Text - Diary - Past - September,2002


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02.09.01 歌のエネルギー
 また山奥のサービスエリアで、バンドの演奏をしてきた。
 いつもながら聴衆はごくまばらだったのだけど、その方が演奏するのもよけいな緊張が要らず、気楽と言えば気楽である。しょせんは自己満足の世界なんで、外で歌う気持ちよさが味わえれば十分。通りすがりのおばちゃんとかが拍手してくれるだけでも、すごく嬉しかったりするし。

 今回は私たちのバンドの他に、知り合いのバンドがもう一つ参加した。そちらは22歳の女の子がボーカルなんだが、他のメンバーが年寄……もとい年配者ぞろいのせいか、選曲が妙に渋い。RCサクセションだったり四人囃子だったり。そういったあたりはうちのバンドと通じる部分がある。
 そのボーカルの女の子、最初のうちこそ硬い印象だったのだけど、ステージを重ねるにつれてどんどんこなれて来て、パフォーマンス十分の歌いっぷりになっていった。すごいすごい。きっと緊張してたんだね、と私が感想を言ったら、そのバンドの人たちが苦笑いのような微妙な表情で、

「彼女、酔っ払いだから……」

 実は彼女、こっそりアルコールを持ち込んで、合間合間に飲みながら歌ってたらしいのだ。てっきりお茶か何かだと思ってたあの水筒の中身は、ほんとは焼酎だったのか。
 高速道路のサービスエリアだから、もちろん本来はアルコール禁止の場所。普段ならジュース代わりにビールを飲む、うちのギターの先輩ですら、一滴も飲まなかったというのになぁ。大した度胸というかなんというか。
 最後のステージが終わったあとは、彼女はすっかり出来上がって、ベンチに横になってぐーぐー眠り込んでいた。うむ、紛うことなき酔っ払いである。

 ところで私たちのバンドは、演奏に大きなトラブルもなく、まずは成功だったと思う。ただ、一日に何度も同じ曲をやると、場に慣れてバンドとしてのまとまりは良くなっていく一方、後半に行くほどやはり疲れも出てくる。程良いテンションを維持するのはなかなか難しい。

 2バンドの全員が参加するセッション形式で、Creamの"Cross Roads"なども演奏し、これがかなり気持ち良かった。もっとも私は、端っこで勝手にパーカッション叩いてただけだが。アドリブで楽器弾けちゃう人たちがほんと羨ましい。


02.09.04 そんなコミック
 病院の待合室。相変わらずやたら長い待ち時間の間ヒマなので、持参した文庫版の漫画を読んでいた。手塚治虫の『ブラックジャック』である。ちょっと不遜な行為かなぁと気にしながらも、他にすることもないのでそのまま読み続ける。

 そんな時、隣に座っていた女の人が、私と同様に漫画を読んでいるのに気付いた。何だろうと、ちらりと横目で覗いてみた私は、思わず吹き出しそうになってしまった。
 『動物のお医者さん』だったのである。
 病院に来てまで医者が主人公の漫画を読む人間が、隣り合って座ってるなんて、偶然にしちゃ出来すぎだと思ったのだった。今度は『スーパードクターK』でも持っていこうかな。


02.09.08 朝のゴールデンタイム
 日曜日だというのにうっかり早起きしてしまうと、妙に損した気分になる。うっかり昼過ぎまで寝てしまっても、それはそれで大損なのだが。

 かといって2度寝してしまうと、次に目が覚めた時には夕方になっている可能性もある。仕方がないので何となくテレビをつけたら、ちょうど『忍風戦隊ハリケンジャー』というのが始まるところだった。
 はあ、これがいちばん新しい戦隊モノか……。昔、確かダイナマンくらいまでは見てたはずだが、そのあとはどうなってるのかさっぱり知らない。しかし、オープニングなどを見る限り、どうやら基本的なノリは変わってないようだ。懐かしさもあって、私はそのまま見続けることにした。

