Text - Diary - Past - August,2002
| 02.08.03 | ・ | なにがいいんだ |
| うちのアパートの各部屋に備え付けのエアコンが、いっせいに新品と交換されることになった。以前から調子が悪く、寒すぎたり全然効かなかったりする厄介なエアコンだったので、交換は大歓迎である。 この日、朝早くから工事の人が部屋にやって来た。男二人組、ベテランと若者がひとりずつだ。私としては特に手伝えることもないので、ご苦労様です、よろしくお願いしますと告げたきり、あとはお任せにして、自分はぼんやり新聞とか読んでいた。 部屋の中と外で作業を進める二人の会話が、何となく耳に入ってくる。聞いているとどうも、青年の方はまだ経験が浅いらしく、何かにつけてベテランに小言を言われている。それはまあ仕方ないのだが、ベテランも暑くて気が立っているのか、叱り方も粘着質である。 「おいおい、なんだあー? このやり方は」 「す、すみません」 「こんなやり方しろって、俺、言ったかあ?」 「いえ……」 「このやり方の、どこがいいと思ったわけ? ん? 言ってみ。どこら辺がいいと思ったんだ?」 「……」 聞いてる第三者としても、正直、いい気はしない。顔は見えないが、青年の憮然とした雰囲気も伝わってくる。同情したい気分にもなる。 しかし、しばらくして設置が終わり、新しくなったエアコンの有り様を見て、私は驚いた。 壁に、古いエアコンの跡が、くっきり残ったままになっている。古いものを外して、同じ場所に新しいものを取り付けたわけだが、その際、壁を拭くとかそういうことを、全くしていないのだ。古いエアコンの形に長年のホコリなどが残ったままになっている、その上に無遠慮に、新しいものを付けてしまっているわけである。 いわば、泥まみれの床にいきなり新品のカーペットを敷くようなものだ。新型のエアコンは旧型よりひとまわり小さいから、余計にその汚れが目立つ。 私が雑巾で少し拭いてみると、簡単に落ちる汚れだった。だからこそなおのこと、この程度の手間を惜しむなよと言いたくもなる。 だが、そのことを私が指摘すると、青年はこう答えたのである。 「いや、エアコン取り付けろとしか言われてませんから……」 ……ベテランの人が怒る理由が、何となく分かった気がした。 |
| 02.08.10 | ・ | 遠い日 |
| 気が付いてみれば、大学を卒業してからもう、10年近い年月が過ぎようとしているのであった。そりゃ歳も取るっちゅ−ねん。当時の同級生も当然、全員30を越えているわけである。 そんな、当時から仲の良かった同級生メンバーがこの日、久しぶりに集まった。男女合わせ、総勢8人。中には卒業以来初顔合わせとなる人もいた。 みんないいトシになったというのに、学生の時とイメージがまるで変わっていないことに驚き、なんだかホッともさせられた。多少痩せたとか、せいぜいそれくらいである。 ついでにいうと、8人もいて、結婚しているのはたった1人だけだった……。まあ、そういう身軽な面々だからこそ集まれたとも言えるのだが。「残るべくして残ったメンバーだねー」なんて笑ってた。みんなタフというか何というか。 昼間、まず5人が渋谷に集結。しかし昼から大人数でやれることがこれといって思い付かず、結局ボウリング場へ行くこととなった。こういう行き当たりばったりで適当なノリも、昔っから変わっていない。 でも、みんなボウリングは久しぶりで、ゲームも盛り上がり、結果的にはいい選択だったと思う。たまに遊ぶと面白いものである。 ただ、1ゲーム目、5人でひとつのレーンを使っていたのだが、1人も100を越えられなかった事は大いに恥ずべきだろう。何しろ、スペアを取っただけでヒーロー扱いされるような状況だったのである。ストライクになって全然おかしくないような当たりでも、なぜか必ず呪われたように1〜2本残ってしまうのだ。