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2021年5月 

 

 

 

 

 

 

「豚舎・設備のお悩み解決!」(96)「オガコ豚舎と衛生管理基準」

 
 昨年改正された飼養衛生管理基準ですが、皆さんの農場ではどれくらい対応が進んでいますでしょうか。
補助がでたので、イノシシ防護柵や防鳥ネットの施工はすんでいる農場が多いことと思います。
昨年の飼養衛生管理基準改正の最大の目的は豚熱(CSF)の侵入を防ぐことですから、防護柵と防鳥ネットは最低限の必須条件とも言えるでしょう。
「設置しなさいと言われたから設置しただけ」としか考えていない方がいるとしたら、今一度、目的を思い出して、運用を注意して下さい。
防護柵には出入口扉がありますが、開けっぱなしではありませんか。

基本は出入りの度に開け閉めすることですが、「面倒くさいので日中は開けたまま」という農場が多いのも現状のようです。
日中はイノシシが出入りすることは無いでしょうから、最低限作業が終わって農場から退出するときは締めるようにしてください。

これから暖かくなると、換気のために豚舎の出入口を開けたままにしておく農場があります。
防鳥ネットをカーテンレールに下げて開閉しているところもありますが、これでは小鳥が入る隙間が出来ます。
それを防ぐために出入口の脇の柱に釘を数本打ち、それにネットを引っ掛けて隙間を無くしている農場もあります。

しかしこの方法は出入りの度に何カ所も引っ掛けたり外したりが面倒です。
私からのお薦めは入口扉の外側でも内側でも良いので、網戸を取り付けることです。
豚舎の場合は、既製品の網戸がそのまま取付は出来ないことが多いです。
網戸の枠に蝶番を取り付けて隙間無く出入口を塞げればOKです。
既製品ではサイスが合わない場合は、タルキで枠をつくってそれに防鳥ネットを張って取り付けると良いです。

 衛生管理基準で次に重要なのが豚舎の内外で靴を履き替えることです。
豚舎の入口に踏込み消毒槽は設置しているものの、靴の履き替えまでは実施していない農場がまだ多く見受けられます。
これはすぐにでも出来る対策なので、まだ履き替えをしていない農場は、図1を参照にすぐに実施して頂きたいと思います。



豚舎の出入口の一番手前には舎外用靴を脱いで入れておくトレイを置きます。
その次が舎内用長靴を入れておくトレイです。
これらはホームセンターで売っているので、必要な人数分の靴が並べられる大きさのものを購入して下さい。
そして、外靴用と舎内靴ようのトレイは色分けして下さい。

長靴も同様です。舎外用は黒長靴、舎内用は白長靴とするのがよいです。
色分けする目的は、誰が見てもルールを守っているかどうかがハッキリ分かるためです。
 次に重要なのが豚舎内外を出入りする台車や車両(バケットローダーやボブキャットなど)です。


オガコ蹴出し豚舎やオガコを毎日撒いて管理している平床豚舎などでは、
豚舎の出入口に図1のようなトレイを置いてしまうと、台車が出入りできなくなってしまいます。



その場合は、図2のような工夫はどうでしょうか。
台車は舎外用と舎内用の複数台用意します。
まず、オガコはオガコ置場で袋に詰めます。
袋は紙袋餌の空き袋でも良いです。
それを台車に積んで豚舎入口まで持っていきます。

舎内用長靴トレイの上に立って手が届くのであればオガコ袋を手で舎内用台車に載せ替えしても良いでしょう。
図2のように、豚舎脇の壁に落とし口窓を作って、紙袋からオガコを流し込む方法でも良いでしょう。
どちらにしてもオガコの積み替えは面倒です。

しかし、それ以上に豚舎外の土や有機物がタイヤに付着して豚舎内に持ち込まれることが病気予防の上で重要なのです。
これを実践することで、抗生剤の使用量を減らせる可能性もあります。

 一番の難関はオガコ蹴出し豚舎の糞出しや、糞を手掻きで一輪車等で搬出する場合です。
蹴出し豚舎ではタイヤローダーで入っていくわけですが、集糞スペースには豚が入らないので、
病気の持ち込みリスククは少ないと考えられます。

しかし、ローダーのタイヤには糞尿が付くのでそれを豚舎外のローダーの通り道にまき散らすことになります。
見た目にも衛生的にも良くないので、集糞通路には平形スクレーパーの設置をお薦めします。
実際にそのような豚舎を作って使っているところがあります。

手掻きの豚舎では豚舎の外にバケットローダーを待機させるか又はストック所を作るなどして、
豚舎内の一輪車等は舎外にでなくて済む工夫が必要です。

それが難しい場合は早急に豚舎の建て替えを検討した方が良いです。
 最後にオガコ踏込み豚舎の場合は、敷料の入替えは豚出荷後になりますので、
汚れた敷料を出し終えた状態で石灰塗布等の消毒を実施する事ぐらいで良いと思います。
敷料の出し入れ作業時には出入口を開放しますから野鳥の侵入は防ぎきれないでしょう。

野鳥が入ってこないように手早く休み無く作業するよう気をつけましょう。
ただし1棟毎に独立しているオガコ豚舎の場合はこの限りではありません。
しかし1棟毎に独立しているオガコ豚舎で管理のために入室する場合や肉豚出荷時の出入りの際に長靴交換するのは厄介です。
そんな時は図3の様な連棟型ハウスに改造することをお薦めします。


これなら中央出入口で長靴や衣服を交換するだけで全ての豚舎の管理をする事が出来ます。
 

 

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最終更新日 : 2022/01/23