「豚舎・設備のお悩み解決!」(34)飼料要求率を詳細に管理する

 

餌代を安くするために飼料単価の交渉だけに集中していると、いつの間にか内容は粗悪なものになって、飼料要求率が悪くなっている。みなさんの農場ではそんな現象は起こっていませんか。
粗悪な飼料では、いくら飼料単価が安くても、トータル飼料代は減らないばかりか、出荷日令が伸びて豚舎の回転が悪くなったり、出荷体重が小さいうちに出荷せざるを得ない状態になってしまいます。
複数の餌メーカーや複数の銘柄を比較する場合も飼料要求率(FC)まで比較しないと餌の真価はわからないものです。
今回は、現場で正確なFCを把握するのにはどうすれば良いかを開設していきます。

まず、FCを求める基本計算式は

当該期間に消費された餌の重量÷当該期間に生産された豚の体重

です。少ない頭数で計測するのならば、開始時と終了時に体重を実測し、餌は紙袋で給与すれば簡単に計算できます。
しかし、豚舎ごとや農場全体で計算するには容易ではありません。
ですから多くの農場では年間トータルで以下の計算式で求めていることと思います。

年間農場FC=年間飼料購入量÷年間肉豚出荷生体重

または

年間農場FC=年間飼料購入量÷年間肉豚出荷総枝重×枝肉歩留り

枝肉歩留りを求めるには出荷時の生体重を測定しなければいけませんから、それを除外して枝肉FCを用いる統計手法もあります。しかし毎月FCを求めて行くには出荷時生体重は必要になります。
その理由は後述しますが、出荷時体重を毎回実測していない農場でも年に何回かは実測して、出荷先(屠場)ごとに枝肉歩留りを把握しておくことが必要です。

では毎月農場FCを計算する方法は下記の式になります。

a)月間飼料消費量=月間飼料購入量+前月末飼料棚卸し−今月末飼料棚卸し

b)月間生産重量=今月出荷生体重+前月末豚棚卸し−今月末豚棚卸し

C)月間農場FC=月間飼料消費量(a)÷月間生産重量(b)

つまり、餌と豚の棚卸し重量をいかに正確に把握するかがカギとなります。

まず、餌の棚卸しは図1のような台帳を使って行います。


大雑把ではありますが、毎月同じ基準、同じ見方で行えば、誤差を少なくすることができます。
台帳の原稿はExcelなどの表計算ソフトで作っておき、合計は自動で計算されるように計算式を入れておきます。
そして記入してきた台帳からパソコンへ入力すると計算の手間が省けます。

豚の棚卸しも同様に豚舎のレイアウトと同じ配置の棚卸し台帳をExcelなどの表計算ソフトで作っておきます。
図2は離乳舎棚卸し台帳の例です。


図3はExcel棚卸し集計表の例です。


エクセル集計表ではピボットテーブルを使って集計しますので、ロットの欄はB列、頭数の欄はC列にして、離乳舎から肥育舎まで全ペンを縦長に並べます。
そしてB列C列の3行目からデータの最終行までを選択してピボットテーブルを作成すれば、このように一発で週令別在庫表が出来上がります。
ピボットテーブルの右側の表は棚卸し重量計算表です。
基準体重は、あらかじめ自分の農場でサンプリング体重測定して日令ごとの平均値を求めておきます。
筆者はマクロを作っておき、ボタン1クリックでピボット集計が出来るように作っています。
このサンプルエクセルファイルを入手されたい方はマックプラニングのホームページからダウンロードしてお使い下さい。

このようにして毎月の豚棚卸し重量を加味してFCを計算すれば、月初、月末の餌納入や豚出荷に影響されること無く、ほぼ正確なFC計算が出来ます。
棟毎のFCを計算したい場合は餌と豚の棚卸しを棟毎で計算すれば良く、(C)の計算式でOKです。
毎月FCを計算できていれば、餌の銘柄の比較試験をしたい場合にも短期間で結論を導き出すことが可能です。

毎月の棚卸しを継続的に実施するには、台帳へいかに簡単に記入できるか。パソコンでの集計がいかに手間無くできるかにかかっています。
面倒なものは長続きしないからです。

図4は私がクライアント様農場の棚卸しと月ごとFCの計算に使っているエクセルシートです。
棚卸し集計表は毎月1シートにして、その合計値をFC集計シートの各月欄にデータリンクさせておくと便利です。

 

 

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最終更新日 : 2022/01/23