「豚舎・設備のお悩み解決!」(48)「 オガコ豚舎と肉豚体重測定」


 

肉豚は生体重を測定して品揃えすることが売上アップに繋がると言うことには、多くの養豚家が知っていることと思います
しかし、まだまだ目カンだけで品揃えしている農場があります
ネックとなっている原因は大きく分けて2つ、人手不足と豚舎の構造です
豚舎の構造では主にオガコ豚舎などで1豚房の収容頭数が50100頭であるために測定に時間が掛かることのようです
 
人手不足に関しては、人件費を掛けてでも体重測定したほうが収益アップになる事が多いと言えます
それは、枝重別肉豚売上分析をしてみれば一目瞭然です
私が2月に主催したセミナーでも枝重別肉豚売上分析例や、そのやり方を紹介しました
 
図1は肉豚の品揃え時に体重測定をしているところとしていないところの実績例です
 
枝重のレンジごとに頭数と1頭平均枝肉販売金額、格落ち金額を集計したものです
下のグラフはその頭数分布をグラフ化したものです
 
 
A農場とB農場では体重測定をせず、目カンで選んでいます
C農場では1頭ずつ体重測定して、出荷のマークをしています
ですから出荷頭数の枝重分布はC農場が綺麗な山形になっており、小貫や中大貫が少なくなっています
ではこの3農場の出荷パターンのうち、どこが一番儲かると思いますか
 
ちなみに図1の平均販売金額を見るとA農場が36,334円で1地番高いように思えますが
集計時期が異なっていますので、相場も違います
そこで上物単価が500円と設定し、図1の重量分布の通りに1000頭出荷した場合について試算したのが図2です
 
 
各枝重の格落ち金額も図1のデータで計算しました。するとやはりA農場が一番でした
A農場は目カン選抜が上手なことと、重量を大きめに持って行っていることが大きいのです
B農場はA農場よりも300万円も売上が少なくなります
C農場はA農場よりも70万円少なくなっています
枝重を大きくするには餌代も掛かります
枝肉歩留りが65%、出荷間際の肉豚の飼料要求率が3.0
肉豚用飼料単価がkgあたり40円で枝肉1kg大きくするためにかかる餌代を計算すると、1÷65%×3×40184.6円になります
 
この金額を差し引いて収益較差を計算すると、A農場はB農場よりも280万円多く、C農場はB農場よりも220万円多くなります
A農場が体重測定していないにもかかわらず収益が多い訳は、重量オーバーによる格落ちが84.5kgまで-20円と少ないからです
 
それから、肥育豚舎に余裕があり、大きく出来ることもあります
B農場、C農場では重量オーバーによる格落ちが約35円なので、オーバーしないように心がけているので、このような重量分布になっています
C農場で平均枝重をもう3kg大きくすればA農場の収益を超えると思います
 
B農場ではさらに肥育豚舎の1豚房が広くて、寄せ集めせずに豚舎を回そうとすると、早出しにならざるを得ない状況もあります
特にオガコ踏込み式肥育豚舎では1豚房当たり収容頭数が50100になっている所が多く、豚舎の回転効率が悪くなりがちです
加えて体重測定もやりづらいことが多いです
 
可動柵と取り付けようにも、オガコの堆積厚みが均一でないと、隙間から豚が逃げてしまいます
 
そこで解決方法の提案です
スノコ豚舎で豚房が大きいところでは、オフテスト豚舎(出荷残豚を集める豚舎)を用意する事です
 
1豚房の収容頭数を10頭以下に設計すれば、体重測定も楽になります
 
オガコ豚舎とスノコ豚舎の両方がある農場では、オガコ豚舎を肥育前期豚舎として、スノコ豚舎を肥育後期として使ってはどうでしょうか
 
私のクライアント様農場でもオガコ豚舎で体重が90100kgまで育て、その後は15頭ずつのスノコ豚舎に移して体重測定を実施するようになって売上をアップさせたところがあります
 
 
では、肥育舎がオガコ踏込み式豚舎だけのところはどうするか

私からの提案は、全体の1/5くらいの豚房を、1豚房収容頭数を少なくした蹴出し式オガコ豚舎に改造することです(図3参照

豚舎の回し方は前述のように、90100kgまで踏込み式豚房で飼育し、その後は蹴出し式の小さな豚房に移動します

そして出荷の品揃えは体重測定をして選ぶことが楽に出来る様になります

できれば小豚房に移動時にも体重を測定するか、目カンでも良いので、大中小それぞれ大きさを揃えて小分けする事です

そうすればさらに豚舎の回転も良くなります

 

この Web サイトに関するご質問やご感想などについては、お問い合わせフォームからお送りください。
Copyright (C) 2016 (株)「マックプラニング
最終更新日 : 2022/01/23