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2020年4月 

 

 

 

 

 

 

「豚舎・設備のお悩み解決!」(84)「弊獣の回収と事故低減に向けて」
 

皆さんの農場では弊獣をどのように処理されているでしょうか。

焼却でしょうか。堆肥化でしょうか。

おそらく弊獣回収業者へ出している農場が多いことと思います。
伝染病の侵入リスクを考えれば、場内で処理することが最も安全と言えます。
ダイオキシンや悪臭や煙の発生を基準値以下に抑えた焼却炉であれば焼却処理も認可されますが、そのような焼却炉は高価なのが難点です。

堆肥盤で堆肥の中に弊獣を埋め込んで分解を待つという処理をしている農場では、
豚の骨や皮まで分解する特殊な菌を混ぜているという話しを聞いたことがあります。
販売用の堆肥とは別枠で処理しているとのことでした。

さて今回の記事では弊獣回収業者へ出までの手順が安全で適正に行われているかを考えて見ましょう。
まず、豚舎を巡回して死亡豚を発見したときは、その豚を通路へ出します。

農場によっては豚舎の出入口まで持っていって一時ストックするところもあると思います。
この時に注意すべき点は、野鳥(カラスなど)や犬猫に囓られないようにする事です。

自然換気豚舎では防鳥ネットを張ってある必要があります。
また、豚舎の出入口の扉は開けっぱなしではダメです。
もし換気のために開けておく必要があるならば網戸を設置して下さい。

『どうせ弊獣処理に出すのだから、鳥や犬猫に喰われようが関係無い』と思っている方、それは間違いです。
犬猫やカラスは自分の農場だけで無く他の農場へも行きますから、そこから病気を持ってくる可能性があるわけです。

豚舎内作業者と社外作業者の担当が別れている場合は、豚舎の入り口に写真1のような蓋付きのプラスチック箱を置くと良いです。
   

写真1は三甲のジャンボックスです。これは仮置き場ですので、冷凍または冷蔵できる保管庫が必要です。

写真2はプレハブ保冷庫の例です。
中古の保冷車を購入してそのまま使っている農場もあります。
その場合、冷却ユニット部分だけを商用電源(
100Vまたは三相200V)仕様の物に買換えると便利です。

弊獣保管庫の設置場所は出来る限り農場の外に設置しましょう。
農場防疫のためには弊獣運搬業者の車両を農場内に入れないことが重要です。

次に、母豚が死亡したときは搬出にとても苦労しますね。
治る見込みが無いときは抗生剤の治療はせずに、自力で歩ける内に廃豚出荷することをお薦めします。

今年の冬は温かい日と寒い日が極端に入れ替わる時がありました。
それが直接の原因かどうかはわかりませんが、流産や脱肛、膣脱が例年より多く見られました。
私のクライアント様でも分娩直前の母豚に脱肛が発生し、破水しても産めなかったので、すぐに廃豚にしていただきました。

 【事故率の低減に向けて】

弊獣処理業者の料金形態は業者に依って異なります。
1頭単位の設定や1回に付きいくらという体系などです。
いずれにしても死亡豚を減らさない事には経費節約も伝染病進入リスクも改善できません。


事故率がなかなか減らない農場の傾向として私が感じていることは2つあります。
1つ目はオールインオールアウトどころか豚舎の洗浄消毒も満足に出来ていない。
2つ目は、抗生物質の使いすぎです。

洗浄をせずに薬だけに頼っている農場では、いつまで経っても改善しないでしょう。
特に最近私が心配しているのがドキシサイクリンの連続投与です。
使用説明書には「7日間連続投与」と書いてありますが、一方で「反復する投与は避けること」と書いてあります。
つまり、離乳後から子豚用給与期間まで連続投与してはダメですよ。と言うことです。

このような使い方をしている農場では腸内の有用菌まで殺してしまい、豚の自己免疫力を弱めている。
とする研究結果もあります。

私も同感です。
洗浄消毒をしていない農場の理由を聞くと、水が足りない、隣の豚房に水がかかると豚が寒がる、
隣の豚房に汚れが飛ぶから洗っても無駄、オガコ豚舎だから洗えない。
などが挙げられます。

洗浄消毒は衛生管理の基本であり、出来ない言い訳をするのでは無く、
洗浄消毒を実施するためにはどうすれば良いかを考えて欲しいと思います。

連続飼育豚舎で、隣の豚房に洗浄水を飛ばさないようにするためには、豚房の回し方を工夫すれば済む話しです。

図1のように通路を挟んで両側に豚房がある豚舎では、片側ずつ順番に入れていく方法よりは、

図2のように両側同時に入れていく使い方の方が汚れや洗浄水の飛地理を防ぐ上でベターな方法です。

図3のように、大きい豚側も小さい豚側も1豚房を空けた状態で回すことが肝要です。

 

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最終更新日 : 2022/01/23