スコアカードに黒三角のマークはほとんど無く、代わりに「G」ばかりが並んでいた。 2ゲーム目は普通にストライクなども出るようになったので、最初のレーンには絶対何かが棲んでいたのだ、というのが皆の共通認識となった。……そう思い込みたかった、という説もあるが。 夜になって3人が合流し、8人になって、居酒屋で飲みに入った。 全員が対等の立場で、互いによく知り合っている同士の空間。先にも書いたけども、みんな10年前のままなので、何ら気兼ねすることもない。限りなく暖かく、他ではそうそう味わえない居心地の良さ&安心感である。ほんとに、楽しかった。 途中、正体不明の外人が乱入してきたりなど、思いがけないイベントもあり、閉店までまったく退屈するひまがなかった。 店を出たところで2人がお別れ。そのあとなぜか6人で、西葛西の私のアパートに来ることになった。みんなテンションが相当なことになってたらしい。 しかし、電車に乗るのが遅かったのか、終電が途中の東陽町で止まってしまった。やむなくそこで降り、カラオケボックスに入ってしばらく騒いだが、そこも午前3時で閉店。 人数が半端だったのでタクシーを使うのも何だかもったいなく、歩けない距離でもなかったので、西葛西まで駅二つ分の距離を、頑張って歩いた。夜明けの葛西橋を男女6人がぞろぞろ歩いて渡る光景は、けっこう珍しいものだったに違いない。 私の狭い部屋に6人もの人間が入ったのは、たぶん初めてだろう。5人までならあった気がするが。ようやく着いた頃には、私などはかなりヘトヘトになっていたのだが、まだ元気の有り余ってる人間もいた。みんな、若いよ、まだまだ。 なにやら部屋を観察され、「集めてるCDや漫画に、脈絡がないね」という感想を受けた。そうかなあ、ごく分かりやすい趣味だと思うけど。ジョジョの隣にドラえもんやOL進化論が並んでたりする程度で。以前には別の人に、「まるっきり一般人の部屋だね」なんてことを言われたこともあったし。 そのまま朝になるまで、たわいもないことばかり話して、笑い合った。これまたすごく楽しかった。 みんな元気で、ほんとに何より。それだけで十分。頼むから元気でいて下さい。 また遊ぼう。必ず。 |
| 02.08.13 | ・ | カインド・オブ・カインドネス |
| 人に親切にするというのは、簡単なようで意外に難しい。 困っている人を前にして、何か救いの手を差し伸べようとする。 しかし、自分では良かれと思って取った行為でも、もしかしたら相手は「憐れみ」や「施し」を受けたと感じ、結果として相手のプライドを傷付けてしまうかも知れない。 そもそも自分が「親切心」だと認識していた感情が、単なる自己満足やお節介に過ぎなかったりするかも知れない。 でも、たとえ偽善的な行為であっても、それで実際に相手が少しでも助かるのであれば、行動に移しておきたいと思ったのだった。 何もしなかったことで、後になって後悔するよりはずっとマシである。世の中には取り返しの付かないこともあるということを、私は以前、学んでしまっている。 何かたいそうな話のように思われるだろうが、実際はそんな大袈裟なことをしたわけではない。今日、友人と駅で会い、友人をほんの少しだけ助けた、それだけである。 友人は感謝してくれていたようだったし、そんな様子を見て、私も嬉しかった。……私は間違ってなかった、と思った。 |
| 02.08.15 | ・ | 思考の迷宮 |
