「豚舎・設備のお悩み解決!」(44)豚舎の断熱


秋も深まり、冬がもうすぐそこまでやってきましたね。

冬の寒さの中でも豚舎を快適な環境に保には、豚舎の壁や天井の断熱が重要です。

皆さんの豚舎ではネズミに断熱材をかじられて、穴だらけにはなっていませんか。

もし、隙間風が入ってくるような状態なのであれば、この機会に断熱材の交換や補修をお勧めします。

というのも、おそらく来年からはここ3年間のような高い枝肉相場はやってこないと予想されるからです。

断熱が不十分なままでは、冬には暖房費が多く掛かりますし、
夏には暑熱の影響で発育が遅くなってしまい、売上が落ちてしまいます。

しかし、いざ断熱材を張り替えようと見積を取ると、思いのほか値段が高くて、工事を断念してしまう方もいらっしゃいます。

そこで落ち着いて費用対効果を良く計算して欲しいと思います。

写真1

 例えば写真1の豚舎は天井が落ちていたり、壁断熱材はネズミの食害でほとんど無くなっていました。

ネズミの食害から守るには、写真2のような表面にガルバリウム鋼板が貼ってある断熱材を使うのが理想です。

写真2

しかしどうしても予算が許さないというのであれば、ただのコンパネを貼るだけでも効果は有ります。

写真3は写真1の豚舎の天井と壁断熱材を全てコンパネで張り替えた物です。

写真4は別の農場での例ですが、穴だらけになった壁断熱材の上からコンパネを重ねて貼ったところです。


 写真1の豚舎では、補修前の1冬の暖房費(ガス代)は2シーズン平均で約75万円でした。

コンパネで張り替え後の2シーズン平均は38万円でした。なんと約半額になりました。

工事費は200万円弱だったと伺いましたので、5年で元が取れる計算ですね。



 写真5は軽量鉄骨下地の天井が剥がれ落ちたところです。

軽量鉄骨が錆びてしまってビス留めが利かない状態です。

理想は下地を交換することですが、豚が居る中での工事は、現実的には不可能に近いと思います。

こうなってしまうと床や豚柵から支柱を立てて、下から抑えるしか方法が無いでしょう。

実際にその方法で天井を支えて補修している農場があります。

面倒な補修作業になりますが、前述しましたように暖房費削減と
豚の発育改善効果は高いので、是非とも取り組んで頂きたいと思います。


 写真6は壁に開けられたネズミ穴です。

このような場所の補修には、まず片面にアクリル板等のネズミにかじられにくい板を張り付けます。

次に穴の中に発泡ウレタンスプレーを吹き付け充填します。

そしてこちら側もアクリル板等を貼付けて塞ぎます。余談になりますが、
天井断熱材が下からかじられている所を見ると餌や水道の配管の上が多いのです。

それも、配管と天井の間隔が20cm以内(ネズミが背伸びして届く範囲)だとかじられやすいのです。



写真7のように天井と配管の間隔が25cm以上あると、ほとんどかじられません。これから施工する際は是非参考にしてください。



 写真8は分娩舎の保温箱に難燃性素材の板で蓋を作った例です。

コルツヒーターの熱を無駄なく子豚の保温に使えます。

蓋がズレないように内側の縁付近には3cm角ぐらいの木材を打ち付けてあります。


 最後に古くなったスレート屋根の補修です。


写真9のような断熱材が張ってあるカバールーフを被せて施工することで断熱効果を高めることが出来ます。

スレートを固定している下地材(C型鋼:Cチャン)が錆びてしまって補修が出来ない場合
はスレート屋根を剥がして新しい下地材から施工する必要があります。


 いずれにせよ、断熱材は費用対効果が高いですから、補修しようかどうか迷っている方は、
是非とも勇気を持って補修されることをお勧めします。
 

 

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最終更新日 : 2022/01/23