 そしたらこれが、意外なほど楽しめてしまったのであった。というか、笑えてしまった、の方が正しいのだが。

 このハリケンジャーという人たちは、レッド・ブルー・イエローの3人組らしい。リーダーのレッドが熱血タイプ、イエローがお調子者というまさに定番な構成な中、ブルーが女の子というのがちょっと新鮮かも知れない。
 ハイテク(死語)な秘密基地のようなところで、彼ら3人が和やかにカレーを作ってるシーンから、今日の物語は始まった。それぞれの好みで勝手に調味料を入れようとしてケンカになりかけるレッドとブルーを、イエローが「まあまあ」と、上手く取りなしてゆく。
 すると、イエローのその様子を見ていた長官役らしい存在が、「むむっ、なんと見事な鍋さばきだ!」と妙に感心した口ぶりで言う。あげくに、「これならイエローはリーダーの素質十分。今日からイエローをリーダーにしよう」などと言い出す。っておいおい、カレー作ってただけでリーダー変更かよ。いいのか秘密戦隊がそんな適当なノリで。
 本来のリーダーであるレッドは、当然面白くない。いざ怪人が現れても、レッドとイエローがお互いに主張し合って衝突ばかり。そしたら長官、「ううむ、これが深刻なミゾにならなければよいが……」。他人事みたいに言うなよ、誰のせいだと思ってんだ。

 しかしまあ結局は、協力の大切さに気付いたレッドとイエローが、合体技を編み出して怪人をやっつけて大団円、となるわけだ。まさにお約束どおりの展開と言える。ブルーの女の子も、さも感心したように「そうか、長官、これが目的だったんですね!」とキラキラした尊敬のまなざしを向ける。
 だが長官は、「あ……いや、そ、そうなんだよ実は、わはは」と、しどろもどろになっているのだった。どう見てもこれが目的じゃなかった様子。……やっぱり単なる思い付きだったんかい。

 このように、ツッコミ入れどころ満載の展開に、終始飽きることがなかった。どこまで『狙って』作ってるんだろうなぁ。
 しかもこの長官というのが、実は人間ではなく、見た目完全に単なるハムスターだというのも凄い。どういう設定だか知らないけど、ネズミに振り回されるなよ、正義の味方。しっかり頼むぜ、地球の未来がかかってるんだから。


 ちなみにその後『仮面ライダー龍騎』というのも見たのだが、こちらはとても子供向けとは呼べない、シリアスでややこしいストーリー。途中から一回だけ見て理解するのはちょっと無理っぽい。

 さらには『おジャ魔女どれみ』まで見てしまった私。いかにも子供向けな話自体は別にどうでもいいんだが、絵がイヤ。アニメのキャラクターが『(>_<)』だとか『( ̄3 ̄)』だとか、急に線だけで書いた四コマ漫画的な顔をするのって、狙いすぎてる感じで好きになれない。……視点がいかにもオタクだね。失礼しました。


02.09.09 あやしい自転車乗り
 深夜、近くのコンビニまで買い物に行ったその帰り道。人通りのほとんどない歩道の真ん中のいかにも唐突なところに、自転車が倒れたまま放置されていた。近づいてみると、そのすぐそばに、何か入ってるらしいコンビニの袋も落ちている。
 ここまででもじゅうぶん不穏な雰囲気である。だが、何にもまして奇妙だったのは、そこに、一足のサンダルが揃えて脱ぎ捨てたままになっていたことだ。

 ……いったいこの自転車の持ち主はどこへ行ってしまったんだろう? しかも、裸足で。

 辺りを見回してみたが、どこにも人の気配がない。そもそも見通しのいい道路の真ん中で、人が隠れられそうなところなんてないのだ。
 静まりかえった夜道、いろいろ想像してたら、だんだん怖い気分になってきた。誰かが取りに来るまで近くで様子を見てようかとも一瞬思ったけれど、それでは下手すると私の方が怪しい人になってしまう。やむを得ずあきらめて、私はそのままアパートに帰った。

 状況が不可解なだけに、どうしてもなにか事件性を感じてしまうが、かといって、自転車が倒れてたってだけで警察に電話したりするのもなあ……。近くに交番でもあれば良かったんだけど。思い過ごしであることを祈ってます。


02.09.14 あの音楽で走ろう
 自分の好きな映画が友人にも気に入ってもらえるのは嬉しいもの。この日、アパートに遊びに来てくれた友人と、DVDで映画を2本見たのだが、どちらもウケは良かったようで、推薦者の私としてはホッとした。

 とりわけ、夜に見た『12人の優しい日本人』はかなりのヒットだった。三谷幸喜ファンであるはずの友人がこれを未見だったのは意外だったが、たまたま今まで見る機会がなかっただけらしい。
 鑑賞後、「これは三谷作品の中でも、ダントツで面白い!」と、すっかりハマった友人を見るにつけ、私の心には一種の征服感が湧き上がってくるのだった。