| 渋谷の地下鉄入り口で友人を待つ間、ヒマなので、雑誌を取り出した。『ニコリ』というタイトルである。最近ちょっとハマってる、数字パズルやクロスワードなどのパズル専門誌だ。初めて買ってみたのだが、とにかく問題量が多い上、ひとつひとつの問題が難しいので、まだとうぶん遊べそうである。 升目を数字で埋めながら、しかし、こんなパズル専門誌なんてもの買ってる人、そうそういないだろうななどと思う。コンビニで買えるならまだしも、この『ニコリ』は本屋にしか売ってないし、しかも3ヶ月に1回の季刊らしい。よほどのパズル・ファンでなければ、存在すら知らないことだろう。ちょっとマニアックな世界に踏み込んだっぽくて、いい感じ。 そんなことを思っていると、 「こんちはー」 友人が現れた。そして、私の手にしている雑誌をちらりと見て、こともなげに言った。 「あっ、『ニコリ』だ。懐かしい。それ、昔、定期購読してたよ」 ……何にでも上には上がいるものである。 その後、もう1人の友人を加えて向かったのは、渋谷の名所のひとつ。ここへ行かずしてどこへ行く。 そう、『たばこと塩の博物館』である。 ……ハタチをとっくに過ぎた3人の男女が行くところなのだろうか、という疑問はあった。しかも3人とも、たばこを吸わない人間なのである。それでも、入場料がたったの100円、という安さの魅力には抗いがたく、気が付くと館の前に立っていたのだった。 実際入ってみると、館内は夏休みの小学生たちでいっぱいである。ますます意味不明な存在と化す男女3人組。しかし、いろいろな展示品を見ながら、そこへ妙なツッコミやボケを入れてるだけで、不思議と楽しめた。博物館が本来そうやって楽しむ場所なのかは謎だが。 私以外の2人は、なぜか岩塩の大きなカタマリが特に気に入ったようで、片や「持って帰りたい」と言いだし、片や「きゃー」と歓声を上げながら岩塩をぺちぺち叩いて、大変なはしゃぎようであった。私は残念ながら、岩塩にそこまでの魅力を感じ取ることは出来なかった。修行が足りないのだろうか。 すっかりたばこと塩博士になった私たちは、意気揚々とカラオケに向かった。何の脈絡もないが。 途中で唐突に「ガンダムの歌」限定、というルールになったりしたが、何の苦もなく何周も続けられた。まあ、ガンダムの歌の10曲や20曲なら、誰しも知っているものですからね。 その夜はさらに人数を増やしての飲み会となった。みんな酔っぱらってノリが変だった。 あと、こういう場合、紅一点の存在はみんなから総攻撃でいじくられるものと相場が決まっているので、あきらめて下さい。人気者でうらやましいなあ(←棒読み)。 |
| 02.08.17 | ・ | スイマーよ! |
| 近くの区民プールはいちおう、一年中開いてはいるのだが、いくら室内で温水だといっても、やはり冬の寒い時期とかに行く気にはなれない……。 というわけで今年も結局、夏になってようやく泳ぎだした私。そして毎年、自分の体がいかになまっているかを知る羽目になる。今日も、1キロも泳がないうちにバテてしまったし。去年3キロとか泳げてた自分を、自分で信じられなくなる瞬間。……がんばろ。 |
| 02.08.18 | ・ | 気前いい肉 |
| 来月の頭に、また山奥のインターチェンジでライブを行う予定。今日もそのための練習を、渋谷のスタジオで行なった。 しかし、英語の歌ってやっぱり難しい……。日本語なら、歌詞もメロディもすっと頭に入ってくるのだが、英語だとそうはいかない。英語の中で生きてはいない私にとっては、所詮はカタカナの単なる羅列、魔法の呪文とかと大して変わらないのだ。 結局、歌詞も、語呂合わせなどを使って半ば強引に覚えていくほかない。例えば 「姿勢はいいライフがボ〜ン」 とか、 「あ〜気前いい肉を」 とか。ものすごいことになっている。知らない人が私のノートを見たら、狂人と思われても仕方がない。 楽器のメンバーなら楽譜見ながら演奏するのもアリだろうが、ボーカルばかりは、歌詞見ながら歌ってたら非常にみっともない。今回は"Smoke on the Water"なども歌ったりするので、いざとなったら、懐かしい『王様』の日本語歌詞バージョンで歌わせてもらおうかな。余計みっともないような気もするが。 |
| 02.08.20 | ・ | 納得? |
