「豚舎・設備のお悩み解決!」(39)換気コントローラーのメンテナンス


この記事が皆さんのお手元に届く頃はまだ梅雨明け前だと思いますが、夏本番も目前に迫っています。 豚舎の換気扇は100%効率よく動かせる準備は出来ているでしょうか。 ウインドレス豚舎ではもちろんのこと、開放豚舎でも夏場だけ換気扇を回しているところは多いことと思います。 今回は換気扇の能力を100%引き出すために、すぐに出来るメンテナンスをご紹介します。
【換気扇の羽根掃除】
ウインドレス豚舎で常時回っている換気扇の羽根には、かなりホコリがこびりついているものです。
この場合は豚舎をオールアウトして洗浄する時に換気扇まで洗浄して下さい。
たいていは防水タイプのモーターが付いているはずですから、動噴や高圧洗浄機で直接洗っても大丈夫です。


写真1のように外側にシャッターが付いているファンの場合は、まず最初にファンを止めて、
軍手又はウェスなどで換気扇の羽根の外側(内側からは洗浄出来ない側)を拭き掃除して下さい。
その後ファンを止めたままで洗浄して下さい。そうするとシャッターの内側に付着したホコリごと洗い落とすことが出来ます。
しかし、高圧洗浄機を使う場合はノズルを1m以上離して洗浄して下さい。
至近距離から洗うとプラスチックシャッターを破損する恐れがあります。


写真2のように内側にシャッターが付いているファンの場合は、最初にシャッターを外して床に置き、
シャッターの表裏ともに洗浄します。
それから、換気扇羽根の外側を軍手又はウェスなどで掃除した後に洗浄をかけて下さい。
肥育豚舎や種豚舎などの、夏場のみ動かすファンの場合は、ファンを止めたままで羽根の表裏両面とシャッターのホコリを落として下さい。
軍手又はウェスなどで拭いただけでは汚れが落ちない場合は、プラスチック製のブラシまたはタワシを使うと良いです。
ホコリを落とす掃除の時は、防護めがねとマスクを必ず着用しましょう。
ホコリを落とすだけで空気抵抗が減り、換気能力が蘇ります。
また、モーターの負荷も減りますから消費電力も少なくなります。
面倒くさがらずに実施しましょう。

【制御盤のメンテナンス】
ウインドレス離乳舎や分娩舎の換気コントローラーの主流は写真3のような海外製のものです。

多機能ながらコンパクトな設計で、インバーター方式に比べて低価格なために、オールインオールアウト方式の離乳舎や分娩舎に多く採用されています。
国産品に比べると温度センサーが貧弱で、数年使用していると大きな誤差を生じてくることがよくあります。
ですから、必ず室内に別の温湿度計を設置して、実際の室温との差をチェックして下さい。
肥育豚舎や種豚舎の排気ファンや順送ファンは三相モータータイプが主流なので、
コントローラーにはインバーター方式を採用していることが多くなっています。(写真4)

インバーターは発熱しますので、制御盤には必ず入気口と排気口(排気ファンの場合もあり)が付いています。
入気口にはホコリの侵入を防ぐためのフィルターやネットが付いています。
このフィルターは毎月1回外して清掃して下さい。
ホコリが付着して冷却空気の流れが悪くなると、インバーターが過熱して停止するエラーが起こりやすくなります。
掃除が面倒だからと言って、フィルターを外したままにしている農場もあるようです。
そうすると、写真5の様に内部にホコリや蜘蛛の巣が多くなり、故障の原因になります。

また、配線の出入口穴にネズミやゴキブリが入る隙間があってはいけません。
隙間がある場合は粘土状の穴埋め資材をホームセンターなどで買い求めて充填して下さい。

【換気扇コントローラーが壊れたら】
換気コントローラーは、購入後数年又は10年ぐらい経過すると、たいてい故障が発生するものです。
どこが壊れたのかを特定することは、電気の専門知識が無いと非常に難しいものです。
かといって制御盤をそっくり交換するとなると、結構な高額見積に驚かされるものです。
そのために壊れたまま放置して、手動コントロールで使っているというケースもよくあることです。
ウインドレス豚舎において、換気を手動コントロールすると言うことは非常に無駄が発生して、
修理代以上にコスト高になっていることに気づいていないためです。
手動コントロールで最適環境を維持するためには、1日に何度も換気量を調整しなければいけませんので、
その労働コストが無駄になります。
夜間は調整できませんから、過換気になったり換気不足になったりしています。
過換気になれば、室温を下げないためにヒーターが稼働します。
すると換気扇の電気料と暖房費の2重の無駄が発生します。
また、過換気で浮腫病が誘発されたり、換気不足で呼吸器病が誘発されたりすると、その被害金額は膨大になる事があります。
ですから、換気制御盤の故障は放置せずに速やかに修理してもらいましょう。
修理代を安くするためには、少なくとも電気テスターを使えるだけの知識を持った人を農場に1人配置しましょう。
そうすれば故障した部品だけ取り寄せて、自前で交換修理できます。
蛇足になりますが、国内メーカー製の換気扇制御盤は写真5のように、構成部品が多くて故障しやすく、
修理しづらいと筆者は常々感じております。
ですから私のセミナーやホームページでは、少ない汎用部品で構成した換気扇制御盤の設計を公開しているのです。
今までDIYをお勧めしていましたが、なかなかそこまで出来る方は小数ですので、
制御盤メーカーへ依頼してオリジナルモデルを作って頂く事にしました。
それがこちらです。

 

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最終更新日 : 2022/01/23