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「豚舎・設備のお悩み解決!」(73)「豚舎の暑熱対策」 昨年の夏も猛暑が続来ましたので、今年の5月6月は枝肉相場が高くなりそうな気配です。 しかし、売る豚が無いのではどうしようも無いですね。 そこで、暑熱対策がまだ不十分な農場さんには、今年こそ暑熱対策をしっかりと行うようお薦めします。 暑熱対策といっても色々あります。 クーリングパド、ドリップクーリング、ダクトファン、屋根散水、断熱材施工などが主なものでしょうか。 中でも私がお薦めしたいのはクーリングパドと断熱材施工です。 何故かと申しますと、初期投資額は多いですが費用対効果が最も高いからです。 では、近年の日本の養豚場で一般的な、ストール舎と肥育舎がカーテン豚舎で、 分娩舎と離乳舎がウインドレス豚舎の例で考えて見ましょう。 分娩舎にはクーリングパドを増設、ストール舎と肥育舎には 両面プラスチック張りの断熱材の天井、及びクーリングパドと排気ファンを施工します。 これにより、晴天時には室温が外気温よりも4〜5℃下がります。
この費用対効果を母豚400頭規模で試算してみましょう。
離乳子豚体重が子豚1頭当り0.5kg大きくなり、受胎率が5%改善したと想定します。 離乳時体重0.5kgの差は同じ出荷日令で枝重が約3kgの減少となります。 枝肉販売単価が450円、夏場2ヶ月間の出荷頭数が1,600頭だった場合 3kg×450円×1,600頭=216万円・・・・・@離乳体重改善効果 160頭(2ヶ月間の交配母豚数)×5%×10頭(1腹子豚出荷頭数)×1.3万円(変動費差引粗利)=104万円・・・・・A受胎率改善効果 @ +A=320万円・・・・・B分娩舎クーリング効果年額 分娩舎へのクーリングパド施工費は約250万円ぐらいですから、1年で元が取れる計算です。 ただし、ストール舎が暑いままですとこれだけの改善効果が出るかどうかわかりませんので、 ストール舎へ天井の施工とクーリングパドと排気ファンを施行をプラスして試算しましょう。 豚舎の構造によって施工費がだいぶ変動しますので、一概に計算するのは無理があるかもしれませんが、 一つの目安として捉えて下さい。 ストール350頭分の豚舎面積が700uの天井断熱材施工費が300万円、 クーリングパドと換気設備が400万円とすると、合計700万円。 分娩舎のクーリングパド施工費と合せると950万円。
Bの効果金額で割算すると、950÷320=2.96・・・・・約3年で元が取れる計算です。 次にカーテン式肥育豚舎へクーリングパドと天井断熱材施工の費用対効果を計算してみましょう。 肥育豚舎は部分スノコ豚舎で、3,000頭収容で3,000uとします。 断熱材の効果は冬場の発育改善にもなりますので、夏場の枝重減少改善を4kg×2ヶ月間、 冬場の枝重減少改善を2kg×2ヶ月間とします。 1,600頭×4kg×450円=288万円・・・・・C夏場の肥育改善効果 1,600頭×2kg×450円=144万円・・・・・D冬場の肥育改善効果 C+D=432万円・・・・・E肥育舎改善効果合計 肥育豚舎の天井断熱材施工費が約1,200万円、
クーリングパドと換気設備工事費が約1,800万円、
設備費合計4,000万円・・・・・F
F÷E=9.26 約9年で元が取れる計算です。 さらに費用対効果を高めるには補助金や税制優遇制度などを有効利用する事です。 例えば断熱効率の良い新建材を使ってみたい場合は「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金」が使えます。 補助率は1/2または1/3です。 問い合わせ先は資源エネルギー庁省エネルギー部省エネルギー課30−3501-9726です。 また、補助額上限が60万円ですが「小規模事業者持続化補助金」もあります。
こちらは各市町村の商工会が窓口です。 また、暑熱対策としての管理の工夫としては、7月〜9月の種付頭数を1割増やすことです。 最初から再発が多くなることを想定して多く種付して、再発が来た母豚を廃豚にする。 そして、妊娠母豚数は年間目標の月次頭数に合せることです。 そのためには自家育成PSを多く残すことと、離乳後の廃豚を抑えることです。
全く技術進歩の無い話しですが、このようなオーソドックスなテクニックも合せて使い、 要は生産子豚頭数を減らさないようにする事が肝腎です。
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