| 文章を書く気力というのはいったん切れてしまうと、なかなか復活できないもの。今回も気が付いてみたら、3週間もほったらかしにしてしまっていた……。見に来て下さっている方に申し訳ないので、ぼちぼち復活しようと思う。 とりあえず、3週間分の日記をまとめてアップしたのでお許し下さい。実質1週間分くらいしか書いてないけど。 とにかく、毎日暑すぎる。こう暑いと、さすがの私の気力もなくなろうというものである。何しろ普段なら気力で「常にダレ気味」に抑えているところが、もはや「常にダレまくり」なのだから。 家での食事もつい、納豆ばかりで済ませてしまう。別に金がないわけではないのだが、いちいち献立を考えるのも億劫なのだ。その点、納豆なら、生卵と一緒にかき混ぜてご飯にかけるだけで済むし、皿洗いの手間も要らない。いいことずくめである。ちなみに『金のつぶ・ふわとろ』という納豆がお気に入り。タレがおいしい。 早く納豆以外のものも食べられる季節になって下さい。このままでは納豆マンになってしまいます。……なんなんだ、納豆マンて……暑さのせいだな、きっと。 |
| 02.08.24 | ・ | すごい量 |
| ユッカさん・マキさん・ヌウさん御三方企画によるオフ会に参加してきた。 参加人数100人を超える中、自分の居場所を見つけるだけで大変だったけども、でも面白かった。こういう時にしか会えない人たちと多少なりと言葉が交わせただけでも嬉しい。 御三方、およびスタッフの皆さん、お疲れさまでした。感謝してます。ほんとにありがとう。
オフの帰り、アパートの近くにある行きつけのラーメン屋に寄った。 食べたもの: ・ニラレバ炒め ・ねぎ味噌ラーメン ・半ライス ・生ビール中ジョッキ × 2 1人でこんな量を食べたのは初めてである。普段ならこの半分も食べない。お会計、2500円だって。これも当然、記録。なに考えてんだ俺。酔っ払いはこれだからなあ。 |
| 02.08.27 | ・ | 待合室 |
| 地元の医者に紹介されて、御茶ノ水にある病院へ行くことになった。規模も大きく、わりと有名な病院らしい。そのぶんいつも多くの患者でにぎわっている(という言い方はおかしいが……)らしく、受付もかなり混むとのこと。 新患の受付開始は朝の8時30分からなので、じゃああらかじめ8時くらいに着いておけばいいだろうと考えた私は、この日、その通り実行した。受付はまだ閉まっていて、その前に順番待ちカードの発行機がある。カードを取って、何気なくその数字を見ると、 「あなたは 105番目 です」 なにい、と思って振り返ると、待ち合わせのロビーはすでにお爺さん・お婆さんでぎっしり。ざっと数えても、間違いなく100人は超えている。 ……お年寄りの朝の早さを甘く見ていた……。 この時点で完全敗北の私が、全ての診療を終えて病院を出られた時には、すでに正午を回っていたのだった。実質的な診療時間は、20分にも満たないというのに。 しかし、8時に着いて105番目ってことは、1番の人はいったい朝の何時に着いていたんだろう? 徹夜で行列でもしてたんだろうか……。病院もテーマパークのアトラクション感覚で並べばきっと楽しい。わけはない。 |
| 02.08.30 | ・ | 個性的な風呂 |
| 唐突に、近所の銭湯に行くことを思い付いた。少し前にも行って、しばらくぶりに浸かった広い湯船の気持ちよさに感動したものの、1回400円という料金の高さに尻込みし、その後は行かずじまいになっていたのだった。 今日行こうと決めたのは別にきっかけがあったわけでもなんでもなく、完全に思い付きである。強いて言えば少し気分転換したい気持ちもあったかも知れない。 タオルとシャンプーその他をいそいそと用意して、自転車で3分。銭湯の前にやって来た私だったが……閉じられた入り口のシャッターを前に、呆然と立ちすくむこととなってしまった。まだ9時前、閉場には早すぎる時間である。 