「豚舎・設備のお悩み解決!」(54)「餌こぼしを防ぐ工夫
 

私がクライアント様の農場を見て回る時に重要視している項目の一つが、餌こぼしです。
農場によって程度はまちまちですが、何も対策をしないで放置されているケースをよく見かけます。
こぼれている量を計測することが難しいので、どれくらい無駄になっているかがわからない、と言うことが放置される原因ではないかと思います。
今回は、ドライフィーダー、箱形ウェットフィーダー、パイプフィーダー、円形ウェットフィーダー、給餌ラインに分けて餌こぼしの低減策を紹介します。

 
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1は離乳舎での餌こぼれ例です。プラスチックスノコの下が埋まるほどこぼれています。


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2は平床に置かれた餌箱でこぼれている例です。
どちらも餌箱の食い口にたくさんの餌が溜まっています。
要するに餌出し調整板の隙間を開け過ぎなのです。
離乳舎では人工乳前期から人工乳後期に切り替えた時に、隙間調節をせずに広く開けたままになっていることが多いのです。

 
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3や写真4が適正な隙間調節の例です。餌箱の底板が一部見える程度に餌が出ていれば十分なのです。
餌箱が古くなって隙間調節が出来ないままになっているケースでは、部品の交換や餌箱自体の買換えをすべきです。

写真5と写真6は箱形ウェットフィーダーの餌こぼしの例です。このケースも餌出し調整板の隙間の開けすぎが最大の原因です。
しかし、ピッカーの水の出が多すぎる場合や、温度調節が悪くで温度が高すぎることが原因となっていることもあります。
暑ければ豚が必要以上に水を出しますから、餌の腐敗に繋がり、それを豚が掻き出すので無駄餌になります。
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7や写真8が適正に調節された状態です。


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9がパイプフィーダーの餌こぼし例です。これもスノコの下が一杯になるくらいこぼれています。
 
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10と写真11が適正に管理されたパイプフィーダーの例です。写真12は離乳舎での円形フィーダーの餌こぼれ。


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13は肥育豚舎での餌こぼれ例です。
これらの例に共通することは、ウェットフィーダーの水を止めてドライフィーダーとして使っていることです。
ウェット状態で使うと、水が出すぎて出口の餌が水分を吸って詰まり、出なくなってしまうという理由で水を止めていることが多いようです。
また、「餌がたくさん出ている方が豚は十分に食べられるだろう。」という管理者の勘違いにより、餌出し量を多くしていることもあります。

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14が適正に管理された円形ウェットフィーダーです。また、パイプフィーダーにしても円形フィーダーにしてもメーカーによって餌こぼしが発生しやすいものと、しにくものがあります。
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10のフィーダーは写真11のものよりも餌の水濡れが起きにくい構造になっています。
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14のフィーダーは水槽がサイフォン式なので、餌の水濡れが起きにくい構造になっています。
さらに中心部が給餌パンで、周囲が水槽なので餌こぼしが起きにくい構造になっています。
ですから構造的に不利なフィーダーを使っている農場では、早急に餌こぼしの少ないタイプの給餌器に交換することが賢明です。
フィーダーの交換は費用と労力が掛かりますが、無駄餌だけではなく飼料要求率の改善にもなりますから、
23年で元が取れます。

最後に給餌ラインが錆びて穴が開き、餌がこぼれ落ちている事があります。

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15は平床の上にこぼれていた例ですが、スノコ上にこぼれている場合には、なかなか気づかずにいることがあります。
気づいていてもパイプの交換が難しいからと言って放置しているケースもあります。ベストの選択はステンレス管に交換することです。
私のクライアント様農場ではパイプだけ購入して、場員が自ら交換しているところもあります。
コツを掴めば自前交換も難しくはありません。また、応急処理として
VU塩ビ管でカバーする事も有効です(写真16)。

VU塩ビ管をグラインダーで切り目を入れて給餌ラインに被せます。その後、切り目や隙間にシリコンコーキングをすればOKです。

 

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最終更新日 : 2022/01/23