「豚舎・設備のお悩み解決!」(53)「ネズミ被害防止対策
 

養豚場での有害生物と言えばハエとネズミが代表格ですね。
被害額の大きさから見れば、断然ネズミの被害です。
壁に穴を開けられて隙間風が入ることが原因での発育不良、電線をかじられることで起きる漏電事故。
漏電で火災が起きた場合は甚大な被害になります。
今回はネズミ自体を駆除する方法と被害を軽減する設備の工夫についてご紹介します。

 ネズミ駆除に関しては、専門業者へ依頼して定期的に来てもらっている農場もありますが、「やることは毒餌と粘着捕獲だけだから、場員でやること。」としている農場もあります。
確かにやることは同じでも、場員は豚の管理や設備の修繕等の仕事が忙しく、「ネズミ駆除までは気が回らない。」というケースが多く見られます。
ですから、業者への依頼と平行して場員でも対策することがベストと思います。

 では、自分たちでネズミ駆除するポイントを紹介します。
粘着シートはモノタローなどの通販で、業務用のものが手に入ります(写真1)。

これをそのまま置くと、ホコリやハエが着いて粘着力が落ちます。
また、人が踏んだり、意図しない物がくっついてしまったりして困ります。

そこで、写真
23のようなプラスチック製のフリーケースに入れ、

図1のようにフリーケースの両側に穴を開けます。
こうするとネズミが入りやすくなります。
ネズミは物陰に隠れる習性がありますので、フリーケースは光を通さない物の方がネズミは入りやすいです。
ネズミが掛かったかどうかを確認しやすいのは透明ケースの方です。農場の状況に合わせて選択してみて下さい。

 捕獲BOXを設置する場所は、ネズミの通り道にして下さい。
ネズミが通ら来場所に設置しても効果は上がりません。
ネズミの通り道は、部屋の端(壁際)や餌、水などの配管の上、梁の上などです。
ホコリが溜っていれば、ネズミの足跡があるかどうかをよく見ればわかります。
また、ネズミの糞が落ちている場所もネズミの通り道です。
配管から壁に向かってネズミ穴を開けられた場合は、

図2のように、配管にコンパネをくくりつけて、その上に捕獲BOXを設置すると効果的です。

 次に毒餌の設置ですが、養豚場の場合はあまり効果が期待できません。
と言うのも、豚のこぼし餌がたくさんあるためです。
毒餌を設置しない場合でも、ネズミの餌を減らす心がけは必要です。
台車に餌を取りおく場合は、荷台の大きさに合わせた蓋を制作して、使わない時は蓋をするように心がけて下さい。
また、ストール舎や分娩舎の給餌通路は、毎日夕方に掃き掃除をするか、水で流して清掃しましょう。

 次に捕獲BOXを設置しにくい場所でネズミの被害が気になる場所へは、ネズミ忌避剤(写真4、5)を置く。

または超音波式ネズミ避け器(写真6、7)を設置すると良いです。

写真4の製品は、水を注ぐとネズミが嫌がる天然ハーブの煙が出て、ネズミを追い出すものです。
写真5の製品は天然ハーブのゲルタイプで、効果が2〜3ヶ月持ちます。どちらもネズミを殺すのではなく追い出して寄せ付けない効果です。
屋根裏や倉庫などに向きます。写真6,7の製品は
100V電源が必要です。
ネズミが嫌がる超音波を出し、自動で周波数変動させ、慣れを防ぐタイプの物です。安い製品で周波数が固定の物は効果が長続きしませんので、購入時は注意して下さい。

 次に電気の配線をネズミの食害から守る方法です。
豚舎を新築又は増改築する場合は、天井裏も室内も全て電線管を通した配線にする事がベストです。
俗にFケーブルと呼ばれるVVF線の被覆プラスチックはネズミの好物のようで、裸配線では、すぐにネズミの餌食になってしまいます。
既にネズミにかじられて漏電が起きる配線を修繕する場合も電線管を通す配線に変えましょう。
しかし、電線管を通すと費用も高くなります。
低コストにしたい場合や、ネズミ被害の有無を確認しやすくしたい場合は、

図3のように、ステンレスワイヤーで電線を吊って室内配線にする事です。

 また、豚舎は冬も暖かいので、外から新たに侵入することもあります。
それを防ぐには、豚舎の周囲1メートルは完全に除草し、砕石を撒いておくことが効果的です。
ネズミは物陰が好きなので、雑草が生えていると豚舎に近づきやすいのです。
また、砕石は鉄道の枕木の下に敷いてあるようなものがベストです。
これはネズミが歩きにくいから嫌がるのです。

 さまざまなネズミ対策を紹介しましたが、出来るところから実施し、複数の方法を組み合わせるなどして、ネズミの害を低減して下さい。

 

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最終更新日 : 2022/01/23