなのか分からないくらいでしたよ。この物語の、もう一人の主人公と言ってもいいでしょうね。 メインの主役であるハーレイ・J・オスメントくんも、相変わらずオトナ顔負けの演技力を見せてくれていたのですが……今回はいささか新鮮味に欠ける感じがしてしまったかな。『シックス・センス』『ペイ・フォワード』と、こうも似たような役柄ばかり続いては、さすがに食傷気味にもなろうというもの。末恐ろしいほどの才能を持っているのだから、次回作では何か新境地にチャレンジしてみてほしいとこです。 と、ここまで表層部分の感想ばかりを述べてきましたが、さて肝心の物語の出来はというと―― 正直なところ、私にはかなり物足りない内容でした。腑に落ちない、納得のゆかない部分が多すぎます。 前述の主役二人と、クマのぬいぐるみ型ロボット「テディ」を除くと、登場人物はどれも通り一遍の描写しかされておらず、魅力や存在感に欠ける人ばかり。主人公が最終目標として追い求める母親のキャラクター描写さえ曖昧なせいで、ドラマが盛り上がらない事この上ありません。そのくせ上映時間ばかりが長いので、後半などはかなり間延びした印象を受けてしまいました。 そもそも―― (以下、枠内ネタバレにつき、反転してお読み下さい)
(以上) 各種パーツごとの出来はいいだけに、脚本を煮詰め切れていないことがよけい残念に思えてしまうような、観ていてイラだちを禁じ得ないような、そんな作品でした。今まであれだけ勿体ぶってた映画なんだから、もうちょっと期待に応えて欲しかったとこです。SFXと俳優の力ばかりに頼った映像ショーじゃ悲しいですぞ……スピルバーグ様。 |
(01.07.05)