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2021年3月 

 

 

 

 

 

 

「豚舎・設備のお悩み解決!」(94)「堆肥舎の建築コストと耐久性」

 今回は読者の方からの「開放式堆肥舎の屋根の素材でいいものはないか。
アンモニアの影響でさびやすく軽いものだと風や雪に耐えられない」という質問にお答えしたいと思います。
堆肥舎と言っても、豚舎から出した生糞を切り返ししながら発行させる場所と、コンポから取り出した完成品をストックする場所では仕様が異なってきます。
コンポから取り出した完成品は結露や雨の吹き込みなどで水分を吸うと再発酵して発熱します。
堆積高さが高い(約2m以上)場合には自然発火する事があります。

ですからこのような用途の堆肥舎では、柱も屋根材も耐火性のある部材を使う必要があります。
実際に私が養豚場勤務時代に堆肥が自然発火して、苦労した経験があります。昨年も堆肥が自然発火して火事になった事例がニュースになったと記憶しています。


 お薦めの構造は図1と図2に示しました。側面と背面の壁は床面から2mまでコンクリートにします。
コンクリート壁の上に柱を立てますが、この素材は木ではなく、亜鉛ドブ付けメッキの鉄骨がベストです。

屋根材を支えるC型鋼も同じく亜鉛ドブメッキ仕様またはステンレスが良いです。
屋根材はスレートがサビにも火災にも強いので良いと思います。スレートをC型鋼(Cチャン)に固定する金具はステンレスを使ってください。
柱やCチャンを固定するボルト類もステンレスまたはメッキを使いましょう。

壁面のコンクリート壁よりも上部はカラーガルバリウム鋼板またはカラートタン板を張りましょう。
塗装されていないガルバはすぐに錆びてしまいます。

また、ポリカ等の樹脂板は熱に弱いのでダメです。
このような仕様で耐雪の構造計算をした設計であれば、建築確認も取れますし、補助事業でも問題なく通ります。
ただ、難点は建築単価が高くなります。H29年度の補助事業で建てた400uの堆肥舎の例では1,00万円でした。(u単価35千円)
 ロータリー式コンポで作った堆肥は粒状になりますので、自然発火しやすいです。(隙間に空気が入るので燃えやすい)。
ですからこのような堆肥をストックする堆肥舎は耐火構造が必須条件です。
しかし、縦型コンポの堆肥は粉末になりますので、結露や空気中の水分を吸って
表面が水分を含んでも空気を通しづらい膜状になりますから、自然発火のリスクはかなり低くなります(ゼロではない)。
ですから、縦型コンポの堆肥をストックする堆肥舎ならば、もっと簡易的な構造にして安価に作ることも可能です。

ただ、耐雪荷重を考えれば、安くできる部分は外壁材をポリカ波板にするぐらいでしょう(図3)。



外壁は軒下の部分に隙間を開けて置き、堆肥舎内にこもった熱気や水分を逃がしやすくしておきます。
雪の少ない地方でかつ、都市計画区域外の場所でしたら、建築確認を取る必要がありませんので、柱を木造にしたり屋根材までポリカ波板でも可能です。
しかし、この場合でも釘類はステンレスを使った方が良いです。
 次に農地転用をせずに田んぼや畑に堆肥舎を作りたいケースです。
基本的にビニールハウスに限定されます。
支柱までコンクリートで固定しなければ、床面にコンクリートを打っても認められるケースがあります(図4)。



具体的には市町村の農業委員会に確認してください。
図4の堆肥舎では側面の壁材はNFボードなどを単管パイプに固定して作ります。
ビニールハウスの堆肥舎では当然火災に注意しなければなりませんから、コンポから取り出して製品をそのままストックする用途には向きません。
コンポから取り出した堆肥と生糞を混ぜてストックする。
または、生糞に水分調整資材を混ぜて切り返し発酵させる堆肥舎としてなら使えます。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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最終更新日 : 2022/01/23