 友人はまた、『小小作品 No.3』というFlashムービーにも感動していた。壮絶なカンフーアクションを描いたこの作品、かなり有名なので、てっきり友人も知っているかと思ったのだが、見せてみるものである。


 楽しく遊んでいるうちにすっかり深夜になり、友人は帰ることになった。友人は生意気にもオープンカーで来てやがったので、私はついでに、世田谷にある私の実家まで乗せてってもらうことにした。
 夜の風はすっかり涼しく、肌寒いほどだったが、夜の街道を友人の小気味よい運転で風切って走るのは、さすがに気分が良かった。ふだん乗ってる営業車などとは当然ながらまるで違って、加速感が非常にいい。江戸川から世田谷までたった30分ほどで着いてしまったのが物足りなく思ったほどである。
 こういう時は車持ってるといいなあ、とも思うのだが、地下鉄の整備されてる都内に住んでると、車ってやっぱり贅沢品なんだよね……。友人も、駐車代など含めた維持費だけで月に5万くらいかかるって言っていたし。ひとり暮らしの私としては、月収が今の倍にでもならない限り、マイカーは無理だな。

 ところで、友人の仲間内で、“最強にスピード出したくなるBGM”と認定された曲があるという。それは、流行りのロックでもJポップでもなく、

『ルパン三世のテーマ』

 ……だそうだ。「てってれってー、てーれて〜♪」のアレである。うむ、確かに。ルパンは、劇中の音楽も疾走感のあるものが多く、サントラの危険度は高い。
 実際にこれで事故った友人もいる、と物騒なことまで言っていたから相当だ。気を付けた方がいいと思う。もし追突して爆発したら、黒こげのパンツ一丁になって空中をすっ飛ぶだけじゃ済まないだろうから。


02.09.15 カズンプラス1
 友人のおかげで実家に帰って来た私は、せっかくなので、近所に住むイトコ2人を呼んで遊ぶことにした。夜から男3人で飲みである。
 しかし今回は、私の妹一号機も途中から参加してくれた。こういうかたちで盛り上がるのはあまりないことなので、かなり楽しかった。

 それにしても、それこそ小学校に入る前から仲良くしていたイトコ同士だが、みんな歳をとったなあ。語る話題もすっかり渋くなったし。酒を飲みながらテーブルを囲んでいると、なんとも感慨深いものがある。
 妹にさえ、「男3人で飲んでるのを見つけた時、なんか雰囲気が、ちょうヤだった」とか言われてしまった。なんとかせねばならんのう。


02.09.16 シネマシネマ
 昔から映画は好きだったが、本数自体はそれほど観ていなかった。しかし最近、映画を観るペースが上がっている。映画関係のサイトで情報を集められるようになったことや、月に何回かあるレンタル店のサービスデーに、100円でまとめて借りられるようになったのが大きい。

 9月に入ってからの半月ほどで観た映画を以下に羅列する。

『太陽がいっぱい』『新幹線大爆破』『シンドラーのリスト』『市民ケーン』『エド・ウッド』『ブレイブハート』『萌の朱雀』『青いパパイヤの香り』『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』『チャップリンのキッド』『大人は判ってくれない』『雨月物語』『クール・ランニング』『Love Letter』『青春デンデケデケデケ』『ニューヨーク1997』

 我ながら節操のないセレクトである。
 映画ファンに評判のいい作品ばかりなので、どれも楽しめたが、しかし残念ながら個人的には、会心の当たりと呼べるほどの作品はなかった。……なんて言うと偉そうだが、単に私のストライクゾーンが狭いだけの話。もっといろいろ映画を観て、評価眼を鍛えなければいけないと思う。
 点数だけはAll Moviesのほうに付けておいた。感想もそのうち書きたい。

 加えて、たまたま中古ビデオで見つけた『エリン・ブロコビッチ』を買って観直し、さらにテレビで『クリムゾン・タイド』と『サイダーハウス・ルール』を観た。テレビの2本はカットが酷くてさんざんな内容だった。私はどちらも以前にノーカットで観たことがあるから問題ないが、テレビ放映されたカット版だけ観て「つまらない」と評価する人も、きっと多くいることだろう。罪深きはテレビ局なり。

 あと、こちらは日本のドラマだが、木村拓哉主演の『HERO』1巻(第3話まで)も見た。悪くはないけど、推理ドラマ風の味付けにしては、どのエピソードもラストが煮え切らず、爽快感不足。キャストも疑問。大塚寧々は明らかにミスキャストだし、そもそもキムタクが役柄に合ってない。あの主人公像には今ひとつ感情移入できません。どうも裏がありそうに見えて。


