「豚舎・設備のお悩み解決!」(65)「豚舎の断熱とネズミ対策」
 
今年の夏は全国各地で猛暑日の日数が最高記録を更新したところが多かったですね。
私のクライアント様農場でも暑さによる肥育豚の発育低下や再発の増加がみられました。
では、昨冬はどんな気象だったかなと思い、資料を振り返ってみると、異常な寒波が続いていました。
最近は毎年のように“今年は異常気象だ”とか、“異常に暑い”とか“異常に寒い”と言われているような気がします。
暑さも寒さも厳しくなっているのでしょう。
そこで、改めて感じることは、豚舎の断熱材の重要性です。
しかし、豚舎には断熱材の天敵がいます。
ネズミです。
ウレタンフォームやスタイロフォーム単体を張っただけの内壁や天井は、ネズミの格好の餌食になり、たちまち穴だらけになってしまいます。
 
豚舎を新築する場合や、補修する場合は断熱フォームの正面にガルバリウム鋼板またはZAM鋼板を張り付けたものまたは、内壁面が鋼板張で豚舎内面が硬質プラスチック張のものが最も長持ちします。
アキレスのトリトンボードや、スタイロ加工社のスタイロガルバがこれらに当たります。
断熱材の厚さは厚いほど断熱効果は高くなりますが、価格も高くなりますので、総予算との兼ね合いで施工業者さんと相談してください。
写真1は天井と壁に両面プラスチック加工の断熱材を使ったウインドレス肥育舎です。
3年前の施工ですが、まだネズミ被害は無いようです。
写真2は片面ガルバ、片面プラスチック加工の断熱材を施工中のウインドレス分娩舎です。
写真3は、両面ステンレス断熱材を天井に使ったウインドレス分娩舎です。
壁はNFボード。
こちらは施工後10年ぐらいたった時点での写真です。
やはり、ネズミ被害はありません。
写真4は壁と天井にNFボードを使ったストール豚舎です。
施工後10年弱立っていますが、ネズミ被害なしです。
 
例えば、現在の豚舎壁が裸のスタイロフォームで、ネズミの穴が開いているから修繕したい場合を考えてみましょう。
ベストの選択は張替ですが、鼠穴はそれほど多くないから低予算でやりたいという場合は、4ミリ厚のNFボードを現状の断熱材の上から被せて施工するのが良いです。
内側をネズミがかじり続ければ断熱効果は次第に下がってきますが、隙間風の侵入は防げます。
内側を完全に塞げば、おのずとネズミも少なくなるはずです。
 
 次に写真5のような天井無しのスレート屋根豚舎の対策です。
一番のお勧めは写真1〜3のような天井を張ることです。
しかし、寒冷地でなければ写真6,7のようなカバールーフ加工でも断熱効果は増します。
写真6
 
写真7
 
私のクライアント様農場では、スレート屋根分娩舎にスタイロフォーム単体の天井を張った分娩豚舎があったのですが、天井材はネズミの被害が多かったのです。
今年の春にカバールーフを施工して天井材を撤去したのですが、昨年よりも豚舎内が涼しく感じました。
 
写真8はトタン板1枚の屋根にカバールーフを施工した例です。
カバールーフにもいろいろな形や断熱剤の厚みのバリエーションもあります。
豚舎の立地条件や、豚舎構造に応じて何を施工するのがベストかを、2社以上の業者と相談して決めることをお勧めします。

 

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最終更新日 : 2022/01/23