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13デイズ Thirteen Days
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 恥ずかしながら、私は『キューバ危機』なる一連の事件について、何一つ知識を持っておりませんでした。それゆえ、まさにその事件を題材にしたこの映画で、把握しきれなかった部分が多々あったことを、正直に告白しておきます……。
 皆さんももしこの映画をご覧になるのであれば、キューバ危機自体はもとより、ジョン・F・ケネディ政権時代の大まかな世界情勢なども前知識として頭に入れておくことをお薦めしておきますです。

 しかしそんな知識ゼロな私でも、この映画はじゅうぶん楽しめるものになっていましたよ。核戦争をいかに食い止めるかという虚々実々の駆け引きが緊張感たっぷりに熱く描かれており、もともと私自身こういう傾向のお話が好きだということもあり、じっくりと充足感を味わわせてもらえました。
 実話ベースゆえの重厚で硬派な物語ながら、同時にエンタテインメントもしてるという、最近では珍しいタイプの好編だと思います。

 でもいかんせん、この映画、長いんですよね……。緊迫感があるのはいいんですけど、それが2時間半もの長丁場のあいだじゅうずっと持続するものだから、観ている方は息つく暇がなくて、ぐったり疲れてしまうのです。
 緊迫し続けることの弊害はもう一つあります。それは、映画全体の中での一番の山場がどこなのかが分からなくなってしまうということです。事実を基にしたストーリーだけに、それこそドラマチックな展開というのは難しいのかも知れませんが、もう少し緩急の差があった方がクライマックスのカタルシスも生まれやすいんじゃないかと思います。その辺はもう少し上手に映画的なウソを織り交ぜて、観客に優しい構成にして欲しかったところですね。

 それにしても、ケビン・コスナー、久しぶりに見たなあ……。あれ、こんな顔だったっけ、と一瞬思っちゃったくらい。もしかすると『フィールド・オブ・ドリームス』以来見てない、ぐらいの勢いかも。いや、別に彼を特別嫌いというわけではもちろんないし、今回の映画ではすごく格好良かったんですけどね。彼の出演作にはなぜだか食指が動かない私なのでした。



(01.12.29)