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2020年2月 

 

 

 

 

 

 

「豚舎・設備のお悩み解決!」(82)「人も豚も新型ウイルスに注意!+α」
 
【コロナウイルスから自分や従業員を守る】
 
この原稿を執筆時点では新型コロナウイルスの患者が世界で1万人を超え、死者は300人を超えました。
日本でもじわじわと感染者が増えています。

農場では海外からの研修生の受入や機材の輸入などで中国や東南アジア諸国との交流があり、
心配している方もおられることでしょう。
 
新型コロナウイルスは接触や飛沫感染が主ですから、輸入物資から感染する心配は少ないと思います。
『通常のインフルエンザと同じように人混みに行く時にはマスクを着用し、
帰ったら手洗いを励行することが予防策である』と厚生労働省では発表しています。
 
私はもう1点注意すべきところがあると思います。
それはスマホ。多分、人混みの中でもスマホを出して操作していることが多いはずです。
帰って来て手洗いした後にスマホを操作すると、スマホにウイルスが付いていたとするならば、
指先に移る可能性はあると思います。
 
過剰反応かもしれませんが、私はスマホも除菌ウェットティッシュで拭くようにしています。
 
豚舎内にスマホを持ち込む際も同様に、消毒用アルコールなどを使った除菌ウェットティッシュで拭くか、
紫外線殺菌ランプに1分以上あてましょう。
このことは後述するCSFASFおよび一般の防疫にも共通することです。
CSFASFから豚を守る】
CSFが中部地方、九州を飛び越えて沖縄に飛び火して5例目が発生しました。
中部、東海、関東地方ではワクチン接種が始まり、安堵感が広がる中、
私が暮らす東北地方ではまだ対岸の火事的な感覚の農場があります。
 
事実、防護柵の義務化と設置費補助が決定されても、設置に消極的な言葉を聞きます。
「防護柵だけでは、野良猫やネズミは入るからCSFを防ぎきれないだろう。」
とか「そもそも、この辺にはイノシシは生息していないし。」とかです。
 
確かに100%防御することは不可能かもしれません。
しかし、防疫の基本は考え得る病気の侵入経路を断って、病気の侵入リスクを減らすことです。
 
防護柵を設置すればCSFASFの最大リスクであるイノシシを豚舎回りへの侵入防止には役立ちます。
また、間接的に防疫意識の高揚にもなります。
 
今般の沖縄県でのCSF発生は、昨年本州で発生したCSFと遺伝子型が同じと発表されました。
つまり、国内伝染ですね。病気の伝染経路は、豚、人、物、車両です。
今回の伝染経路は確定されていませんが、疑わしいのは人と物だと言われています。
ですから、人と物を遮断するベストの方法が、人はシャワーイン、物は消毒してから豚舎へ持ち込むことです。
 
シャワーインの設備が無い農場では、最低限として作業服に着替えと手洗い、
豚舎へは靴の履き替えをして出入りすることを必須にして欲しいですね。
 
(写真1:豚舎出入口)消毒液をかけられない小物は殺菌ランプ棚を通して持ち込みましょう。
 
写真2は殺菌ランプ棚の良い例です。
殺菌ランプは上と横の3箇所設置。棚の内側は上下左右の6面ともステンレス張りです。
その中にスチール棚を設置。殺菌ランプはONスイッチを押すと点灯し、
5分経つと自動で消灯するタイマーを付けています。
こうすることにより、満遍なく紫外線を当てることが出来ます。
 
また、加熱していない食品残渣からの感染も疑われています。
農場では従業員さんは弁当を持参して食べることが多いと思います。
食べ残しをもったいないからと言って豚に与えてはいけません。
特に年配の従業員さんや工事の作業員さん、海外実習生にはこの事を周知した方が良いでしょう。
 
もうひとつ重要なのが防鳥ネットです。
窓やカーテンのところは問題なく設置出来ている農場が多いですが、
豚舎の出入口や集糞ピットが手薄になっている農場が多いです。
 
豚舎の出入口を開けたままにしているところは論外です。
野良猫も簡単に入ってきます。
換気のために開ける必要があるのでしたら、網戸を設置しましょう。
集糞ピットもカーテンレールでネットを吊しただけではネズミや雀が侵入します。
これも観音開きの網戸にするか、網戸シャッターを施工しましょう。
 
最後に死亡豚処理です。
保冷庫を設置する場合は、豚舎エリア(防護柵)の外に設置して下さい。
また、菌体処理(特殊な堆肥処理)をしている農場では必ず網戸を設置して下さい。
ネットを吊しただけでは野良犬に荒らされます。

【読者さまからの質問に答えて】

@  農場に入る私道にすぐ水たまりができて困る
道路を舗装にするのがベストですが、その予算が足りない場合は、
水はけが悪い場所に道路を横断する様にU字溝を入れ、グレーチング蓋をする事をお薦めします。

A妊娠豚舎から分娩舎に移動するときに効率的に豚を洗浄する方法
ストールの数に余裕があるのでしたら、分娩舎へ通ずる通路付近のストールを
図のような洗浄ペンに改造することです。

最初に群飼ペンに母豚を数頭入れて温水シャワーを掛けます。
汚れがふやけたら、シャワーヘッドを持ちながらハンドブラシで母豚の頭や尻を擦って洗います。

次に母豚をストールへ入れてシャワーヘッドをビームに切り替えて、母豚の腹や足に当てて洗浄します。
ストールの数に余裕が無い農場では、図のような洗浄ペンを妊娠豚舎と分娩舎の間に作って下さい

 

 

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最終更新日 : 2022/01/23