02.09.18 垂れているもの
 口の奥の方に痛みと違和感があり、舌先で探ってみると、どうやら口内炎が出来ている模様。ちょうど、のどちんこの手前あたりである。口内炎にはしょっちゅう悩まされる私だが、こんなところに発生するのは珍しい。

 ……と書いていてふと思ったのだが、この『のどちんこ』という言葉、考えてみれば少々お下品ではないか。純情な女の子や、私のように高貴な生まれの者は、口に出すのがためらわれる気がする。そんな、ちんこだなんて、ねえ。
 しかし、そうは言っても、これを表す他の言い回しがとっさに思い当たらない。しばらく悩んだが結局分からず、私は辞書を引いた。そこにはこう書いてあった。

『口蓋垂』

 これが正式名称だそうである。こうがいすい、と読む。恥ずかしながら、いま初めて知りました。
 しかし、これまで30年生きてきて、「今日は口蓋垂の調子が悪いぜ」なんて台詞や、「あなたの口蓋垂を大切に」なんてスローガンは聞いたことがない。それは確かだ。思うに、体の部位の中でも、意識のされなさでは一、二を争うのではないだろうか。

 ネットでさらに調べてみたところ、その存在理由にも諸説あるらしい。食べ物を飲み込む時、鼻や肺に流れ込まないように一種の弁の役割をしているのだとか、声を響かせるためにあるのだとか。実は何の役にも立ってない、という説さえある。ふ〜ん……。

 で、ええとなんだっけ、そう、そののどちんこの手前に口内炎があって痛い、というそれだけの話なのだった。あ、また言ってしまった、ちんこ。
 いいや、口蓋垂だなんて言っても通じるとは思えないし。もし小学生とかが「口蓋垂が痛いよー」なんて言って保健室に飛び込んでも、先生の機嫌が悪かったら「生意気言うんじゃありません」とひっぱたかれるのがオチだな。先生の立場として「公害水って何?」とは聞き返せないだろ。


02.09.19 リプライ
 フォームでのメール、ありがとう。利用者の方によると、やっぱりこれって、普通のEメールとも掲示板とも違うお手軽さがあるらしい。付けてみて良かったな。

ルパンのテーマ・ユーロビートバージョンを聴きながら高速を飛ばした時は燃えた。

 そんな危険なモノがあるのか……。
 で、ルパンで思い出したネタなんだけども。『ルパンごっこ』というお遊び。
 まず、コンビニか何かで普段どおり買い物をして、いったん店を出る。
 そしたらすぐ店内に血相変えて引き返し、レジの店員にこう告げる。
「今、ここに俺が来なかったか?!」
「はあ、来ましたけど……」
「バカも〜〜ん、それがルパンだ〜〜っ!!」
 実行するのは相当勇気が要ると思うので、罰ゲームか何かでやるのが良。

 そして、もうお一人からもメール。

>戦隊ネタを使うとは、俺につっこめと?

 はい、かなり期待してました。嬉しいなあ。

戦隊と言いながら、ただの忍者の一派なので、秘密基地と言うか、ただの隠れ家だったり。メカがあるのは、まあ忍者も時代の流れには乗ってるのだろう、と言うことで。

 ただの忍者が巨大ロボとか乗ってる方が、よっぽど設定としちゃ無茶な気もするんだが。
 まあ、それがナウいんだと言われれば致し方あるまい。

(館長は)忍者学校の先生なのですが、第1話で敵の襲撃に遭った際、逃げようとハムスターに変化した際に急ぎすぎて変化解除の呪文を忘れたため、そのままなのです。

 なんだか、凄い術の使い手なんだか、そこつ者なんだか、判断つかんなあ……。もっとも、カレーの作り方でリーダーを変えちゃうような人だからな。

龍騎は最近見てないのでわかりませんぬライダーが13人出る、すごい話です。何しろ、歴代のライダーが一気に倍近くになるのですから。「〜人ライダー勢ぞろい!」とか、すごくやりづらくなった気がします。

 しかも、13人いるその中でも、主人公の龍騎が、デザイン的に一番カッコ悪い……という点で、意見が合ってしまったし。何ともはや。
 どうも特撮ヒーロー番組はすっかり、男女問わず美形タレントのデビューの場と化したっぽいね。それと同時に、どんどん子供から遠い存在になってしまってるような気もする……。