普通ならこういう場合、「本日休業」とか何とか書いてあってもよさそうなものなのに、何もない。ただ無愛想にシャッターが下りっぱなしになっているだけである。場所が銭湯という、モダンとは縁遠いところであるだけに、余計な想像まで膨らむ。すなわち、さすがに今どき、風呂の普及率もかなり高くなっている現状では、経営も行き詰まってしまったんだろうか、とかなんとか。だとしたら、明日出直しても無駄足になるだけだし……。 今さら引っ込みも付かず、どうしたものか迷った末、近くで立ち話をしていたおばさん二人組に訊いてみることにした。すると、 「ああ、この銭湯は金曜定休だよ」 即答である。さすがである。加えて、近くにある別の銭湯の場所も教えてくれた。銭湯の存在自体が珍しくなっているというのに、自転車で1分とかからないところに別の銭湯があるというのは、何だかすごいことのような気がする。私も、2つあるということ自体はおぼろげに覚えていたのだが、正確な場所まではわからなかったのだ。おばさんに深く感謝の言葉を述べ、私はもうひとつの浴場へ向かった。 広い風呂は、やはり文句なく気持ち良かった。 しかし、こんな近くに銭湯が並んでいて客の取り合いにならないのかな、と思っていたら、 「この浴場は、温度を高めの設定にしてあります」 との但し書きがしてあった。そんな微妙なところで個性付けをしていたのか。そして、真の銭湯ファンはそういうところで選ぶのか……。奥が深いぞ、銭湯。 |
| 02.08.31 | ・ | 狡猾な本 |
| 久しぶりに私のアパートの遊びに来た友人が、何かクスクス笑っている。床に放り出していたパズル雑誌の表紙を見ているらしい。別に笑うところもないはずなのに、なに笑ってんの、と私が訊くと、 「いやさ、この『パズル通信』っていうタイトルが、ちょっと隠れてて、『ズル通信』に見えてさ……。うわっ、ズルいー! とか思って」 正確には「ズりぃー!」という感じの発音だったのだが、どちらにせよ、 「ウソつけ! 思わねーよ、そんなことっ」 「うん、もちろん思わないけど。でも、ほんとに『ズル通信』なんて本があったらヤだよな〜。きっと毎月、相当ズルいぜ」 そんな相変わらずの彼だが、つい先日から、専門学校の研修で、千葉にある寮に住み込みを始めている。今日はたまたま東京の実家に忘れ物を取りに来たのだという。 「……でもさ、寮って言っても、実際は単なる一軒家なんだよね……。それも木造で、すっごくボロい奴。いくつかある部屋が全部ふすまで仕切られてて、廊下がないんだよ。2階もなし」 「そんな家に、男3人で住んでるわけ……?」 「そう。もうプライバシーも何もあったもんじゃないよ。部屋から部屋へ移動する時、必ず誰かの部屋を通過しないといけないしね。まあ、お互い仲はいいから助かってるけど」 「そうかー。風呂や洗濯機なんかも順番で使わなきゃならないんだから、大変だよな」 「しかもさ、そこにもうすぐ、もうひとり入ってくるかも、って話があるんだよ。さらに納得いかないのは、隣にもまったく同じ家があって、そこも寮として使ってるのに、そっちはひとりで使ってるってこと」 「はあ〜? その4人目の人、そっちに入れてもらえばいいのに」 「だろ? でも、事務の人に訊いたら、専修科目が違うから同じ寮には入れられない……とか、わけの分からないことを言うんだよ。こっちが4人になることに関しては、ちょっとむさ苦しいわねホホホ、で終わり。前例があるから大丈夫とか言ってる。しかもさ……」 まだ入寮して1週間だというのに、彼の不平不満はその後も果てなく続いたのだった。 でも確かに寮生、ずいぶんな扱いである。何しろ、酒を飲んだだけでも教官から小言を言われるそうだ。仮にも研修期間中なんだから、ということらしい。高校生じゃあるまいし……。うーん、研修は2ヶ月で済むとはいえ、大変そうだなあ……がんばれ。 |