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2019年9月 

 

 

 

 

 

 

「豚舎・設備のお悩み解決!」(77)「農場内で備品として買っておいたほうがよいもの、便利なもの
 
今回は予備がないと困るものやあると便利なちょっとした工具などをご紹介します。
まず、農場入り口には来場車両を消毒する消毒機を備えていると思いますが、
故障した時や薬剤切れの時に使うように、手押しの噴霧器と予備の消毒剤を置いておきましょう。
また、市販の消毒用アルコールスプレーもあると便利です。
豚コレラに限らず、防疫の第一歩は農場に入ってくる車両と人の履き物を十分に消毒する事です。
ここは手抜かりの無いように予備を備えましょう。
 次に事務所に備えるものとして見落としがちな物は、従業員のための常備薬とAEDです。
キズ絆創膏や消毒剤、包帯、湿布薬、頭痛薬、胃薬、風邪薬、体温計などを常備薬箱に入れて備えましょう。
AEDはめったに使う機会は無いと思いますが、農場では予期せぬ事故があるものです。
念のためにAEDも備えて、使い方も年に1度は全従業員で確認し合いましょう。
 防災がらみでもう一つ。懐中電灯と乾電池の予備。
これは事務所および各豚舎に1セット以上備えましょう。
特にウインドレス豚舎では、ブレーカーが落ちたときも真っ暗になりますから必需品です。
また、農場全体の停電に備えて、非常用発電機も必要です。
発電機の近くには燃料(ガソリンや軽油など)も24時間分ぐらいは用意しておきましょう。
最近は集中豪雨も多いので、発電機の設置場所は万が一にも水没しない場所にしましょう。
発電機にもいろいろなタイプがあります。
農場全体をカバーする据付型の発電機の他に小型のボータブル式があると便利です。
写真1は、100V用のガソリンエンジンタイプです。
写真2は、発電3相200V、単相100V、溶接機の1台3役の優れものです。
 
 次に動物用医薬品の在庫管理です。
HACCPを実践されている農場ではきちんと管理されているはずですが、
まだHACCPに取り組んでいない農場でも、最低限次の様な管理を行ってください。
 
@  薬品置場(薬品室または薬品棚)を決め、使うときにそこから持ち出し、使い終わったら必ずそこに戻す。
決して豚舎の中に放置してはいけません。
 
A  薬品棚には薬品名を書いたシールを貼り、指定の場所に置く。
一目で在庫量がわかるようにしておくことが大事です。
 
B  毎月棚卸しをして、不足しないように補充(購入)するようにしましょう。
 
次に交配舎で使う物で便利なものとしては、WiFi接続の無線式妊娠鑑定器です。
お手持ちのスマホやタブレットに受信用アプリをインストールして使います。
スマホやタブレットは汚れたり傷ついたりするのを防ぐため、食品用ラップで包んだり、食品冷凍保存袋に入れて使うと良いです。
スキャナはいくつかの種類が市販されています。

写真3の物はSonicVet社のB-Scan SV-1です。
 
 次に分娩舎で重宝する物は、赤外線式体温計です。

写真4の左側は肛門に挿入して10〜20秒ほどで正確に測定する物です。
右側の物は非接触型で、瞬時に測定できます。
非接触型にもいろんなタイプがありますが、私がお薦めするのは、人間用非接触型体温計です。
 
写真4右側の物は価格が2万円しますが、実測した体温と体表で測定した体温の誤差をあらかじめ補正しておく機能や、
セットした温度例えば39℃以上だとアラームが鳴るように設定できます。
分娩時の豚は39℃以上の発熱なら治療が必要ですですから。
 ワクチンの注射などには連続注射器を使っている農場は多いと思います。
使用後の注射器は仕様の度に煮沸消毒を行っていますか。
簡単に煮沸消毒するには、電気ポットをタイマーを介して使います。
使い終わった注射器はバラして洗浄し、電気ポットに入れます。水の量は注射器が1/3程度浸るぐらいでも構いません。
あとはタイマーを1時間ぐらいでOFFになるようにセットしてONにすればOKです。
冷めたら取り出して食器乾燥機に入れて乾燥と保管を兼ねれば便利です。
 
次に豚舎の修繕に役立つ工具類です。
  
水道配管の工事に便利なのは塩ビ管カッター(写真5)と鉄管のねじ切り機(パイプマシン)(写真6)です。
 
塩ビ管はノコギリや円盤カッターで切るよりも手早く綺麗に切れます。
鉄管やステンレス管はパイプマシンがあれば、既製品には無い自由な長さでねじ切り出来ます。
 
電気工事に役立つのは、クランプメーター、メガ、ワイヤーストリッパーなどです。
写真7の左上がクランプメーターです。交流電流を測定する器具です。
ブレーカーがしょっちゅう下がるときなど、電流がオーバーしていないか確認できます。
写真7右上がメガ(絶縁抵抗計)です。漏電箇所の発見に使うものです。
写真7の左下がマルチサイズワイヤーストリッパーです。
ビニール線のビニール被覆を剥取る場合に用いる工具で、線を傷めず被覆を1秒で剥取る事が出来、便利で能率的です。
これ1本で0.91.252.03.55.5mm2 (より線用)に対応します。
写真7の右下がVVFケーブルストリッパーです。
Fケーブルの切断と外皮剥きと芯線剥き3工程をこれ1本でできます。
 
最後に浄化槽の管理にはメスシリンダーとデジタル式のpH計と酸化還元電位(ORP)計を備えましょう。
曝気槽(複数ある場合は最終曝気)のSVとpHORPは毎日測定しましょう。
DO(溶存酸素)の測定を勧める人もいますが私はORPを勧めます。
理由はDOは曝気槽の微生物が消費して余った酸素の量を測定するものです。
運転中の曝気槽にDO計を入れると空気の泡まで感知して、実際よりも大きな値を示してしまいます。
ORPを測定すれば、空気量が十分かのみならず、どれくらい不足しているかまで解ります。
 
紙面の都合で今回はここまでにしておきます。
書き切れないほどのアイディアが有りますが、もっと知りたい方は、筆者までお問い合わせください。

 

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最終更新日 : 2022/01/23