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バッファロー'66 Baffalo'66
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 なんともユーモラスで、いとおしい魅力に満ちた一編です。

 表現法としては過激で奇抜な面もありながら、ちょっとした挿話や台詞などでキャラクターを立たせる演出力が巧い。おかげで、登場人物がみな風変わりな変人ばかりなのに、そんな彼らに不思議と共感を覚えさせられてしまうのです。この荒っぽくも暖かい雰囲気を、私は非常に気に入ってしまいました。

 ところが唯一肝心のヒロインに関してだけは、なぜかそのバックグラウンドも、主人公に惹かれてゆく理由も、ほとんど説明されません。
 でもこれはおそらく、確信犯的にそういった形をとったのでしょう。ツイてなくて不器用で、それでいて充分に感情移入できる主人公がいて、そんな彼が、ふと出会った女神のおかげで心の救済を得る。これはそういうハッピーさを単純に楽しむ映画だと思います。
 あえてヒロインの素性などを描かないことで、観客に想像力を喚起させ、同時に、物語自体が無意味にクドくなってしまうことを避ける……というこの試みは、この映画では成功しているといえるでしょう。



(00.09.10)