02.09.21 刻まれた名の下に
 日の沈みかかった、茨城のとある霊園。私は2人の友人とともにそこにいた。

 目の前には、線香の白煙にけぶる黒い墓碑。
 ひしゃくの水で黒光りする墓碑に刻まれた、漢字一文字の男の名は、奇妙なほど収まりがよくて。

 もう2年経った。2年も経ってしまった。
 親友のひとりだった彼が、こうして帰らぬ人となってから。

 もちろん、淋しいし、悲しい。
 この喪失感は決して埋められるものではない。

 しかし、その一方で、全く逆の、相反する感情が湧き上がってくることも否めずにいた。

 残酷だと思われたくはないから、あえて書くことはしないけれど。
 でも、彼の選んだその道を、誰ひとり認めてはいないのであって。

 口にすることはなくても、それぞれ心に思い描いたのは、きっと同じかたちだろう。 


02.09.23 足跡
 前日の夜にメッセンジャーで会話していた成り行きから、この日、幕張で開かれている
『世界最大の恐竜博2002』
 というものを、友人と2人で見に行くことになった。

 公式サイトで確認すると、かなりの盛況ぶりのようで、昼間だと1時間半〜2時間待ちだとか無茶なことが書いてある。そこで私たちは出来るだけ朝早い時間から行くことにした。それが功を奏し、30分程度の行列で入場することが出来た。
 しかし会場内は親子連れが中心の大混雑。人だかりをかき分けつつ展示物を強引に見るといった感じで、何を見るにも相当の体力を要した。自分がもし子供連れで来ていたならヘトヘトになるか、十中八九、途中でブチ切れていたことだろう。ガチャピンなのに。恐竜の仲間なのに。

 だが、それを置いても、この展示会の最大の売りである、“恐竜の全身復元骨格”は凄かった。中には全長35mなんて首長竜のものまであり、それを間近に見上げる時の迫力は、写真で見るのなどとはやはり全然違う。作り物でなく「本物である」ということの圧倒的な説得力である。
 私は正直、恐竜というものにそれほど興味があったわけではないけれど、でも何とも言えず感動させられてしまった。まして、恐竜大好きの友人の興奮は相当なものだったろう。

 他にも、リアルな再現CGを使って恐竜に新宿の街を歩かせてみたり、化石発掘の体験コーナーなどもあり、趣向は様々。そしてすっかりアタマもココロも恐竜モードになったところで展示場を出ると、そこは恐竜グッズが満載のおみやげコーナーになっているという、効果的かつズルいトラップが仕掛けられているのだった。
 展示会場そのものはそんなに広くないような気がしてたのに、こうして結局午前中いっぱい、たっぷり楽しむことができた。

 ……なんか極めて普通の感想文みたいになってしまって恐縮だけども、でも、でっかい恐竜見て言える感想なんて、結局はそんなもののような気がする。ああ、でかかった。

 それにしても、この会場内にあったam/pmの弁当レストラン。『恐竜メンチ&カレーピラフ』とか『恐竜たまごのそぼろごはん』、あと『恐竜弁当』なんてのまで売っていたのだが、いったいどこら辺が恐竜なんだと思って見てみたところ、ライスの上に空豆やコーンで恐竜の足跡を作ったり、うずら卵や山芋で恐竜のたまごっぽくしてるだけだったり。とほほほほ。でも値段が普通の弁当とおんなじくらいだったからまあ、良心的だったと言えるんじゃないだろうか。テーマパークとかだとこれで1000円とか、平気で取るもんなあ。


02.09.29 ダウン
 久しぶりに映画館へ行った。ビデオは最近やたら観てたけど、映画館に来るのは久しぶりのような気がする。場所は渋谷、観たのは『アバウト・ア・ボーイ』。

 映画そのものは楽しめたので良かったのだけど、その後が良くなかった。映画館を出たあたりからやたらと具合が悪く、半ばフラフラしながらバスに乗り、それでも途中のスーパーで納豆とか買いつつ実家に帰ると、運良く残っていた夕飯の残りのカレーを食べ終わったあたりで倒れてしまった。

 計ってみると若干熱があり、何にも増して悪寒がひどくて布団をかぶってないといられないのに汗はやたら出てくるという不条理。長袖のTシャツがあっという間にずぶ濡れになった。

 結局、次の日丸1日寝込む羽目に。体調が元通りになるにはさらに数日を要した。
 病気の時ばかりはひとり暮らしはしんどい。家族の有り難みを痛感する。



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