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「豚舎・設備のお悩み解決!」(74)「肥育豚舎の給餌器(飼槽)について」
読者の皆さんは肥育豚舎の給餌器(飼槽)を選ぶときはどのような基準で選んでしますか。 また、購入するタイミングは豚舎の新築や増築あるいは壊れたから買い替える時でしょうか。 使用する給餌器の種類や数、設置場所によって豚の発育や飼料要求率にも違いが出るのです。 この機会に今お使いの給餌器も見直して見ませんか。 今回はそのための目安となるような情報をお届けしたいと思います。 給餌器には大きく分けてドライタイプとウェットタイプとリキッド飼料用がありますが、今回はリキッド用以外の説明にさせて頂きます。 最初にチェックして頂きたいことは、給餌器の食い口がその豚房の収容頭数に十分であるかどうかです。 ドライタイプの場合は1頭口あたり2〜3頭、ウェットタイプは1頭口あたり8〜10頭以内です。 例えば1豚房に15頭収容する場合、ドライタイプならば4頭口の給餌器1台では不足すると言うことです。 5〜6頭口の給餌器に替えるか、4頭口給餌器なら2台入れるべきです。 同じく15頭収容する場合のウェットフィーダーならば、1頭口1台では不足です。 2台入れるか2頭口のウェットフィーダーに替える必要があります。
写真1は密飼いにより給餌器が不足し、子豚が重なり合って餌争いをしているところです。
写真2は1ペン15頭収容の豚房に1頭個ウェットフィーダー1台設置してある例で、餌争いがありました。
写真3が改造後です。旧給餌器を外して別豚房へ追加し、代わりに2頭口ウェットフィーダーを入れた例です。
何故ウェットフィーダーの方が1頭口当りの収容頭数が多いかと言いますと、 水を飲みながら食べられるので、豚1頭が給餌器を占有する時間が短いのです。 ですから多くの豚が短時間の内に食べたいだけの餌を食べられる訳です。 人間でも同じです。 パンを食べる時に、何も飲まずにたべるのと、飲み物を飲みながら食べるのではどちらが食べやすいでしょうか。 写真4は円形ウェットフィーダーの例です。
この給餌器は同時に8頭が食べられますので、8〜10倍すると32〜40頭まで対応可能と言えます。 円形ウェットフィーダーや両側に水槽が付いたパイプフィーダーなどのカタログを見ると 対応頭数が40頭以上や50頭以上に書かれているものがありますが、 私の経験上では、豚の遺伝的発育能力を最大限に引き出すには、同時に食べられる頭数の8倍までが、収容頭数の上限です。 次にドライタイプとウェットタイプではどちらが良いかという比較です。 給餌器の価格はドライの方が安いですが、収容頭数1頭当りの単価にするとほぼ互角ですから、 私はウェットフィーダーの方をお勧めします。 ただ、クランブルやペレットタイプの餌を使う場合はドライタイプの方が食い口に出す餌の量を調整しやすいです。 ややもすると写真5の様に餌と水で飼槽が一杯になり、餌が腐敗しかねません。 写真6のように餌が出るテーブルに突起があり、給水器が端に付いているタイプは飼槽に濡れ餌が溜りにくいです。 円形ウェットフィーダーでも飼槽の形状がタイヤを半分に割った様な形で、 その上の水飲みピッカーが付いているタイプは飼槽に濡れ餌が溜りやすいです。 写真4のように給餌部と水槽が分かれているタイプの方が餌の水濡れも少なく、餌こぼしも少ないのでお勧めです。 次に給餌器の設置場所と向きです。部分スノコ豚舎では図1の置き方よりも図2の置き方の方が、
通路から食い口が見えるので、餌の出具合や詰まり、腐敗などをチェックしやすいです。
両側食い口のウェットフィーダーを配置するときは、豚房の端から1.5m以上離した方が良いです。 図3のように通路や柵から近いと豚の排泄物で汚されてしまいます。
図4や写真4のように豚房の中央に配置すると排泄物で汚されません。 これは円形フィーダーでもパイプフィーダーでも同じです。 理由は、豚房の囲いが柵の場合、豚は柵に頭を向けて排泄します。 囲いが壁やパネルの場合は反対に壁やパネルに尻を向けて排泄する習性があるからです。 ですから豚房の囲いから豚の体長以上の距離をおいて給餌器を配置すれば、 豚房の囲の材質に関係なく給餌器に排泄されることはありません。 新しい肥育豚舎を設計するときは図4の様に全面スノコでその中央に円形ウェットフィーダーを配置することをお薦めします。
給餌器1台当りの収容頭数は32〜36頭がお薦めです。参考にして頂ければ幸いです。 |
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