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「豚舎・設備のお悩み解決!」(46)「冬場の乾燥と暖房対策」 今回は読者様からのご質問やご要望にお応えして 「冬場の離乳舎で換気しつつ湿度を保つコツ」と 「分娩豚房になるべく入りたくないが体重測定や処置などで入らずに子豚を捕まえるときのコツ」 についてアイディアをご紹介します。 まず離乳舎での換気と湿度保持についてですが、子豚が快適に過ごすためには湿度を50%〜75%に保つことが肝要です。 湿度が低すぎると呼吸器系の疾病に掛かりやすくなりますし、湿度が高すぎれば下痢やスス病などの細菌性疾病が出やすくなります。 そこで必須アイテムが温湿度計です。 オールインオールアウトの部屋でしたら1室に1個、連続飼育の離乳舎でしたら両端と中央の3カ所に温湿度計を設置して下さい(写真1と写真2)。 湿度計はホコリが付くと誤差が大きくなりますので、写真のようにペットボトルを切ってカバーにすることをお勧めします。 ウインドレス離乳舎では暖房器具としてガス温風ヒーターを使う事が多いですが、離乳直後の豚は温度を高く保つ必要から、温風ヒーターの稼働時間が長くなります。 するとどうしても湿度が低くなりがちです。 このケースでの管理のポイントは3つです。 @ 離乳豚を受け入れる時にピットが空っぽだと乾燥しやすいので、あらかじめ水を溜めておく。あるいは毎朝通路に水を撒くこと。
A 換気扇が単相モーターの場合は最低換気量を30%以下に出来ません。
古くなると40%でも回らなくなってしまいます。
つまり、最低換気量を少なくできないので、コントローラーにインターバル機能が付いていれば、回す時間と休む時間を調整して換気量を落とす事です。
インターバル機能が無ければ、換気扇の一部をベニヤ板や餌袋で塞いで換気量を減らします。
B 換気コントローラーのセンサーと温風ヒーターのサーモが別々の場合は、換気コントローラーのセンサーの取付位置を豚が居る高さ付近に下げ、
ヒーターのサーモの取付位置を豚柵よりも高い位置に設置し直して下さい。
写真3が換気センサーの線を延長し、塩ビ管を通して端に固定して取付位置を低くした事例です。
次にカーテン豚舎で連続飼育離乳舎の場合です。 多くの場合は保温性が悪いので、換気はせずに閉めきっていますので、換気不足で結露だらけになりがちです。 この場合は第1にカーテンや壁の隙間やネズミ穴を塞ぐこと。 それから天井または屋根、壁の断熱材を追加や更新するなどの保温対策が重要です。 それでも保温性が十分確保出来ない場合や、部屋の上部だけが暖まって、豚の居住部分がどうしても寒い場合は保温箱を設置するのがベストです。 写真4は古いカーテン豚舎を仕切ってオールインオールアウトできる構造にした上で保温箱も設置している離乳舎の事例です。 カーテン豚舎やアルミサッシ窓豚舎のようにウインドレス以外でも最低限の換気をする換気扇は必要です。 ウインドレス豚舎では排気ファンで空気を外に引き出す陰圧式が主流ですが、ウインドレス以外の豚舎では、陽圧つまり、換気扇で外の空気を室内に押し込む方式の方がお勧めです。 理由は、冷たい隙間風が入るのを防ぐため、換気扇から入れて隙間から排気するのです。 換気量は少なくて済むので、小規模豚舎ならば自前工事で安くあげることが出来ます。 写真5は、市販の30cmキッチンファンのシャッターを外して天井入気ファンに改造した例です。 風を水平方向へ分散させるためにベニヤ板の風向板を取り付けてあります。 また、室内の温度差を無くすために順送ファンが必要です。 ウインドレス豚舎において単相モーターの順送ファンは、風速を弱く出来ないので離乳舎ではお勧めしません。 豚舎メーカー数社ではこれを輸入して採用していますが、数年経つと50%以下では回転が止まってしまいます。
写真6はそのコントローラーです。
これの代わりにホームセンターで売っている25cmまたは30cmキッチンファンに取り替えることをお勧めします。 電圧が異なれば配線替えも必要です。
次に「分娩豚房になるべく入りたくないが体重測定や処置などで入らずに子豚を捕まえるときのコツ」について。 保温箱付の分娩柵の場合は一つアイディアがあります。 これは私も農場勤務時代にやっていました。 作業を開始する前に作業する予定の分娩柵の保温箱の入口を全て塞いで、子豚を保温箱に閉じ込めてしまいます。 子豚のほとんどが保温箱の中に入って寝ているタイミングを狙うわけです。 分娩舎に人が入った途端に母豚が驚いて起きてしまうような豚舎では、朝から晩までタイマー仕掛けで豚舎にラジオ放送を流しておくと良いです。 |
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