「豚舎・設備のお悩み解決!」(30)即時償却でで節税しながら収益確保

 今年も豚の相場が高値で推移していますので、節税対策を考えている経営者さんが多いことと思います。

相場が安くなってからの経営を見据えて、積極的に設備の改修や、豚舎の増改築に着手されている農場さんもたくさんいらっしゃいます。

ちなみに豚舎の建て替えの場合は固定資産に計上されますから単年度では償却できませんが、建物自体は壊さずに内部を改造してオールインオールアウトできる構造に変えてしまう。こんな工事はどうでしょうか。

また、分娩柵を全て新品に入れ替える。といった工事。厳密に言えばこれらも固定資産に組み入れなければいけませんが、“修繕費”として単年度で償却することも可能です。

税務署が認めてくれるかどうかは、会計士さんの腕と、農場の売り上げに対する修繕費の割合にも依ります。

例えば年商3億円の会社で豚舎設備の改修に3千万円かけた場合は、修繕費としての計上が十分可能です。

 

さて本命のソーラー発電で節税の話しに移ります。『グリーン投資減税』を使って100%即時償却が可能であることはご存じかたも多いのではないでしょうか。

ただ、『グリーン投資減税』の100%即時償却は今年の3月末までに売電を開始した人だけが対象でした。

ですから今から設置しても即時償却はできないのだ。とお思いも方も多いでしょう。

しかし、名前が変わって、新たに即時償却可能な制度ができたのです。それが『生産性向上設備投資促進税制』です。

この制度は太陽光発電だけを対象としたものではなく、対象設備の中に太陽光発電が含まれている。というところがミソなのです。

 

17年の通常償却ではなく即時償却をする場合は、太陽光発電業務にかかわる損益計画書を策定し、その投資利益率に関して一定の要件を満たす事について税理士及び経済産業局の確認を得ることが必要となっています。

そこで、最低限の準備としては、会社の定款を改定して、事業内容に太陽光発電事業を加えておく必要があります。

 

生産性向上設備投資促進税制では、太陽光発電設備の取得時期にによって償却可能な割合が変わってきます。

平成28331日までの取得では、100%即時償却が可能です。

平成2841日〜平成29331日までの取得の場合は、即時償却の上限が取得額の50%になりますので、注意して下さい。

今から計画着手すれば来年331日までの取得は間に合います。

 

ここで即時償却のメリットをおさらいしておきましょう。

母豚300頭一貫経営のモデル農場で計算してみましょう。年間7500頭出荷で平均枝重78kg、損益分岐点が450円だとします。

ここ1年間の東京上物単価は590円ですから、(590-450)×78×75008,190万円の税引き前利益が出るわけです。

そこへ今年度の法人税等(国税+地方税)の実効税率を掛け算すると

400万×22.86%+400万×24.56%+(8190万−800万)×38.37

3,025万円が税金となります。(表1参照)

課税所得金額の区分 400万円以下 400万円超 800万円超
800万円以下
法人税 15.00% 15.00% 25.50%
復興特別法人税 1.50% 1.50% 2.55%
法人住民税      
  (1)都道府県民税 0.75% 0.75% 1.27%
  (2)区市町村民 1.85% 1.85% 3.14%
事業税 2.70% 4.00% 5.30%
地方法人特別税 2.19% 3.24% 4.29%
総合税率 23.99% 26.34% 42.05%
実効税率 22.86% 24.56% 38.37%

では、出力50kwのソーラー発電を税抜1400万円で設置した場合は、

400万×22.86%+400万×24.56%+(8190万−1400万−800万)×38.37

2,488万円となり、537万円の節税になります。

別の見方をすれば、ソーラー発電設備を537万円引きで購入したことになります。

売電単価27円では年間売電金額が約150万円ですから、通常ですと償却に9.3年かかるところが、5.8年で償却できてしまうのです。

翌年からは売電収入150万円の全てが事業収益となります。

 

さて、ソーラー発電を設置して100%即時償却するメリットは理解頂けたと思いますが、ソーラーを設置する場所がない。という農場さんも多いことでしょう。

その場合は、“土地付きソーラー発電所を買う”という手段が有効です。現在、複数の会社から土地付きソーラー発電所が販売されています。

中には今年3月までに経済産業省の認定を受けていた、売電単価32円の物件もあります。

しかし、最も重要視して頂きたいのは償却年数と利回りです。

償却年数10年未満、利回り10%以上の物件を狙うのがお勧めです。

管理費込みの物件であれば、地元以外の離れた都道府県の物件でも支障はありません。遠隔監視システムを付ければ稼働状況やトラブルの監視ができるからです。

参考までに、“土地付きソーラー発電所”の販売を全国規模で行っている会社を2件ご紹介します。

■タイナビ発電所 http://www.tainavi-pp.com/

■エコの輪 http://www.taiyo-co.jp/サービス/土地付太陽光発電/#landmap

両サイトとも、表示価格には遠隔管理システムと電力会社へ支払う工事負担金は入っていません。

遠隔管理システムは7080万円、電力会社へ支払う工事負担金は3060万円かかります。

 

もう1つ注意しなければならないのは、設置場所が田舎であり、かつ周囲にソーラー発電所が多い場合、春や秋に買取制限がかかる可能性があることです。

これは、その地域の電力消費よりもソーラーによる発電供給が多くなった場合に実施されることになっています。

 

そこまで心配な方には、リキッドフィーディング設備導入の方をお勧めします。

厳密に言えば給餌設備の形式が変わるので修繕費に当たらず、償却資産計上が筋なのですが、広く解釈すれば“給餌設備が老朽化したから修繕した”ことにあたる訳です。

3000万円〜5000万円の設備費を修繕費で落とせるかどうかは、社長さんと税理士さんの腕次第ですが、はっきり言って税務署の担当官や税理士さんは豚の給餌機械の詳細はわかりませんから、説明の仕方次第なのです。

リキッドフィーディング設備導入で翌年から飼料要求率が良くなり、また、汚水量が減ればコストダウン効果は大きいものが有ります。

一括償却できれば節税分によって、3分の1補助を受けて導入したことと同等になりますね。

 

この Web サイトに関するご質問やご感想などについては、お問い合わせフォームからお送りください。
Copyright (C) 2016 (株)「マックプラニング
最終更新日 : 2022/01/23